顧客との接点を持つ上で、BtoC商材の場合はLINEやInstagramなどのSNSが主流になりつつありますが、BtoB商材においては依然として電話やメールが有力と言われています。この記事では、BtoBビジネスにおけるメールマーケティングの考え方や設計方法をご紹介します。ターゲットユーザーの心を動かすメールマーケティングのコツを身に付けましょう!
目次
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- BtoBビジネスでメールマーケティングを活用すべき理由
ナーチャリングの重要性
ナーチャリングの流れ - BtoBで活用すべきメールマーケティングの種類
[1] メルマガ
[2] ターゲティングメール
[3] ステップメール
[4] リターゲティングメール - BtoBで成果を出すメールマーケティングの設計とは?
目的・目標の設定
ターゲット設定
自社分析
シナリオ設計 - BtoBで効果的なメールコンテンツの種類
コンテンツ開発に役立つフレームワーク
事例インタビュー
FAQコンテンツ
業界の最新情報
ブログ・コラム記事の紹介
カタログ・資料の紹介
展示会・セミナーの告知やレポート - BtoBビジネスで気をつけたいメール配信時の注意点
誤送信、設定ミス
件名の工夫
配信時間 - まとめ
- BtoBビジネスでメールマーケティングを活用すべき理由
BtoBビジネスでメールマーケティングを活用すべき理由
コロナ禍で対面での営業活動が難しくなった今、BtoB企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)のニーズが高まり、メール配信を活用したマーケティングが改めて注目を浴びています。その背景として、以下の3つの点が挙げられます。
第一に、新サービスやウェビナーの告知、顧客の状態別にアポイントの獲得への誘導などさまざまな場面で活用しやすいことが挙げられます。「訪問や電話をかけるほどでもないが、お知らせしたい内容」は正にメールで知らせるのがベストでしょう。
第二に、長期間にわたって定期的にフォローしやすいためです。BtoBの商材は購入後もフォローが必要なことが多いでしょう。カスタマーサクセスがメールを活用する場面も増えてきました。
第三に、見込み顧客への効率的なアプローチができるためです。数カ月~年単位と検討期間が長いBtoB商材は、ファーストコンタクト直後にクロージングに持ち込むよりも、お役立ち情報や商材の活用方法、成功事例などを用いて頻繁に接触し、商材名・企業名の認知・理解・好意度を高めることで、購入につなげます。
このように見込み客と定期的に接点を持ち、購入までの熱量を上げて育成していくことを「ナーチャリング」と呼びます。
ナーチャリングの重要性
ではなぜ今ナーチャリングが重要なのでしょうか。それはインターネットの普及により以前よりも取得可能な情報の粒度や情報取得方法が多様化し、商材購入までの比較検討プロセスがより複雑になってきているためです。
そのため、見込み顧客に対し中長期的なフォローをして購買意欲を高めていくナーチャリングという概念が注目を浴びるようになりました。メールマーケティングはその手段として手軽で効果的だと言えるのです。
ナーチャリングの流れ
ナーチャリングには「見込み客の獲得→育成→受注」というカスタマージャーに沿って行われます。
まずは、相手の情報(氏名・所属・アドレス)を獲得することから始まります。たとえば、お役立ち資料のダウンロードや無料相談会などに参加の際に情報を入力してもらうのが代表的な獲得手段です。
→見込み顧客(リード)の獲得について詳しくはこちら
次に定期的に接点を持ち顧客を「育成」していきます。育成はメールだけに限らず電話や訪問など顧客の状態に合わせ、懸念点を払拭しながら自然な形で自社商材の理解度・好意度を向上させます。
→見込み客(リード)の管理・育成について詳しくはこちら
そのようにして顧客の温度感を上げ、受注に結びつくのです。受注後も丁寧なフォローをすることで優良顧客にもなる可能性を秘めています。
BtoBで活用すべきメールマーケティングの種類
「メールマーケティング=メールの一斉送信」という単純なものではありません。現在はメールマーケティングの種類・手法も多様化しているので、場面別の効果的な種類を確認しておきましょう。
メルマガ
メルマガ(メールマガジン)とは、「マガジン」とあるように、メールでの定期配信のことです。配信リストの企業に新着ニュースなどを一斉配信することが多く、楽で効率的なアプローチ法ですが、一方向的なコミュニケーションになりがちです。
ターゲティングメール
ターゲティングメールは顧客の住所・役職・業界などといった一部の属性の人を配信対象にして(=セグメントをかける)、送るメールです。属性に合わせた内容を配信できるので読者にはより「自分事化」して読んでもらえて、アクション率を高められるでしょう。
ステップメール
ステップメールは顧客の段階に応じてメールを配信することです。たとえば入門セミナーの参加後に「お礼のメール」、2週間後には「参加セミナーの内容に合った事例紹介」、1カ月後には「応用セミナーの案内」などと、商談の進度に合わせたコンテンツを配信します。ターゲティングメールが属性別にセグメントするのに対し、ステップメールは商談状況ごとにセグメントするのが特徴です。
リターゲティングメール
リターゲティングメールとは「あるWebページを閲覧した」「メールを開封した」など顧客の行動に合わせて送るメールです。顧客の行動を把握し、メールを配信するにはMA(マーケティングオートメーション)ツールを用いるのが一般的です。
→MAツールの導入相場はこちら
BtoBで成果を出すメールマーケティングの設計とは?
