Webマーケティング戦略を策定する上で、欠かせないKPI設定。今回は、改めてその意味について振り返るとともに、具体的な設定方法を自社事例を交えて詳しくご紹介していきます。
KPIとは何か?
KPIとは、Key Performance Indicatorの略で「重要業績評価指数」と訳されます。
プロジェクトや企業の目指すゴールに対する達成度合いを評価する定量的な指標を意味しますが、定義を聞くよりも、実際のKPI例をご紹介した方がイメージが湧きやすいと思いますので、一般的に設定されているKPIの一部を列挙してみます。
- 運用型のWEB広告の場合
- サイト訪問数、ページ読了数、動画視聴回数
- 資料請求や問い合わせ件数
- 購入ボタン押下数、予約数
- オウンドメディアの場合
- サイト訪問数・訪問者数
- サイト内回遊数
- 問い合わせ件数
- SNS運用の場合
- 各投稿のエンゲージメント数、エンゲージメント率
- 動画再生回数
- 合計リーチ数(拡散数)
- ハッシュタグの投稿数
このように、Webマーケティング施策の良し悪しを計測・評価するための中間指標をKPIと呼んでいます。
KPIは、KGIを達成するための指標である
KGIとはKey Goal Indicatorの略で、「重要目標達成指標」と訳されます。KPIが業務・施策単位での評価指標であるのに対し、KGIは企業全体の中長期的な最終目標数値を表します。
例えば、今ご覧いただいている「Web担当者のための見積もり相場ガイド」は、ディレクターバンク株式会社*が、会社のブランディングと潜在顧客層へのリーチを目的に運用するオウンドメディアですが、そのKGI、KPIは以下の通りです。
KGI:オウンドメディアから自社サイトへの送客数を前年度●●%アップ
KPI:[1] Googleのインデックス数、[2]月間新規UU(ユニークユーザー)数
中長期的な目標(KGI)として、自社サイト上にある各種サービスの詳細ページへの送客数(その先にある問い合わせを見越した数値)と設定していますが、これは潜在顧客の獲得数を定量的に表した指標とも言い換えられます。
ですが、KGIを眺めているだけでは、目標とする送客数を達成するためのアクションが具体化されません。そこで、日々のメディア運用において、意識すべき指標(KPI)が必要になるわけです。「見積もり相場ガイド」のKPIは、[1] 検索エンジン(Google)上で毎月どれだけの記事がインデックスされたか、そしてその結果、[2] 毎月何人が新規訪問をしたかを業務の評価指標としています。
さらに言えば、毎月X本以上の記事を公開するという行動目標もKPIと捉えることができるでしょう。
もし、インデックス数が伸び悩んでいれば、キーワード選定が適切だったか、選定したキーワードに対してコンテンツは適切であったか、などを振り返って次の記事作成に活かし、新規訪問数が伸び悩んでいれば、記事の公開本数を増やしたり、記事告知の手法(メルマガやSNS)を見直したりといった改善策に着手します。
つまり、KGI(自社サイトへの送客数)を達成するために、KPI(インデックス数、新規訪問者数、公開記事本数)を設定しているわけです。
*ディレクターバンク株式会社:企業が直面する課題解決のため、所属ディレクターの中から適材をアサインし、Webマーケティング施策を最適化するための支援をしています。ご提供している各種サービスはこちら。
なぜKPI設定が大切なのか?
