コンテンツマーケティングとは?その効果と測定方法、事例などを紹介

2021年4月22日

こんにちは。ディレクターバンクの河村です。

Webマーケティングに携わっていると耳にすることの多いワードのひとつ「コンテンツマーケティング」。オウンドメディア運営など、Web記事を充実させるというイメージがあるかもしれませんが、コンテンツマーケティングはそれだけではありません。また、ユーザーの情報収集にSNSが欠かせない存在になるなかで、コンテンツマーケティングの在り方も変化しています。

本記事では、そんなコンテンツマーケティングについて、その定義を確認するとともに、効果や測定方法、事例などを紹介します。

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは、顧客となり得る可能性のあるユーザーに対して有益な情報発信を継続することで、ユーザーに興味をもってもらい、最終的には自社の商品・サービスの購買へとつなげるマーケティング手法です。

「コンテンツマーケティング」の概念を広めたといわれる、アメリカのコンテンツマーケティングインスティチュートは、次のようにコンテンツマーケティングを定義しています。

Content marketing is a strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.

《和訳》コンテンツマーケティングとは、価値があり、関心度が高く、一貫性のあるコンテンツを制作・伝達することで、明確に定義づけされた読者を引きつけ、最終的に消費行動を促進することを目的にした戦略的マーケティング手法です。

広告などのマーケティング手法のように、最初から商品・サービスを訴求するのではなく、ユーザーにとって価値のある情報を提供することからアプローチするのが特徴です。また、一度購入してもらったら終わりではなく、情報発信を継続することで、新規顧客からリピート顧客、優良顧客へと、顧客との関係性を築いていきます。

たとえば、Web制作を手掛けている会社が、自社のサービスを紹介するのではなく、一般的にWeb制作に必要な知識を解説するブログ記事を投稿することなども、コンテンツマーケティングといえます。

具体的なコンテンツの種類

コンテンツマーケティングというと、ブログやオウンドメディアなどWeb上に記事を充実させるというイメージがあるかもしれません。しかし、コンテンツマーケティングのコンテンツには、Web記事を含めさまざまな種類があります。以下に代表的なものを挙げます。

  • Web記事
  • SNS
  • 動画
  • インフォグラフィック
  • ホワイトペーパー
  • イベント・ウェビナー
  • メールマガジン
  • 会報誌

どのような種類であれ共通しているのが、その情報発信の内容が、商品・サービスの訴求ではなく、その情報を受け取るユーザーが知りたいと想定される、ユーザーにとって有益な内容であることです。

ペルソナを明確にする必要性

コンテンツ作成にあたって重要なのが、そのコンテンツを入口として、最終的に自社の商品・サービスを購入してくれるのはどういったユーザーなのか、ユーザー像を明確にすることです。商品・サービスの購入につながる可能性が高いのはどういったユーザーなのか、代表的なユーザー像である「ペルソナ」を明確にしてコンテンツを作成しましょう。

ペルソナを明確にすることで、どういった情報が求められているのか、その情報をどのような手段でどのようなタイミングに発信するのが最適なのか見えてきます。

 

 

コンテンツマーケティングの効果とは?

コンテンツマーケティングの効果として大きいのが、次の点です。

有望な潜在顧客へのアプローチ

コンテンツマーケティングは、自社の商品・サービスを認知していないけれども、商品・サービスのことを知れば購入の可能性のある潜在顧客へ、アプローチしやすい手法です。

ユーザーが情報収集をするなかで自然な形でコンテンツに触れるため、広告のように、商品・サービスを売り込まれると敬遠されることもありません。自社の商品・サービスに関連する事柄に確実に興味・関心を持っているユーザーにアプローチできるため、優良顧客へと関係性を築きやすい効果もあります。

ブランディング

コンテンツマーケティングにより良質のコンテンツを作成して蓄積していくことは、その分野の専門家としてのブランディングになります。多くのユーザーに「○○だったらこのサイト(会社)の情報を見れば良い」と思ってもらうことができれば、商品・サービスに対しても信頼感を得ることができます。