「イベント・ウェビナーを開催したままフォローしない」
「目的が不明瞭なままメルマガを配信する」
このような課題は、非効率な営業活動の典型です。ここでは、BtoBならではの効果的なメールマーケティングの設計を考えます。
目的・目標の設定
まずはメールマーケティングの目的・目標(KGI・KPI)を設定します。
たとえば受注前の「見込顧客の育成」を目的とおくことができます。セミナー参加者やLP経由問い合わせなどで集まったユーザーが中心の配信リストができており、購入へ向けて顧客の温度感を上げていくような戦略が求められます。
またSaaS企業の場合は既に受注した「既存顧客のリピート」を目標とすることもできるでしょう。契約更新のリピート率、または契約解除率をKGIに据えるのが良いでしょう。
ターゲット設定
目的・目標と同時に考えるべきは「どんな人物をターゲットにするか」です。ペルソナを描き、彼らはどのような行動をとり、どのような言葉が響くのか、解像度を高めてましょう。BtoB商材の場合、決裁者が複数人いることが多いので、
- 担当者者向け:上司に説明がしやすいような分かりやすい内容
- 決裁者向け:会社の利益に貢献できるかを訴求する内容
とそれぞれの人物のペルソナ設計した上で、コンテンツを出し分ける必要があります。
>ペルソナ設計とは
自社分析
高額商材が多いBtoBは、競合他社のサービスと比較検討され、購入まで至ります。自社のメリット、競合と比較した強みや優位性を改めて言語化しておくことでメールの配信文・コンテンツ内容を考えるのがグッと楽になります。
シナリオ設計
これまでに定めた「ターゲット」がどのような自社のポイントに惹かれ、「ゴール(購入・契約更新)」にまで至るのか、シナリオを設計していきましょう。
メール担当者が複数名いる場合は、カスタマージャーニーマップを作成し、ペルソナがどのようなストーリーで動いていくのか共通認識を持てるとベストでしょう。顧客の興味関心・顧客の心理に合わせて、どのようなタッチポイント(接点)を持つのが良いか、メールマーケティング施策に落とし込んでいきましょう。
>カスタマージャーニーとは
BtoBで効果的なメールコンテンツの種類
メールマーケティングでよくあるお悩みが「定期的にコンテンツを配信して良くネタがない」といったネタ切れ。そんな時はフレームワークに当てはめ、ニーズを高める/ウォンツを高める切り口でコンテンツを企画していきましょう。
コンテンツ開発に役立つフレームワーク
以下は、見込み顧客を育成していく(ナーチャリングする)フレームワークの一つです。
「まだまだ客」を「いますぐ客」に成長させていくコンテンツとして、2方向に向けたコンテンツ提供を検討していきます。
- ニーズを高める
課題の具体化・直近の必要性を訴求していくコンテンツを提供します。法改正や社会情勢の変化にともなうリスクの訴求などをお役立ち情報として届けるのも良いでしょう。 - ウォンツを高める
自社商品が提供できる価値やハードルの低さを伝えるコンテンツが効果的。自社サイトのコラムやウェビナーがマッチします。
顧客のマインドに合わせたコンテンツ開発をして、メールでそのコンテンツを届けることで、受注するまで地道にナーチャリングしていくことが「BtoBで効果を出すメールマーケティング」のポイントです。次からは具体的にどのようなコンテンツがあるか見ていきましょう。 営業やマーケティング部門でのDX化にともなって、自社のリード管理や運用の体制も見直したいというニーズが最近増えてきているように思います。 特にB2B企業の場合、今まで対面営業による名刺交換や、展示会出 ...
