こんな課題をお持ちのWebマーケティング担当者向けの記事です
Webマーケティング領域で新規事業を立ち上げたい、または新規事業を立ち上げようとしているが思うようにいかないことに悩んでいる企業の担当者の以下の課題にお答えする記事です。
- 新規事業を立ち上げる目的としてどのようなものがあるかを知りたい
- 新規事業を立ち上げる際にどのようなステップがあるかを知りたい
この記事ではWebマーケティング担当者が新規事業を立ち上げる場合、どのような目的があるか、新規事業を立ち上げる際の7つのプロセス、また、成功させるポイントや求められる資質についてご紹介します。
新規事業の具体的な事例やフレームワークなど、新規事業立ち上げの全体像を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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新規事業立ち上げステップ解説!進め方、成功ノウハウ、おすすめ学習方法を解説
新規事業を立ち上げたい、または新規事業を立ち上げようとしているが思うようにいかないことに悩んでいる企業の担当者の以下の課題にお答えする記事です。 新規事業を立ち上げる方法を知りたい 新規事業を立ち上げ ...
企業にとって新規事業立ち上げの目的とは?
企業が持続的に成長するためには、新規事業を立ち上げ、それを成功させることが欠かせません。
そして、新規事業を立ち上げることは、企業にとってさまざまなプラスの効果があります。
企業が新規事業を立ち上げる目的や効果としては以下のものがあげられます。
新規収益の開拓
企業経営において、既存ビジネスを拡大させることと並び、新規事業を立ち上げて新しい収益の柱を立てることは重要です。
既存ビジネスが安泰な場合でも、長期的な需要の低下や競合との関係による売上減少が起こる前に、別の収益の柱を立てることで、企業の持続可能性を高めることにつながります。
また、新規事業が軌道に乗れば、企業全体の成長を見込めます。
例)かつて花札などを販売していた任天堂は、新規ビジネスとしてゲーム機を開発し、現在は世界的に著名なゲーム機およびゲームソフトの販売企業となりました。
外部環境の変化に対するリスクヘッジ
既存ビジネスにおいて、今後の成長が見込めない場合や市場の衰退などにより売上や利益の低下が見込まれている場合は、新規事業の立ち上げを早急に行なう必要があります。
新しい製品や技術が開発されることで既存ビジネスの市場規模が小さくなるリスクに対応する必要もあり、新規事業が収益源に成長するまで時間がかかることが多いため、安定した事業環境であっても新規事業を検討する必要があります。
例)スマートフォンが普及することで、コンパクト型デジタルカメラの販売数が減少しても、デジタルカメラメーカー各社は別事業を展開していることで企業全体で大きな損失を防ぐことができました。
経営の安定化
企業が1つのビジネスに依存している場合、新しい技術が開発されるなどの外部環境の変化によって企業経営が危ぶまれる事態になることがあります。
その点で、新規事業を立ち上げることは経営の安定化につながります。
また、新規事業を生み出すことで、既存ビジネスとの相乗効果が生まれたり、既存ビジネスの強みをより強化することができます。
例)ソニーは創業当初はテープレコーダーやテレビなどの家電分野でビジネスを展開していましたが、ゲーム、通信、金融、映画事業などに参入し、それぞれのビジネスで収益をあげています。
人材の育成
新規事業を立ち上げるには、事業計画書や予算管理など、様々なスキルが必要となります。
このため、新規事業を検討することで、担当者が新たなスキルを獲得したり、知見を得ることができることも新規事業を立ち上げるメリットとして挙げられます。
新規事業を立ち上げた経験は、既存ビジネスの課題解決に役立てたり、今後発生する可能性のある課題に対する問題解決能力向上にもつながります。
資産の有効活用
新規ビジネスを検討する際は、全くの新規参入となる業種よりも、既存の製品が抱える課題からアイデアを発想したり、自社が既存ビジネスで培ったブランド資産を活かせる業種の方が成功確率が高まります。
例)ソフトバンクは当時子会社が運営していた「Yahoo! Japan」のブランド力を活かし、ADSL事業を始める際に「Yahoo!BB」の名称でサービスを開始し、多くの利用者を獲得しました。
新規事業立ち上げに必要な7つのプロセス
新規事業を立ち上げる際は以下のようなプロセスで行なうことをおすすめします。
STEP1.