資産の蓄積

コンテンツマーケティングは、取り組む期間が長くなるほどコンテンツが蓄積されます。広告のように、一度出稿したらそれきりということがありません。

良質なコンテンツを作成できれば、かけたコストが資産に変わっていきます。

コンテンツが充実しているWebサイトは、その分野の専門家としてユーザーからの信頼感にもつながります。また、副次的な効果として、SEO的にも有利になります。

広告への依存度を減らせる

コンテンツマーケティングの効果が出始めると、広告への依存度を減らすことができます。コンテンツマーケティングは、コンテンツの作成に時間と人手はかかりますが、広告費のようなコストはかかりません。

また、Web広告で活用されているサードパーティークッキーは、全世界的に廃止・制限される流れがあります。広告による従来の集客施策が難しくなるなかで、広告以外の集客手法も並行して行うことが重要です。

拡散性

情報収集にSNSを活用するユーザーが増えるなかで、良質なコンテンツを作成できれば、SNSで拡散してもらえる可能性があります。

これは特に、自社のSNS運用で狙える効果です。一度拡散の流れに乗ると、ユーザー同士で次々と拡散が起こり、ひとつのコンテンツで多くのユーザー認知を得ることができます。

 

SNS時代に欠かせないコンテンツマーケティング

前述の通り、コンテンツマーケティングの効果ひとつとして、SNSによる「拡散性」があげられます。

かつてはWeb上での情報収集の手段としてWeb検索が重要な手段でしたが、それに並んで重要な手段となりつつあるのが、SNSです。自然な情報としてユーザーにアプローチできるコンテンツマーケティングはSNSと相性の良い手法といえます。

UGCとULSSAS(ウルサス)

マーケティングにおけるSNS活用において重要な存在とされているのが、「UGC」です。UGCとは「User Generated Contents」の略で、ユーザーが自ら作成したコンテンツのこと。SNSの投稿もUGCです。

UGCは、いわゆるユーザーレビューや口コミのような存在で、ほかのユーザーにとって信頼性の高い情報といえます。

UGCの活用について、SNSマーケティング支援を手がける株式会社ホットリンクが提唱している新しい購買行動モデルが「ULSSAS(ウルサス)」です(下図参照)。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSASとは、自社のSNS投稿などのコンテンツを起点として、いいね→SNS内検索→Web検索→購買→シェアとユーザーの行動が変化していくこと。それに合わせてUGCも変化していき、さらにそのUGCが別のユーザーのUGCを生み出します。そうやってULSSAS(ウルサス)が自律的に回ることが理想です。

 

コンテンツマーケティングのデメリット

コンテンツマーケティングはマーケティングに欠かせない手法のひとつとなりつつありますが、次のようなデメリットもあります。

コンテンツマーケティングだけに頼るのではなく、ほかのマーケティング手法とバランスを取りながら実施していく必要があります。

時間と手間がかかる

コンテンツマーケティングで効果を出すには、一定量のコンテンツの蓄積が必要です。広告費のようなコストはかかりませんが、コンテンツの作成には人的リソースが割かれます。

社内で対応できない場合は外注することになり、そこでコストが発生します。

短期的な効果は得られにくい

コンテンツマーケティングは、広告などと違いすぐに効果が出るものではありません。前述の通り、効果を出すためにはまず一定量のコンテンツ作成が必要です。

また、それらのコンテンツがユーザーに届き、認知され、優良顧客となるまでには時間がかかります。

一般的に、コンテンツマーケティングで効果が出るには、少なくとも3~6カ月は必要といわれます。また、継続して効果が出るようになるまでには、1~2年はかかります。

効果測定が困難

Web広告などは、クリック数、広告経由のCV数などで簡単に効果測定ができます。一方、コンテンツマーケティングの効果は広告のように明確な測定が難しく、複数の数値から推測する必要があります。

 

コンテンツマーケティングの効果測定

コンテンツマーケティングの効果測定は、コンテンツ単体の測定と、Webサイト全体の測定とを合わせて考えます。

コンテンツ単体の測定

コンテンツ単体では、コンテンツの種類により以下のような測定を行うと良いでしょう。

  • Web記事:記事のPV数、滞在時間、直帰率・離脱率、記事経由のCV数など
  • SNS:フォロワー・いいね・シェアなどの数。また、投稿経由のCV数など
  • 動画:再生回数、いいね・シェアなどの数。また、投稿経由のCV数など
  • インフォグラフィック:閲覧数、コンテンツ経由のCV数など
  • ホワイトペーパー:閲覧数、ダウンロード数など
  • イベント・ウェビナー:参加人数、参加後のCV数など
  • メールマガジン:開封率、メール内のクリック数、メルマガ経由のCV数など
  • 会報誌:問い合わせ数など

