企業内の事務系業務を自動化・効率化できるツールとして注目されているRPAツール。経理・人事などの業務効率化のほか、ウェブマーケティングの分析の効率化などにも活用できます。人手が必要で時間がかかる、そんな業務ほどRPA導入が有効です。本記事では、主要なRPAツールについて、各ツールの特長と費用の相場感をまとめました。
RPAとは
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略語で、企業の事務系・管理系業務をロボットソフトウェアにより自動化することです。経理、人事の業務や、データ登録・収集などの作業があてはまることが多いのですが、以下のような特徴をもつ業務は、RPA導入により大幅に効率化できる可能性が高くなります。
- ルール化できる
- 繰り返しの作業が多い
- 構造化されたデータを扱う
- 業務量に比例して必要な人員・人手が増える
- 人的ミスが起こりやすい
RPA導入のメリット
RPA導入のメリットとしては、以下の3点が大きいです。RPA導入検討の際には、RPAを導入しようとしている業務に、現在どれだけの人員と時間が充てられており、どの程度ミスが起きているのかを洗い出し、RPA導入にかかるコストと比較してみると良いでしょう。
<RPA導入のメリット>
- 業務効率化
- コスト削減
- 人的ミスの防止
WEBマーケティング、WEBサイト運用などでRPAを導入し、業務効率化やコスト削減することで空いた人手や予算を、商品開発やプロモーション、サポートなどに回すことにより、集客や売上の向上にもつながる可能性もあります。
RPA導入の最新相場調査
1. BizRobo!mini (RPAテクノロジーズ株式会社)
BizRobo!miniはRPAテクノロジーズ(株)が提供するRPAツールのひとつ。RPAテクノロジーズ社は2013年設立の会社。東京に拠点を置くほか、大阪、名古屋、福岡、札幌にオフィスがある。RPAサービスの実績が豊富で、BizRobo!miniのほかにも業務に合わせたRPAソフトウェアを提供している。
ツールの特長
- サーバー不要でPCがあれば導入できる
- バックグラウンドで処理
―利用中、PC画面が占有されない(RPA稼働中も他の業務をPCで遂行可能)
―稼働が安定している(製品アップデートの際、修正が最小限で済む) - 他のRPA製品と比べると比較的安価に効果が出やすい
- 現場型RPAで、ノンコーディングで使いやすい設計
「『BizRobo! Mini』は低コストですが、『BizRobo! LAND Community』や『BizRobo!ナレッジベース』等のサポートサイトが充実しておりBizRobo!の開発者の育成をスムーズに進めることができ、ユーザーの意見交換や質問するBizRobo!専用SNSも充実しています」。(RPAテクノロジーズ株式会社 担当者)
利用者の特徴
- 中小企業~大企業の部門単位でのスモールスタートの導入が多い
- 現場担当者・IT管理者の両者が利用するケースが多い
<導入事例の一部を紹介>
- GMOメディア株式会社:Webベースの業務に適しているため、BizRobo!を選択。社内開発と導入支援の併用で月150時間の効率化を達成する
- 経済産業省:ミスができない人事異動の登録作業をロボット化。プログラミング未経験者が実装して、作業時間が3分の1になる
- 株式会社ドラマ:BizRobo!の提携サービスである導入支援サービス一体型の「ブレインロボ」と「BizRobo! mini」を利用。検討から稼働まで3週間で、投資を上回る効果があった
中心価格帯
90万円
2.Autoジョブ名人(ユーザックシステム株式会社)
Autoジョブ名人は、ユーザックシステム(株)が提供する純国産のRPAツール。ユーザックシステム社は1971年設立の会社。東京・大阪にそれぞれ本社がある。RPA・業務改善ソリューション「名人シリーズ」の開発・販売を行っており、多数の製品がある。業務自動化ツールは2004年から開発・提供をしており、累計で約900社(2019年11月現在)に利用されている。
ツールの特徴