新規事業立ち上げの切り口を見つける
STEP2.
市場や顧客のニーズを調査し、マーケットやターゲット顧客を設定する
STEP3.
ターゲット顧客のニーズに対するソリューションを設計し、ビジネス仮説を組み立てる
STEP4.
仮説を検証し、PMFを見つける
STEP5.
ビジネスプランを策定し、投資計画を策定する
STEP6.
事業計画や予算、メンバー、パートナーを決める
STEP7.
社内承認を踏まえて新規事業の立ち上げに着手、定期的にPDCAを回す
STEP1.新規事業立ち上げの切り口を見つける
新規事業を立ち上げる際の第一歩は、新規事業の「切り口」となる新しいビジネスの方向性を見つけることです。
新規事業のアイデアを発想する方法としては、SWOT分析などのフレームワークから強みや課題を見つける方法や、ブレインストーミングなどを行なって新しいアイデアを生み出す方法があります。
ブレインストーミングで生み出されたアイデアを事業化するには、市場や競合環境を分析し、既存の製品やサービスとの差別化ポイントを探し、需要があるかを把握する必要があります。
顧客やユーザーが抱える未解決の問題や新しい技術の活用、市場での企業と顧客のギャップなどに注目することで、気づいていないユーザーのニーズや、時代とともに新たなニーズが発見されることもあります。
STEP2.市場や顧客のニーズを調査し、マーケットやターゲット顧客を設定する
次に、市場やターゲットとなる顧客のニーズを調査します。
公開されている市場調査のデータなどから市場規模を分析したり、想定される競合他社の状況、顧客セグメントの詳細な分析を行い、どの層にサービスを提供することができ、どの程度の売上規模を見込めるかを明確にすることが重要です。
顧客のニーズを深く理解するためには、見込み顧客へのアンケート調査や個別インタビュー調査も有効です。
これらの調査を行なった上で、適切なターゲット層を設定し、その層に対する戦略を練ります。
STEP3.ターゲット顧客のニーズに対するソリューションを設計し、ビジネス仮説を組み立てる
ターゲット顧客のニーズを把握した後は、それに対する価値提供(ソリューション)を設計します。
可能であれば既存ビジネスの強みを活かしつつ、具体的なサービスや製品のコンセプトを考え、どのような課題を解決するかという価値を明確化します。
このような自社独自の価値提案をUVP(Unique Value Proposition)と呼ぶことがあります。
また、そのソリューションがターゲット市場でどのように機能し、企業として利益を生み出すかというビジネス仮説を構築します。
STEP4.仮説を検証し、PMFを見つける
構築したビジネス仮説を検証する際はいくつかの方法があります。これらの方法を通じて顧客の反応を観察し、仮説を検証します。
この段階では最終的な製品やサービスを開発せず、最も重要と思われる価値提供のみを行ない、顧客のニーズを測ることが重要です。
- 試作品(プロトタイプ)を作成する
- MVP(Minimum Viable Product:実験段階で最小限の製品)を作成する
- 顧客インタビューやアンケート調査を行なう
- A/Bテストを実施する
このプロセスを通じて、製品やサービスが市場のニーズに合致しているか(プロダクトマーケットフィット:PMF)を探ります。
PMFを達成しているかを確認するには、他の代替品を求めているか、強い需要があるか、肯定的なフォードバックがあるかを確認します。
顧客からのフィードバックに基づいて仮説を修正しながら、製品を最適化していくことが重要です。
STEP5.ビジネスプランを策定し、投資計画を策定する
PMFが明確になったら、具体的なビジネスプランを策定します。
ビジネスモデルや収益計画、マーケティング戦略などを詳細にまとめ、事業の成長見込みやリスクも明確化します。
収益計画は損益計算書に相当する売上や利益の予測以外に、借入を行なう場合の資金繰りやキャッシュフローについても計画を立てるようにしましょう。
事業を始める上で必要となる投資計画においては、必要な資金の調達方法やコスト構造、キャッシュフロー予測を立て、持続可能な成長を目指します。
STEP6.事業計画や予算、メンバー、パートナーを決める
ビジネスプランが固まったら、それを実行するための体制や関係者、外部企業を含めたパートナーを決定します。
自社のスタッフは全て正社員である必要はなく、人件費を抑える目的としてアルバイトなどの非正規社員や業務委託を活用することも一つの選択肢となります。