サイト全体の測定

コンテンツ単体の測定と合わせて、以下のようなサイト全体の測定を行うことで、サイト全体の変化とそれにどのコンテンツが影響しているのかを推測できます。

  • セッション数:Webサイトへの訪問回数。同一ユーザーでも訪問ごとにカウントされる
  • UU数:Webサイトの訪問者数。同一ユーザーは何回訪れても1回とカウントされる
  • CV数:CVとしているユーザー行動が行われた数。会員登録や申込・購入など

 

コンテンツマーケティングの向き不向き

コンテンツマーケティングでは、大前提として、発信する情報がユーザーにとって有益である必要があります。有益な情報は、ユーザーにとって「楽しい情報(娯楽)」か、「勉強になる情報(強要)」に大きく分けることができます。

このどちらかの情報を発信できるのであれば、コンテンツ作成に取り組む価値があります。また、コンテンツの作成は、社内で無理なく行うことができれば一番ですが、人的リソースを要するところなので、外注することも多いはずです。

いずれにせよ重要なのが、担当者の姿勢です。抽象的なようですが、コンテンツマーケティングは数字で明確な効果測定を行いにくい分、自社の顧客を知り、顧客との距離を縮めていこうとする熱意が求められます。特にコンテンツ作成を外注する場合、外注に求めるのが難しい部分なので、作成依頼の際の指示書や打ち合わせなどで担当者がカバーしましょう。

 

 

コンテンツマーケティング事例

ここでは、コンテンツマーケティングの事例として、弊社の取り組みを紹介します。

「Web担当者のための見積もり相場ガイド」の場合

「Web担当者のための見積もり相場ガイド」においてコンテンツを作成する際の想定読者と目的は次の通り。

想定ユーザー:編集部メンバーのようなWebディレクター、Web担当者
目的:会社のブランディング・潜在顧客層へのリーチ

編集メンバーはWebディレクターで構成されているため、読者として自分たち自身を想定して、「自分たちが何の相場を知りたいか?」という軸でコンテンツ内容を決めています。

そして、コンテンツを通じて、まずは弊社を「企業のデジタルマーケティング運用代行」の会社として認知してもらえるよう、最終的には弊社のデジタルマーケティング運用代行を利用してもらうことを目的としています。そのために、次の成果指標を設定しています。

KGI:ディレクターバンクのコーポレートサイトへの流入数
KPI:新規訪問者数・各記事コンテンツの精読率

これらの成果指標に対してアクセス解析を行い、月に1~2回定例会議を開くことで、PDCAを回しています。また、日々「Web担当者のための見積もり相場ガイド」を運営するなかで、コンテンツマーケティングには次のような点が重要だと感じています。

  • 継続運用を前提として、運営体制や予算を設定する
  • ビジネス目標とコンテンツマーケティング成果目標の関連性を明確にして始める
  • ゴール(ビジネス目標)からブレークダウンして必要なコンテンツを考える
  • 競合他社との違いや優位な点を意識してコンテンツを作成する

 

 

編集部まとめ

コンテンツマーケティングについて、本記事で紹介した情報を参考にしていただきながら、まずは自社の顧客はどんなユーザーか、そしてそういったユーザーに対してどのような情報が役立てるかを考えてみましょう。

どんな商品・サービスでも、ジャンルや規模を問わず、コンテンツマーケティングに取り組める可能性はあるはずです。商品・サービスを開発・販売するなかで社内に蓄積されている知識やノウハウ、業界ならではの事情などには、意外とユーザーが知らない情報が含まれています。

そういった情報を見つけるためには、自分の視点だけでなく、部署やチームを横断して他のメンバーの意見を聞くことも役立ちます。また、競合他社の情報発信なども参考になるはずです。

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i.kawamura

山口県出身。王朝文学が好きで研究者を夢見て大学で国文学を専攻するも、方針転換で就職。新卒で入社した会社でネットショップ運営に携わり、カスタマーサポートから商品開発、プロモーションなどを経験。その後、EC業界向けメディアに転職。編集部でメディア運営や業界紙の制作ディレクションを経験した後、フリーのライター・編集者として独立。