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最適なECプラットフォームを選ぶ基準とは?月額3,000円前後から利用可能な「Shopify」 パートナーに訊くECプラットフォームの相場感

2020年9月17日

今、EC市場が大きく動いています。コロナ禍においてECの利用者が増え、新たなEC参入や、ECをより本格化させる企業が増えています。そんな中、利用者の急増に応え、将来的にも成長を続けるために最初に重要なのが、プラットフォーム選びです。本記事では、ECプラットフォームをどのような基準で選ぶと良いのか、相場を中心に比較します。また、記事後半では、2018年以降日本で導入の増えている「Shopify」について、日本事業の立ち上げメンバーの一人であり、2020年2月の独立後、現在は広くECに関するコンサルを行う上崎理会子 氏に伺いました。個人からメガブランドまで、事業規模に応じたプラン選びについて詳しくご紹介します。

事業規模に合わせてECプラットフォームを選ぶスタイルが普及している日本

上崎「一般的に日本のECプラットフォームは、ビジネスの成長に合わせてプラットフォームを移行していくという考え方で作られています」

無料ASPカートを利用

新規でECを始めるときにまず目につくのが、無料で利用できるASPカートかもしれません。初期費用も月額固定費もかからず、実際に発生した注文・決済に対する手数料のみで利用できる無料ASPカートは、個人事業や小規模の事業者にとって助かる存在です。

上崎「無料のASPカートが向いている例としては、たとえば本業の傍らハンドメイド作品を少しずつ販売したい場合などがあげられます」

個人で販売を続けたいという人にとって、無料のASPカートは大きな機会をくれるものです。

例:BASE、STORES、他

有料ASPカートを利用

一方、もっと本格的にECを運営したいとなると、集客や販促、業務効率化などさまざまな機能を備えた有料のASPカートを選ぶ必要があります。有料のASPカートは、初期費用数万円、月額費用数千円~数万円程度で利用できるプラットフォームです。

例:futureshop、MakeShop、ショップサーブ、他

カスタマイズして構築

そこからさらに事業が成長すると、独自のサービスやオペレーションを可能にする機能、ブランドに合わせたデザインなど、カスタマイズの必要が出てきます。このフェーズでは、オープンソースやECパッケージを利用することになるでしょう。これらは、初期費用数十万円、月額十数前程度で利用できるプラットフォームです。

例:ecbeing、SI Web Shopping、EC-CUBE、他

フルスクラッチで構築

最終的には、フルスクラッチと呼ばれる、完全に自社にカスタマイズしたECサイト構築に至ります。これは、初期費用数千万円、月額数十万円以上の利用になります。

成長に合わせたプラットフォームの移行は、手間やコストはかかりますが、特に、日本の事業者向けに提供されている有料ASPカートやECパッケージは、機能面でもサポート面でも日本ならではの事情に細やかに対応しているというメリットがあります。

事業成長に合わせた移行を前提としないECプラットフォーム「Shopify」

一方、グローバル展開しているShopifyは、プラットフォームを移行せずプランを変更するだけで使い続けることができる設計が特長。日本のECプラットフォームとはまた違った切り口のメリットがあるといいます。

アクセス集中でもサイトが落ちない

EC利用者が増えるなかで今、顕著になっている課題に、急激なアクセス集中によるサイトのシャットダウンがあります。このシャットダウンが起きないという理由で、Shopifyが選ばれるケースも増えているそうです。

上崎「Shopifyはグローバルに展開しているプラットフォームであり、急激なアクセス集中にも耐えうる強固なインフラが整っています。特に、日頃からアクセス数も多く、膨大な通信量がある大企業やメガブランド様からのご相談が増えています」

作り込んでも重くならない

日本の一般的な構築方法でECプラットフォームをカスタマイズするには、プラグインでツールを上乗せしていくことになります。しかし、そうすると表示速度が重くなりがちという問題があります。

上崎「表示速度が遅くなると、ユーザーの離脱につながります。Shopifyでは、デフォルトでかなりの機能が揃っていますし、アプリにより機能を追加しても表示速度に影響しないよう設計されています」

