新規事業立ち上げ

新規事業立ち上げステップ解説!進め方、成功ノウハウ、おすすめ学習方法を解説

2024年10月10日

こんな課題をお持ちの企業担当者向けの記事です

新規事業を立ち上げたい、または新規事業を立ち上げようとしているが思うようにいかないことに悩んでいる企業の担当者の以下の課題にお答えする記事です。

  • 新規事業を立ち上げる方法を知りたい
  • 新規事業を立ち上げる際に必要な知識を学ぶ方法を知りたい

この記事では経営者や事業責任者に向けた新規事業を立ち上げる目的や立ち上げる際の7つのプロセス、また、事業計画書を作成するために必要なフレームワークやおすすめ書籍などをご紹介します。

目次

企業にとって新規事業立ち上げの目的とは?

新規収益の開拓

新規事業を立ち上げることは、企業経営における新しい収益の柱を作ることです。

特に他社が参入していない領域や、今後成長が見込まれる分野は新規収益を開拓できる可能性が高い領域となります。

新規事業が軌道に乗った場合、企業全体の成長や、持続可能性を高めることができます。

外部環境の変化に対するリスクヘッジ

現在の企業の売り上げや利益を構成している既存ビジネスについて、市場が成長しない場合や今後売り上げ、利益の低下が見込まれている場合、早急に新規事業を立ち上げる必要があります。

また、現在は市場環境に問題がない場合でも、急激な変化を想定して新たな収益源となる新規事業を検討することは重要です。

経営の安定化

特定の事業や製品に収益が依存している場合、今後需要が低下するなどの環境変化が起こった場合、企業全体のリスクとなります。

現在安定した事業環境であっても、新規事業を立ち上げることで経営を安定化させることができます。

人材の育成

新規事業を立ち上げた場合、従業員が新たなスキルや経験を積むことができ、組織全体の能力が向上します。

また、新規事業を立ち上げる中で得た知見を既存のビジネスで活かしたり、今後発生する可能性のある課題に対し、問題解決能力が向上します。

資産の有効活用

既存ビジネスで培った資産やブランド力を活かすことで、競争優位性を持って新規事業を立ち上げることができ、成功確率が高まります。

現在のビジネスに派生したビジネスを展開する場合も、現在のブランド力を活かすことができます。

新規事業立ち上げの成功事例

富士フイルムのエイジングケア商品「アスタリフト」

アスタリフト

デジタル化による写真フィルム市場の急速な縮小が見込まれるなか、富士フイルムは60年以上主要事業であった写真フィルム事業で培った、コラーゲンやナノ化技術を始めとした技術資産を、化粧品事業などの新規事業に展開しました。

現在は様々なエイジングケア商品、化粧品開発を行ないつつ、店舗展開やカウンセリング事業も行なっています。

「富士フイルムのエイジングケア商品『アスタリフト』」のWebサイトはこちら

サイバーエージェントの動画配信プラットフォーム「ABEMA」

ABEMA

株式会社サイバーエージェントは広告代理店を主要ビジネスとして拡大し、その後自社メディア「ameba」を展開してきましたが、スマートフォン時代のOTTサービス(Over the top:インターネット経由のコンテンツのストリーミングサービス)に着目し、民放のテレビ朝日と提携した新しい動画プラットフォーム「abema.tv(現ABEMA)」を2016年に開始しました。

2024年3月には月間視聴数5億回、週間視聴者数も2,300万ユーザーを突破しています。

「株式会社サイバーエージェントの動画配信プラットフォーム『ABEMA』」のWebサイトはこちら

新規事業の立ち上げに必要な7つのプロセス

1.新規事業の切り口を見つける

新規事業を立ち上げる際の第一歩は、新規事業の「切り口」となる新しいビジネスの方向性を見つけることです。

ブレインストーミングなどから生み出されたアイデアから、市場や競合環境を分析し、既存の製品やサービスとの差別化ポイントを探します。

顧客やユーザーが抱える未解決の問題や新しい技術の活用、市場での企業と顧客のギャップなどに注目することで、新しい発見があることもあります。

2.市場や顧客のニーズを調査し、マーケットやターゲット顧客を設定する

次に、市場やターゲットとなる顧客のニーズを調査します。

市場規模、競争環境、顧客セグメントの詳細な分析を行い、どの層にサービスを提供するのかを明確にすることが重要です。

顧客のニーズを深く理解することで、適切なターゲット層を設定し、その層に対する戦略を練ります。

市場調査の方法としては、PoC(実現可能性の検証)を実施するほか、ターゲット層へのインタビューや様々なアンケート、第三者の調査データに基づくデータ分析などが考えられます。