また、自社のノウハウが足りない場合は専門的な知見を持つ外部企業と連携することもできます。
社内外のリソースをどのように配分するか、事業フェーズも考慮しながら必要な人材やスキルセット、提携すべき外部企業やパートナーの選定がこの段階で重要です。
また、社内調整の上で予算を策定し、年間スケジュールを作成しながら事業運営のための資源配分も行います。
STEP7.社内承認を踏まえて新規事業の立ち上げに着手、定期的にPDCAを回す
新規事業を立ち上げる前の最終段階として、事業計画書などを元に立ち上げに向けて社内の承認プロセスにおいて承認を得ます。
社内での合意を得るためには「事業計画書」を作成する必要があります。
事業計画書には具体的なビジネスプランだけでなく、市場分析、中長期の目標数値、売上予測や利益の計画、運用体制、事業上のリスクなど全ての内容を含める必要があります。
経営層だけでなく、新規事業に関わる関係部門との合意形成ができるよう注力し、承認が終わると実行フェーズに移行します。
事業開始後は定期的にPDCAサイクルを回し、柔軟に計画を見直しながら事業の成長を支えていくことが不可欠です。
新規事業の立ち上げを成功させるための5つのポイント
明確な理念とビジョンの設定
新規事業の立ち上げには、まず「何を目指すのか」「どのような価値を提供するのか」といった理念やビジョンが必要です。
このビジョンが企業全体で共有され、全ての活動がこの目的に沿って行われることで、方向性を失わず一貫性のある事業展開が可能になります。
また、ビジョンが明確であれば、社員やステークホルダーの共感を得やすく、チーム全体のモチベーション向上や協力体制の構築にも繋がります。
徹底的な市場調査と分析
事業の成功には、ターゲット市場や競合の状況を深く理解することが欠かせません。
徹底的な市場調査を行うことで、市場のニーズ、競争優位性のあるポイント、トレンドや変動要因を把握し、適切な事業戦略を策定できます。
また、顧客の潜在ニーズや課題を分析することで、差別化要素や新たな価値を提供できる可能性を見出すことができます。
社内の協力体制の構築(経営陣のコミットと現場の理解)
新規事業を成功させるには、実際にビジネスを行なう部門だけでなく、社内全体の意思疎通や方向性に関する合意、他部門からの協力などが重要です。
事業計画書などを作成し、他部門、特に経営陣と事業を立ち上げる際の数値目標や方針について明確に示すことが重要です。
経営層のサポートがあることで、現場の社員も自信を持って業務に取り組むことができ、全社的なバックアップが期待できます。
新しい事業をスムーズに進めるためには、実際に業務にあたる現場の理解だけでなく、各部門の社員間でビジョンを共有し、適切なリソース配分や意思決定が行われる体制を整えることが重要です。
柔軟な事業モデルの構築と検証
新規事業の初期段階では、全てが計画通りに進むとは限りません。
そのため、最初から完璧なモデルを構築しようとするのではなく、ある程度柔軟性を持った事業モデルを構築し、実際に市場で検証しながら進めていくことが重要です。
大きな予算を投入できない場合や、大きな損失を防ぐために開発された事業モデルとしては、プロジェクトを細分化して小さな開発単位でテストを行なう「アジャイル開発」や、最もユーザーへの提供価値となる部分「MVP(Most Viable Product)」を作成してニーズ(需要)や課題発見を行なう「リーンスタートアップ」などの手法があります。
市場のフィードバックを迅速に受け取り、必要に応じてモデルを修正・改善するプロセス(ピボット)が、成功の鍵となります。
適切な評価基準と撤退ラインの設定
新規事業の進捗を測定するためには、明確で現実的な評価基準を設定することが不可欠です。
また、損失を大きくさせないため、あらかじめ撤退ラインを設定しておくことも重要です。
撤退ラインとしては目標となるKGIに到達しない場合や、投資に対する回収が見込めなくなった場合、さらに投資できる予算やリソースが自社で不足してしまう場合などが考えられます。
撤退ラインを明確にしておくことで、事業がうまくいかない場合に早期に撤退し、リソースを浪費せずに新たな機会に投資することができます。
新規事業立ち上げ担当者に求められる資質
新規事業を立ち上げる際は経験だけでなく、新規事業を立ち上げるモチベーションの高さも重要となります。
また、具体的な資質としては以下のようなスキルを持っていることが望ましいと考えられます。
1.市場調査と分析能力