- 受注業務、出荷業務、伝票など帳票類の発行業務のシステム化を強みとする会社が開発。単にRPAツールを提供するだけでなく、業務改善まで踏み込んだ提案・サポートが可能
- 安定的な稼働
- 企業ごとに専任の担当SEが就く
- 継続利用率92%と高い評価
「ユーザックシステムは、もともと企業間取引の要といわれる受注業務をはじめ、出荷業務、伝票などの帳票類の発行業務のシステム化に強みを発揮している企業です。RPAについても、企業間取引にご利用いただくお客様が非常に多く、システムの選定に際しては、安定的に稼働するかどうかを最重要要件として挙げる企業が多いようです。また、各企業にSE(システムエンジニア)が専任で就くサポート体制についても高くご評価いただいています」。(ユーザックシステム株式会社 担当者)
利用者の特徴
- 業界:製造業がもっとも多く、次いで流通業、サービス業と続く
- 業種:食品関連(製造・卸双方)がもっとも多く、次いで電子・機械部品関連、情報通信、身の回り製品(衣料その他)と続く
- 規模:中堅企業から上場企業まで幅広く利用あり。比較的規模の小さい企業も、年額のサブスクリプション契約を中心に契約が増加傾向
<よくある課題>
- ベーシックな課題
―手作業では処理が間に合わなくなってきた
―単純作業はRPAツールに任せて、人間(操作担当者)にはより高度な業務を任せたい
―ミス・ロスを防止したい
―企業間や組織間、システム間の情報連携をスムーズに行いたい - 最近増えている課題
―業務が自動化するとはいえ、RPAツールに数百万・数千万円は投資できない
―RPAの全社展開をローコストで進めたい
―ソフトウェアロボットの開発に困ったときや、エラー発生時など、気軽に問い合わせできる窓口がほしい
―過去に導入した他社のRPAツールでは結局自動化ができなかった
―ソフトウェアロボットを開発したが、実際にクライアントで動かそうとしたところ、クライアントの環境に合わせてロボットを作り直さないといけないことがわかった
<導入事例の一部を紹介>
- 日本製粉:取引先のWebサイトから受注データをRPAでダウンロード
- ライフル:宅建業免許の確認を自動化
- 日伝:取引先のWebサイトから受注データのダウンロードを自動化
- 近藤商会:アスクルのWebサイトにて臨時請求書の自動作成(アスクルエージェント)
中心価格帯
Autoジョブ名人 開発版:600,000円~
※年間ライセンス
3. SynchRoid(ソフトバンク株式会社)
SynchRoidはソフトバンク(株)が提供するRPAサービス。携帯電話会社としてのイメージが強いソフトバンクだが、法人向けに業務効率化やマーケティングを支援するさまざまなサービス・ソリューションを展開しており、SynchRoidもそのひとつ。
ツールの特長
- ノンプログラミングで、動作確認をしながら構築可能
- サーバー不要のスモールスタートが可能
- Design Studioの機能により、ウェブ画面による開発が可能
- システムレイアウト変更時もオブジェクト認識で安定的に稼働
- 導入から開発、トレーニングまでサポートあり
「ソフトバンクでは、『SynchRoid』のライセンス販売だけでなく、『SynchRoid』などのRPAツールの自社導入によって得た豊富な経験・知見を生かしたさまざまなサポートメニューを用意しています。お客さまの社内人材育成や運用ルールの作成など、ユーザー目線の各種オプションメニュー(有償)を活用いただくことで、RPAの効果的な導入をご支援します」。(ソフトバンク株式会社 担当者)
利用者の特徴
「IT部門主導型だけでなく、現場主導でもスピーディに導入しやすいRPA製品として、業界・業種・規模を問わず、経理・総務・人事・営業事務など幅広い部門でご利用いただいています。日常的なPC定型業務を自動化することで人手不足解消や働き方改革、業務効率化を実現し、お客さまに評価いただいております」。(ソフトバンク株式会社 担当者)
<導入事例の一部を紹介>
- 人事異動の際、人事情報に紐づくセキュリティカードの設定変更作業を「SynchRoid」で自動化。作業時間を50%削減
- 経費精算時の領収書未提出者への督促業務を「SynchRoid」で自動化。作業時間を50%削減