複数のSaaS/ASPサービスを一元管理できる

Shopifyへの移行で驚かれることの多いのが、「ツールの断捨離ができる」ということだといいます。

上崎「ShopifyにはEC運営に必要な機能が最初からかなり備わっています。そのため、これまで外部のマーケティングツールかけていたコストのかなりの部分が不要になります。また、データ容量に応じた課金や制限もないため、大容量のデータを持つ事業者様でも移行が簡単で、この点でもランニングコストを下げることができます」

海外で一般的な決済や物流サービスにも対応しているため、海外向けの販売でもプラットフォームを分ける必要がありません。

ECチームの規模に応じたプラン選び

Shopify導入判断のひとつの基準として、一番安い料金プランを利用したときに利益が出るかという考え方ができます。

上崎「ISSHONI設立後、広くECのコンサルを行いながら、Shopify導入を検討中の事業者様のサポートを多く行ってきました。Shopifyの料金プランは一番安いもので月額29米ドル、日本円で3,000円前後になるので、それが目安になります。もし現時点では小規模でも、ビジネスを大きくしていきたいという目標があれば、Shopifyをおすすめします。ビジネスのスケーリングにおいて、プラットフォームの移行にリソースを割かれないことは、Shopifyが選ばれる理由のひとつといえます」

Shopfiyの4つの料金プラン

月額3,000円前後から利用可能な通常プラン3種

通常プランの3つの大きな違いは、管理画面とShopify POSへのアクセス権がある「スタッフアカウント数」です。具体的には次のようになっています。

ベーシックプラン:月額29米ドル・スタッフアカウント数2
スタンダードプラン:月額79米ドル・スタッフアカウント数5
プレミアムプラン:月額299米ドル・スタッフアカウント数15

上崎「通常プランを選ぶときは、ECチームの人数に応じてプランを選ぶことをおすすめしています。プランの変更はいつでも可能で、変更は即日完了するので、急に売上が伸びてスタッフを増員したという場合にもすぐに対応できます」

年商1億円程度の規模ならばShopify Plus(エンタープライズプラン)

エンタープライズ向けのプランであるShopify Plusは月額2,000米ドル、日本円で20万円前後になります。上崎氏はShopify Plus導入事業者のコンサルも多く行っているといいます。

上崎「通常プランと比べると大きく料金が上がるように見えますが、年商1億円程度の事業者様であれば十分に元は取れると考えています」

Shopify Plusの大きな特徴が、EC運営のバックヤード業務の自動化を進められる点だといいます。

上崎「Shopify Plusは、事業者様のかゆいところに手が届く機能を備えています。たとえば、セール開始の自動設定や、在庫が設定以下になった際の通知の自動化なども可能です。さらに、Shopify Plusでは10個までの複数ストアを管理でき、ストアのコピーもできるので、たとえば国ごと、ブランドごとにストアを展開することも簡単です」

編集部のまとめ

Shopifyが日本で話題になり始めたのが、2018年ごろのことです。当時、Shopifyに在籍されていた上崎さんに一度取材をさせていただきましたが、そこから2年ほどが経ち、ECへの新規参入も利用者も増え続けています。

日本上陸当初は海外発のECプラットフォームということで少し抵抗感を持たれることのあったShopifyも、今や多くの日本の事業者に活用されています。日本語対応が整備されていることも大きいでしょう。

上崎さんの話にもあるように、個人からメガブランドまでプラン変更で対応できるというShopifyの考え方は、日本のEC市場においては異質であり、新鮮なものでもあります。だからこそ、自社でさまざまな取り組みをしてどんどん成長していきたいという事業者にとっては、非常に魅力的に映るのではないでしょうか。

どんなECプラットフォームを使うかで、その後の成長の仕方が変わってくるところもあります。本記事なども参考にプラットフォームごとの大まかな特徴をとらえたうえで、それぞれのプラットフォームや、客観的な視点がほしい場合はコンサルなどに相談してみることをおすすめします。

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