取り組むべきことが明確化される
KGI達成のために必達の中間指標ができることで、具体的な施策内容が明確になります。達成できるかどうかわからないゴールに向かって闇雲に走るのではなく、細かくブレイクダウンしてKPIを設定し、小さな目標達成の積み重ねと捉えられれば、心理的ハードルも下がり、モチベーションを担保しながら業務に取り組むことができます。
メンバー間での共有がしやすい
客観的な数値目標を設定することで、他のメンバーと共通認識を持ちやすくなります。特に外部パートナーに依頼する場合は、KGI・KPIを事前に擦り合わせておかないと、プロジェクトがスタートしてしまった後に「思っていた結果とは真逆の方向に進んで、もう取り返しがつかない」という状況に陥ってしまいます。
例えば、SNS運用を外部パートナーへ依頼する際、エンゲージメント数をKPIとする運用と、リンククリック数をKPIとする運用では、投稿コンテンツも使用する機能も全く異なるアウトプットになります。
PDCAを回しやすい
定期的に進捗を確認し、達成度合いを都度確認することが可能になるため、軌道修正が必要な場合も早期に対応することができます。KPIを設定することで、達成した場合の成功要因は何か、未達成だった場合の改善策は何か、と建設的な議論に繋げることができます。
KPIの設定方法
具体的なKPIの設定方法について、簡単にご紹介します。
[1] ゴールから逆算する
例えば、「売り上げ●億円」をKGIとした場合、その売り上げを達成するために必要な受注件数、営業マンの受注率、アポ獲得率、という具合に細かく逆算していけば、Webマーケティングの範疇で何をKPIとして設定すべきかは自ずと見えてきます。
[2] 競合の数値から算出する
SNSやYoutubeなど、フォロワー数が公開されているメディアであれば、競合の状況をベンチマークする形でKPIを設定する方法もあります。
例えば、インスタグラムの新規アカウントを立ち上げる際、競合A社のフォロワー数5万人を、最初に目指す目標とおいた場合、その数値を何ヶ月(または何年)かけて達成するかを決めれば、自ずと毎月獲得すべきフォロワー数が算出されます。
[3] 過去実績や類似事例から算出する
運用型広告やSNSキャンペーンなど、過去に同じような座組で実施したことがあれば、その時の数値を参考にKPIを算出することができます。また、運用代行業社に依頼する場合は、過去に実績がなくても、類似する事例を参考にシミュレーションを立ててくれる場合がほとんどですので、問合せ時に必ず確認するようにしましょう。
KPI設定のポイント
上記のような具体的なKPI設定をする際、以下の2つのポイントに留意してみてください。
KPIとして設定すべき数値は1つ、とは限らない
KGIの達成度合いを測るKPIは、複数存在しています。特に新規事業・新規プロジェクトの場合、メインとなるKPIが定まらないことも高いため、複数のKPIを計測しておき、KGIの達成指標として、もっとも有効なものは何かを検証しながら、メインKPIを定めていくと良いでしょう。
ただし、KPIが多すぎて分析やレポート作成に時間がかかりすぎては本末転倒です。多くても2、3種類のKPIに絞ってプロジェクト開始することが現実的と言えます。
KPIは一度設定したら終わり、ではない
KPIは、あくまでKGIを達成するための指標。どれだけKPIが達成できても、それがKGI達成に向かっていなければ、そのKPI設定は見直すべき対象であると言えます。例えば、PV数は達成しても問合せにつながらない、エンゲージメントは高いがサイト誘導できないなど、KGIに直結しないKPIを追っていないか、定期的にチェックする必要があります。
他にも、インスタグラムで「いいね」より後に登場した「保存」機能の方が1投稿のインプレッションやリーチ数との相関関係が強いという分析結果に至り、多くの企業が保存数をKPIとおくようになった、など、外部環境の変化によりKPIの見直しが必要になるケースもあります。
さいごに
以上、KPIの設定方法について述べてまいりましたが、プロジェクトに深く関われば関わるほど客観的な視点を失いやすく、適切なKPI設定かどうか、KPIの振り返りや分析は合っているのか?などの判断が難しくなることがあります。そういった場合は、うまく外部パートナーを活用し、外部ならではの視点を取り入れつつ、KGIの達成を目指すのも賢明な選択の一つです。
ディレクターバンクは、KGI・KPIの設定を含む戦略策定や、毎月の振り返りなど、Web戦略を成功に導くためのサポートをしています。経験豊富なディレクター陣が、現場で培ったノウハウを惜しみなくシェアさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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