中心価格帯
【参考価格(1ライセンスあたり)】
- 「ベーシックパック」:60万円/月(大規模導入や複数部署での利用向け)
- 「ライトパック」:90万円/年(スモールスタート/トライアル向け)
4. HeartCore Rob(エンザントレイズ株式会社)
HeartCore Robは、エンザントレイズ(株)が提供するRPAソリューション。エンザントレイズ社は、2006年設立の会社。東京に拠点を置くほか、西日本を中心に8カ所、サテライトオフィスがある。IBMiソリューション事業、VoIPコミュニケーション事業、オープンシステム事業をコアビジネスとして、RPAによる効率化支援を行っている。
※以下、公式サイト掲載情報より調査。
ツールの特長
- マルチOS/マルチブラウザ対応で専用PCの必要なし
- レコーディング機能搭載、プログラミングの専門知識がなくてもロボット構築が可能
- 画面上の座標だけでなくイメージでも画像解析を行う
- 社内環境で業務作業者のPCへリモートアクセス、業務管理者のみがロボット稼動させることができ、業務作業者の開いている時間で実行可能
- iOS(Jailbreak不要)、Android(root化不要)標準対応。モバイルアプリ等の検証ロボットの作成も可能
利用者の特徴
<導入事例の一部を紹介>
- ホテル経営A社:顧客管理システム導入にあたり、紙媒体のHeartCore Robで顧客名簿登録のスキャンデータを読み込み、自動登録。手動で2ヶ月かかる作業を3日に短縮。その後も恒常的にデータ登録の手間を削減した
- 中古車販売業B社:既存の基幹システムのリプレイスにあたり、HeartCore Robによって膨大かつ複雑な車両情報をノーミスで登録、過去のデータをそのまま利用でき、トラブルなくリプレイスを完了した
- IT機器販売代理店C社:HeartCore Rob導入により、各部門の売上伝票処理を自動ルーティーン。また、100名規模の営業スタッフの経費精算が1カ所に整理してまとめられ、チェックが効率化された
料金体系
・月間ライセンス費用
開発ライセンス:49,800円/月
実行ライセンス:24,800円/月
管理ライセンス:100,000円/月
・年間ライセンス費用
開発ライセンス:500,000円/月
実行ライセンス:250,000円/月
管理ライセンス:1,000,000円/月
※その他、従量制プラン、無制限プランなどあり。
- 月額モデルで3カ月間からのお試し導入可能
編集部のまとめ
- .調査母数(問い合わせした企業数):6社
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):3社
- ソーシャルリスニングサービスの中心価格帯は次の通りとなりました。
年間100万円前後/li>
RPA導入に関する今回の調査では、PCにソフトウェアをインストールするタイプのものがメインでした。社内環境にあるシステムやファイルを対象とする作業の場合は、今回紹介したようなRPAツールの導入が必要となります。
Webマーケティングなどで使われるツールに比べると高く感じられるかもしれませんが、複数の事務系スタッフを必要とする業務を自動化できるとしたら、むしろ安いと言えるかもしれません。今ある業務が、RPAツール活用によりどれくらい効率化できる見込みなのかが、導入を決めるポイントです。
なお、クラウド上で利用できるRPAツールもあります。クラウド型のRPAツールは料金を抑えることができますが、自動化の対象となる作業が、ウェブブラウザ上で行われる作業に限定されます。
編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。 調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
https://www.webtanguide.jp/contact
調査実施概要
- 調査機関:2019年11月25日〜2019年12月2日
- 調査方法:インターネット調査及び電話取材にて実施
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