WEB担当者がWEB制作会社に見積もりを依頼する際、必要な資料として「RFP(Request For Proposal:提案依頼書)」を作成することがあります。
今回は、初心者WEB担当者向けに、RFPとは何か?RFPを作成するメリットとは?そして、RFPを作成する際に大切なポイントについて解説したいと思います。
目次
そもそも、RFPとは何か?
Request For Proposal(提案依頼書)
例えばWEB制作会社などに作業を依頼する際に、見積もり金額をはじめ、どのような条件で作業を受けることができるかといった提案を依頼するための資料。RFPによって、作業案件の「背景」「目的」「狙い」を先方に伝えることによって、精度の高い提案を獲得することを目的とした資料です。
RFPを作成するメリットとは?
RFPを作成するメリットは、精度の高い(=良いコストパフォーマンスの期待が持てる)提案資料をもらうことにあります。
精度の高い提案をもらうためには、そもそも事前にどこまで提案をしやすい情報や状況を提供していたかによって、大きく変わります。
発注者と受注者はいわば映し鏡、発注者がそれなりの事前対応しかおこなわないと、受注者もそれなりの提案しかできません。
初めての取引きの場合、受注者は依頼案件の「筋」や「中身」の善し悪しを、発注担当者から聞いた情報等を元に想像しながら、どこまでリスクを取るか考えながら見積書も作成していきます。
ここで、大切なポイントは発注者側で「どこまで案件の中身が落とし込まれているか?」です。
そして、提案者にそれらの情報を適切に伝える手段、それが「RFP(提案依頼書)」です。
制作会社に口頭で業務見積もりを依頼するのではなく、きちんと文字に落とされた情報を伝えることによって、誤差の少ない見積もり書が提示される可能性が高くなります。
また、その後の価格調整をおこなう際に「言った言わない」のトラブルを未然に防ぐこともできます。
何より、事前にきちんとした文面でRFPを出すことによって、受注者は発注者の期待に応えようと、より具体的な提案を行ってくれる行動につながっていきます。
RFP作成のポイント
① お願いしたい作業内容だけを伝えるのではない!
プロジェクトの背景、目的、狙いが共有されて初めて最適な提案が可能となります。
② 制作会社の選定基準を明確に示す。
コンペの場合、自社が重要だと思っている選定基準はあらかじめ明文化しておきましょう。
③ 目標達成に向けての手段、ゴール設定は自分たちであらかじめ決めておく。
外部業者に自社の未来のあるべき姿を提案させない。
RFPの基本構成要素・例(WEBサイト制作依頼の場合)
- プロジェクト概要(全体視点)
- WEBサイト構築の背景と今回の依頼の目的
- WEBサイトのコンテンツ概要ならびにコンセプト
- ターゲット利用者とインサイト
- WEBサイト名称
- 提供サービス、コンテンツの骨子
- WEBサイトのKPI
- 想定する競合WEBサイト
- 参考としたいWEBサイト
- 提案の要件(現場視点)
- 依頼したい業務範囲
- .納品成果物
- 開発方針
- 優先すべき要素(スピード、コミュニケーション、企画提案力、クオリティ)
- 依頼する機能項目の要件
- コンテンツ制作、デザイン要件について(素材提供の有無など)
- サーバー環境について(自社環境で既にあるかどうかなど)
- 運用・保守要件
- スケジュール
- 予算
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1.そもそもの戦略・目標・予算は自社で決めておく。
ポイント1.自社のWEBサイトの現状把握と課題の明確化
自分たちのWEBサイトは現状、どれくらいのパフォーマンスを出しているのか、そしてこれからどこに向かうべきか、方向性を決めておきましょう。
ポイント2.自社のWEBサイトの取るべき行動、ゴール(目標)の設定
これから向かうべき方向性について、いつまでにどんな状態を目指すのか、その目標を設定し、そのためにどんな行動(施策)を取るべきか、施策仮説を決めておきましょう。
ポイント3.予算枠の獲得
その施策仮説を実行するための概算の予算は確保しておきましょう。
2.自社でやる部分と、相手にお願いする部分を決めておく。
何を自分たちでやって、何を相手にお願いするのかを明確にしておきましょう。
例えば、
・WEBサイトのコンテンツ企画もお願いしたいのか?
・WEBサイトの集客施策やプロモーション企画もお願いしたいのか?
・コンテンツ素材の調達からお願いしたいのか?
・WEBサイトのリリース後の運用もお願いしたいのか?
・サーバー構築、システム開発はそれぞれどちらがやるのか?
この際にあらかじめ、予算枠は正直に伝えておきましょう。
また、依頼内容と予算感があわなければ、受注者側にどういった役割分担で対応可能
なのかも含め提案してもらいましょう。
3.注力ポイント、相手に期待しているポイントを明確にしておく。
どこに予算を重点的にかけるのかを明確にしておきましょう。
例えば、
・コンテンツ企画?
・コンテンツ制作?
・デザイン?(既存のテンプレート流用でいいか?)
・集客施策やプロモーション?
・システム開発?(独自開発?既存SaaSの流用?)
・サーバー、運用体制構築?
同時に、コンペの場合、どこのポイントが今回の判断基準になるのか、優先順位もつけておきましょう。
4.わかっているところと、わからないところをはっきり伝える
「わからないところ=相手の知見に期待している、提案してほしいところ」をきちんと伝えておきましょう。
例えば、
・自社にはWEBマーケティングに詳しい人材がいないので、同業他社の取り組み状況などもレポートしてほしい。
・自社にはWEBのコンテンツ制作に明るい人材がいないので、ターゲットにどのようなコンテンツの引きがあるのか、ベースの企画提案もしてほしい。
・自社にはWEBのシステム開発ができる人材がいないので、どのような既存のSaaSを活用すれば安くシステムが構築できるのか、提案からお願いしたい。
受注者はどこまで発注者がWEBマーケティングのことを分かっているのか?自分たちの知見のどこに期待しているのか?を事前に知ることによって、メリハリの利いた提案をすることが可能になります。
5.主体者としてこのプロジェクトの想い、可能性を語る
RFPに文字で表現する部分ではありませんが、実際のRFPを説明する際、主体者として説明しているかどうかといった姿勢も大切です。
受注者は発注担当者の「やる気」を見ながら、どこまで踏み込んでプロジェクトに関与していくか、判断することがあります。
見積もりの価格は同じでも、ここで受注者のモチベーションが上がればいい形でプロジェクトのスタートをきることができます。
まとめ
WEB制作会社は、発注側のWEB担当者の力量や、今後一緒に仕事を進めていくにあたって、どれくらいのコミュニケーションコストがかかりそうな人なのか、見極めをしながら、見積書や提案書を作成しています。
コストパフォーマンスのいい提案をもらうために、WEB制作会社さんがはじめに想像するそれらの不安要素(リスク要素)をいかに排除していくか、というのが、WEB担当者がRFPを作成する大きな目的になるかと思います。
ぜひ、RFP作成を通じて、いい提案書がもらえるよう頑張ってください!
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