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事例インタビュー
事例インタビューとは、実際に商品を購入・導入した企業にインタビューをおこない、第三者から自社商品の優位性を語ってもらうことができます。
- ニーズを高める:他社の課題解決事例を具体的に紹介することで、同じ課題に悩む担当者の共感を生み、ニーズを明文化してあげることができます。
- ウォンツを高める:他社が採用した商品・サービスを事例の中で紹介することで自然に商品・サービス導入のメリットを理解させることが可能です。
FAQコンテンツ
FAQコンテンツは顧客がもつ「よくある質問」に先回りして答えていくようなコンテンツです。
- ニーズを高める:商材のことをよく知らずまだ言語化されていなかった懸念点への気づき、その解が深まることで商材のイメージがよりクリアになります。
- ウォンツを高める:懸念点をあらかじめ払拭でき、安心感をもたらします。
業界の最新情報
法改正のニュースやトレンドなどのお役立ち情報を提供するコンテンツです。自社コンテンツが少ない場合にもオススメの内容です。
- ニーズを高める:トレンドから「これをしないとまずい、流行に乗り遅れる」といった危機意識を喚起するのが効果的です。
- ウォンツを高める:「この配信元企業は業界のことを良くわかっているな」と親しみや信頼感をもってもらえるでしょう。
ブログ・コラム記事の紹介
読者が知りたい「○○とは?」といった用語説明や、サービス提供者(中の人)が垣間見えるような、為になり親しみやすいコンテンツとしてブログ・コラム記事が挙げられます。
- ニーズを高める:潜在的なお役立ち情報を入り口に、徐々に温度感を高めていきます。
- ウォンツを高める:最新情報と同様に専門性のアピールとなり、「この人、この企業にお任せしたい」と思わせます。
カタログ・資料の紹介
商品カタログや資料を閲覧したりダウンロードしてもらうこともできます。
- ニーズを高める:潜在層にはホワイトペーパーやe-Bookなどでお役立ち資料を提供しましょう。
- ウォンツを高める:顕在層には「ちょうど詳しいことを知りたいと思っていた!」というタイミングでメールを配信することが重要です。
展示会・セミナーの告知やレポート
展示会はテキストだけでは理解しづらい内容をプレゼンテーションできる機会です。Web閲覧より能動的な。イベント参加後のフォローも大切です。
また、イベントを実施した後に実施レポートを読み物として提供すれば都合がつかず参加できなかった人へのフォローにもなるコンテンツです。
- ニーズを高める:担当者の興味を引くテーマのイベントを揃え、参加後の追いかけでより具体的なニーズを引き出していったり、次回イベントへの招待へとつなげたりするのが有効です。特に著名なゲストを呼んだ際や有名企業との共催イベントは、その権威性をフックに興味関心をもってもらいやすいです。
- ウォンツを高める:対面で自社のケースに合った提案を受けながら導入のイメージを固めさせます。またウェビナーでも質疑応答タイムを設けることで応答的なやりとりが可能です。
イベントレポートは拘束時間も短く気軽に読んでもらえます。うまくいけば、コンテンツ起点に自社セミナー開催や登壇依頼が来ることもあります。
BtoBビジネスで気をつけたいメール配信時の注意点
BtoCのようにぱっと見のビジュアルの良さや華やかさよりも、信頼感が重要視されるBtoBビジネスにおけるメールマーケティングの注意事項は以下の通りです。
誤送信、設定ミス
誤送信・設定ミスは致命的です。大量送信する場合は特に、配信前にダブルチェックし、配信テストをするなど最大限の注意を払いましょう。メールシステムやMAツールを使用する際は、配信設定を保存できる場合も多いです。
件名の工夫
件名は開封率を左右する重要な要素です。定型文のタイトル(「株式会社○○メールマガジン|サービスXXについて」など)では受信ボックスでも埋もれてしまいます。
メールを読むべきメリットがが文頭でわかるような具体的な件名をつけましょう。
配信時間
BtoBのメールは平日の勤務時間中に読まれることがほとんどです。朝一番やお昼休み明けのメールチェックの時間帯にするか、平日午後の落ち着いている時間帯を狙うなど、先ほどお伝えしたペルソナ設計を元に、その人物がメール開封しそうな時間を想像して配信時間を決定しましょう。複数候補がある場合は、ABテストをして見るのも良いでしょう。
奥深いBtoBメールマーケティングの世界。何もわからない状態でゼロから自社で運用すると、ノウハウが無く、ミスが置きたり、リソース不足になったり、効果測定がおざなりになったりしがちです。より良い効果を出すためにも外部パートナーの活用も検討してみてください。メールマーケティングのプロに一度話を聞くだけでも自社の課題が見つかるかもしれませんよ。
まとめ
BtoBのメールマーケティングはセンスに頼らず戦略設計が重要だとご理解いただけたでしょうか? 「これからメールマーケティングを始めたい」「ただ何となくで配信していた」と言う方はまずは自社と顧客の分析をしっかりとおこない、シナリオを描くことから始めてみてください。
簡単な壁打ち相手が欲しいといったご相談もディレクターズバンクは承っていますので、気軽にお問い合せくださいね。