3.ターゲット顧客のニーズに対するソリューションを設計し、ビジネス仮説を組み立てる

ターゲット顧客のニーズを把握した後は、それに対する価値提供(ソリューション)を設計します。

可能であれば既存ビジネスの強みを活かしつつ、具体的なサービスや製品のコンセプトを考え、どのような課題を解決するかという価値を明確化します。

また、そのソリューションがターゲット市場でどのように機能し、企業として利益を生み出すかというビジネス仮説を構築します。

4.仮説を検証し、PMFを見つける

構築したビジネス仮説を検証する際は、試作品(プロトタイプ)やMVP(Minimum Viable Product:実験段階で最小限の製品)を通じて、顧客の反応を観察し、仮説を検証します。

この段階では最終的な製品やサービスを開発せず、最も重要と思われる価値提供のみを行ない、顧客のニーズを測ることが重要です。

このプロセスを通じて、製品やサービスが市場のニーズに合致しているか(プロダクトマーケットフィット:PMF)を探ります。

顧客からのフィードバックに基づいて仮説を修正しながら、製品を最適化していくことが重要です。

5.ビジネスプランを策定し、投資計画を策定する

PMFが明確になったら、具体的なビジネスプランを策定します。

ビジネスモデルや収益計画、マーケティング戦略などを詳細にまとめ、事業の成長見込みやリスクも明確化します。

事業を始める上で必要となる投資計画においては、必要な資金の調達方法やコスト構造、キャッシュフロー予測を立て、持続可能な成長を目指します。

6.事業計画や予算、メンバー、パートナーを決める

ビジネスプランが固まったら、それを実行するための体制や関係者、外部企業を含めたパートナーを決定します。

社内外のリソースをどのように配分するか、事業フェーズも考慮しながら必要な人材やスキルセット、提携すべき外部企業やパートナーの選定がこの段階で重要です。

また、社内調整の上で予算を策定し、年間スケジュールを作成しながら事業運営のための資源配分も行ないます。

7.社内承認を踏まえて新規事業の立ち上げに着手し、定期的にPDCAを回す

新規事業を立ち上げる前の最終段階として、事業計画書などを元に立ち上げに向けて社内の承認プロセスにおいて承認を得ます。

経営層だけでなく、新規事業に関わる関係部門との合意形成ができるよう注力し、承認が終わると実行フェーズに移行します。

事業開始後は定期的にPDCAサイクルを回しながら、柔軟に計画を見直しながら事業の成長を支えていくことが不可欠です。

新規事業立ち上げを成功させるフレームワーク、ノウハウ

PEST分析

PEST分析は自社を取り巻くマクロ環境について、様々な視点から問題点を洗い出すことができるフレームワークです。

PESTは

  • Politics(政治)
  • Economy(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

の頭文字となっており、中長期的な業界の環境や戦略について見直す際に適しています。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は既存のビジネスに新規参入する際や、新しい商品・サービスを開発する際に発生する「脅威」について分析を行なうフレームワークです。

脅威とは、SWOT分析(S:強み、W:弱み、O:機械、T:脅威)の中の「T:脅威」を細分化し、その名の通り「5つの脅威」について分析するもので、5つの要素は下記の通りです。

  • 既存の競合他社の脅威
  • 新規参入者による脅威
  • 売り手(供給業者の交渉力)の脅威
  • 買い手(の交渉力)の脅威
  • 代替品の脅威

3C分析

3C分析は新規事業となるビジネスの調査、分析を的確に行なうために考案されたフレームワークです。

名前の由来は以下の3つの「C」から始まる単語の頭文字をとって名付けられています。

■Company(自社)