新規事業を立ち上げる際は、検討段階での市場調査が不可欠です。
市場調査の方法としては、様々な企業が公開している市場調査データだけでなく自社でアンケート調査を行なったり、ターゲットとなる属性に該当する見込み顧客に個別インタビューするなどの方法があります。
これにより、製品やサービスに需要があるか、競合との比較、市場にフィットするかどうか、潜在的なリスクや成長機会が何かを把握できます。
これらの調査結果に基づきデータを分析し、事業計画に反映させます。
2.戦略的思考と計画力
新規事業を立ち上げる場合、安定運用フェーズに至るまでに数年かかるケースも多いため、長期的なビジョンと現実的な計画が必要です。
長期的なビジョンを考える際は、SWOT分析などのフレームワークを利用して自社の強みや弱みを振り返りながら、事業の方向性を定め、その目的に向かうための包括的な計画を立てるようにしましょう。
そして、事業計画としては、年単位、月単位、週単位での具体的な目標、アクションプランやリソース配分、タイムラインを構築することが求められます。
また、ビジネスの各フェーズで目標を達成するために、事業の進捗を管理し、必要に応じて調整することが重要です。
3.リーダーシップとチームビルティング能力
新規事業を成功させるには、個人の能力だけでなく、チーム全体の力が重要です。
チームの力を最大化させるためには、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーがリーダーシップを発揮する必要があります。
リーダーシップを発揮するためには経験や知識を活かしてメンバーに明確なビジョンを示し、チームが一致団結して目標達成に向かえる体制を整えるようにしましょう。
プロジェクトの方向性を全員に理解させ、モチベーションを高めながら達成すべき目標や個々のタスクについて認識を共有することも大切です。
4.営業力、交渉力
新規事業では、製品やサービスを売り込む営業力と、さまざまなステークホルダーと良好な関係を築く交渉力が不可欠です。
新規事業は顧客が0の状態からスタートするため、初期の顧客を獲得するためには高い営業力が必要となります。
また、社内での予算調整や、他社との連携が必要な場合など、新規事業に関わる企業や部門が増えれば、交渉を通じて新規事業への協力を受けられるかがポイントになります。
営業力や交渉力を発揮できれば、顧客やパートナーの信頼を獲得でき、さらに大きな成功に繋げることが可能です。
5.柔軟性と適応力
アイデア発想においては、既存ビジネスに捉われない発想力が必要となり、事業を立ち上げても不確実性が高く、計画通りに進まないことが多々あります。
そのため、新規事業を立ち上げるためには、アイデアを生み出すプロセスにおいても、事業計画を実行する際にも柔軟性や適応力が重要です。
例えば、市場動向の急変やテクノロジーの進化などに対して、事業モデルを迅速に修正する力が求められます。
幅広い業務を経験し、ビジネスに関する知見を蓄積することで柔軟性や適応力を養うことができます。
6.資産のマネジメント力(ヒト、モノ、カネ)
新規事業の立ち上げには、リソースの効果的な活用が必須です。
資産のマネジメント力は、ヒト(チームやパートナー)、モノ(設備や技術)、カネ(資金)といった限られたリソースを最大限に活用し、事業を効率的に進める能力です。
これには、適切な予算管理、優先順位の設定、リソースの最適配分などが含まれます。また、人的資源の育成やコスト削減の工夫も重要な要素です。
まとめ
企業経営の安定化や、収益源を複数確保する観点から、新規事業を立ち上げることは非常に重要です。
これから新規事業を立ち上げる場合、既存ブランドや技術などの資産を活用できる領域でビジネスを検討することで成功確率を高めることができます。
アイデアをビジネスプランとしてまとめる場合、ユーザーに提供する価値を明確にした上で、試作品やMVPなどを作成してニーズを把握することを忘れないようにしましょう。
また、社内で新規事業を進める承認を得るためには、損益計画や投資計画、運用体制などをまとめた事業計画書を作成する必要があります。
事業開始後は事前の計画通り進捗しているか、PDCAサイクルを回すことを心がけましょう。
ディレクターバンクでは、各種デジタルマーケティング支援の一環として、Webマーケティングを活用した新規ビジネスの立ち上げについてご相談をお受けしています。
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