自社の理念やビジョンを定義し、自社の強みを活かせることを意識する

■Customer(顧客)

市場を分析し、市場規模や成長性、顧客のニーズを把握する

■Competitor(競合)

競合となる企業の状況を把握し、各社の特徴や強み、ポジションを把握して自社の未来を考察する

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスは、事業を9つの視点に分類し、各要素を1つのシートに整理したものです。

下図のように要素を配置して検討することで可視化され、組織内での共通認識を持つことにも効果を発揮します。

ビジネスモデルキャンバスは、9つの要素から構成された1枚のシートであることが特徴で、構成する9つの要素は以下の通りです。

  • 顧客セグメント(CS:Customer Segments)
  • 価値提案(VP:Value Propositions)
  • チャネル(CH:Channels)
  • 顧客との関係(CR:Customer Relationships)
  • 収益の流れ(RS:Revenue Streams)
  • リソース(KR:Key Resources)
  • 主要活動(KA:Key Activities)
  • パートナー(KP:Key Partners)
  • コスト構造(CS:Cost Structure)
ビジネスモデルキャンバスの概要
出典:https://blog.nijibox.jp/article/whats_businessmodelcanvas/

新規事業の立ち上げアイデアの発想法

既存の要素と新しい要素を掛け合わせる

新規事業を発送する際のアイデアは、白紙の状態から生み出されるケースもあれば、既存の技術やアイデアをベースに、そこに新しい要素を加えることで革新的な価値を生み出すこともあります。

一例を挙げると、スマートフォンは既存の携帯電話をベースに、タッチスクリーンやアプリストアなどの要素を組み合わせることで発明されました。

このように、既存のビジネスモデルや製品、サービスに新たな視点や機能を組み合わせることで、既存の市場や顧客層を拡大したり、全く新しい価値を提供することが可能です。

アイデア発想のためのフレームワークを利用する

新規ビジネス立ち上げを検討する際は、アイデア発想のために考案されたフレームワークを活用すると便利です。

代表的なものとしては、「SWOT分析」や付箋にアイディアを書き出し整理する「KJ法」、アイデアを多角的な視点で検討できる「オズボーンのチェックリスト」などがあります。

また、ブレインストーミングの際に「他者のアイデアを批判しない」などのルールを設定することにより自由な発想を活かすことが可能となります。

新しい技術を元に課題を解決する

新規事業を検討する中で、これまでのビジネスにおいて解決できなかった課題を解決できる新しい技術が開発されていることがあります。

インターネット分野においても、通信速度が高速化し、一人一台スマートフォンを持つ時代になったことで動画配信プラットフォームなどの新しいビジネスが生まれ、ビジネスが拡大しています。

近年は生成AIが普及し、ブロックチェーンやIoTなど様々な業種で活用できる先端技術が数多く開発されています。

新規事業立ち上げ初期段階におけるPoCの重要性

PoCとは?

新規事業を立ち上げる際、昨今多くの企業が導入するのがPoC(Proof of Concept)と呼ばれるプロセスです。

日本語では「概念実証」と呼ばれ、新しいアイデアや理論を具体化し、実際にテストすることで、思いついたアイデアが実現できるかどうかを確認するための、プロトタイプなどを作成する前の段階を指します。

PoCを行なうメリット

PoCを行なうメリットは下記3点が挙げられます。

■少ないコストでリスクを把握する

実証試験を行わずに大規模にビジネス展開をを行なってしまった場合、想定外のリスクや費用が発生した場合に対応できない可能性があります。

PoCを行なうことでリスクを軽減できます。

■精密なコスト把握ができる

アイデアを思いついた時点では把握できていなかったコストを発見することができます。

■円滑な意思決定が可能

PoCプロセスを実施した場合、プロジェクトを実施するかどうかの判断をしやすくなります。

新規事業立ち上げ担当者向けのおすすめ本

最速の90日! 新規事業成功バイブル 「君に任せたよ」と上司に言われたら……

最速の90日! 新規事業成功バイブル 「君に任せたよ」と上司に言われたら……

この本は新規事業の立ち上げを任された担当者が90日後に事業計画書をまとめられるよう、アイデア発想法や事業計画書作成方法などを解説している書籍です。

「SWOT分析」などの現状分析のフレームワークやビジネスモデルキャンバスの作成方法などを詳しく解説しているため、初めて新規事業立ち上げを行なう担当者におすすめです。

「最速の90日! 新規事業成功バイブル 「君に任せたよ」と上司に言われたら……」はこちら(Amazon)

カラー版 マンガでわかる 事業計画書のつくり方

カラー版 マンガでわかる 事業計画書のつくり方

この書籍は事業計画書の作り方について、マンガでわかりやすく解説しています。

マンガだけではなく、カラーイラストを数多く使用したテキスト解説に加え、損益分岐点の求め方など、事業計画書作成に必要な知識も得ることができます。

さらに、実務で役立つ書式をダウンロードできる特典もついています。

「カラー版 マンガでわかる 事業計画書のつくり方」はこちら(Amazon)

新規事業立ち上げの最新ノウハウが学べるおすすめWebコンテンツ

ディレクターバンクウェビナー

ディレクターバンク株式会社では、新規事業の立ち上げやコンテンツマーケティングなど、様々なテーマで無料ウェビナーを開催しております。

当社はWebサイト制作前の戦略設計からお手伝いを行なっており、代表取締役の棟近を始めとした事業構築に詳しい役員が講師となって、事業開発に関するウェビナーを定期的に開催しています。

ディレクターバンクのウェビナーページのWebサイトはこちら

YouTubeおすすめコンテンツ

新規事業立ち上げに必要となる基本的なフレームワークについては、YouTubeなどの無料で観られる動画でも学ぶことができます。

今回は事業構築の際に参考となるYouTubeチャンネルをご紹介します。

■【船井総研】中小企業向け経営ノウハウ

こちらのYouTubeチャンネルでは、経営コンサルティング業を営む船井総研の現役社員がセミナー形式で新規事業開発について解説する動画が掲載されています。

現在注目されている新規ビジネスや毎年の時流を予測する動画やビジネストレンドなど、新規事業を検討する際のヒントになる動画を公開しています。

「【船井総研】中小企業向け経営ノウハウ」の新規事業立ち上げに関する動画の再生リストはこちら(YouTube)

■才流のBtoBチャンネル

BtoB向けのWebマーケティングに特化した支援を行なっている株式会社才流が運営するYouTubeチャンネルでは、PMFについて詳しく学べる動画や市場規模の調べ方など、新規事業の立ち上げに役立つ動画を公開しています。

「才流のBtoBチャンネル」の新規事業立ち上げに関する動画の再生リストはこちら(YouTube)

まとめ

企業経営において、既存ビジネスが順調であっても、今後の事業環境やリスクに備えて新規事業を立ち上げることは非常に重要です。

新規事業のアイデアが浮かばない場合は、SWOT分析などのフレームワークを活用して、自社の強みを活かす事業を検討したり、最新技術の知識を元に新しい課題解決の方法を思いつく方法もあります。

アイデアがビジネスに結びつくかはPoCを実施することでニーズや課題を把握することができます。

そして具体的に新規事業を立ち上げる際は、前述の7つのステップを踏まえてPMFを明確にした上で、ビジネスプランや事業計画を作成しましょう。

ディレクターバンクでは、Webマーケティングを中心に、御社のビジネスの新しい収益の柱となるビジネス構築のお手伝いを行なっております。

新しい販路としてのオウンドメディア構築や、ニーズ調査のためのランディングページ作成など、WebやSNSを活用した新しいビジネスを検討したい担当者の方はぜひ一度ご相談ください。

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山口優

2017年にIT企業を退社しフリーランスとなる。自ら企画したブログメディアやSNSを中心としたマーケティング活動を行なっている。現在は動画製作とHubSpotを勉強中。