ディレクター陣が事業主へこっそり伝えたい「見積もりの取りかたノウハウ」シリーズ。今回は、年々需要の高まる映像マーケティングにおける制作費について取り上げます。制作会社へ外注するべきか制作ツールを導入して社内で対応するべきか、迷った時の判断基準から、映像制作会社に依頼する際のポイントまで、詳細に教えてくれるのは、映像制作会社エレファントストーンでプロデューサーを務める川畑直人さんです。
教えてくれたのはこの人!
株式会社エレファントストーン プロデューサー 川畑 直人
2017年入社。前職(不動産営業)での経験を活かした不動産関連の映像のほか、企業紹介、プロモーション、ブランディングなど幅広い映像を手がける。
目次
映像マーケティングのトレンド
近年の映像マーケティングのトレンドについて教えてください。
ここ数年の大きな流れとして、映像というツールの需要が年々高まっていることを感じます。特に2020年は新型コロナウイルス感染拡大による影響もあり、従来はリアルなイベントなどでの配布用に紙の資料を用意していたところ、映像に切り替えてオンライン配信するなど、変化の大きい一年でした。会社説明会や新商品発表など、新たなスタイルでの実施を余儀なくされました。
紙媒体と映像、それぞれに持たせる役割のすみ分け方は、まだ模索中という印象が強いですが、文章よりも感情を醸成しやすい映像で全体イメージの印象を付け、詳細に伝えたい事項を紙媒体で補足するという使い分けが目立ってきました。
紙だからこそ訴求できるもの、映像でしか伝えられないもの、それぞれの役割が今後ますます明確化されていくでしょう。
映像制作フローの種類:内製化(ツール導入)or 制作外注
【1】ツールを導入し、自社で映像制作を内製化する
制作会社さんにこんなことを聞くのもなんですが(笑)、制作ツールを導入するメリットを教えてください。
最近はAIを活用した映像制作ツールや、初心者でも簡単に使えるツールが多数登場しています。ツールを導入する主なメリットは以下の2つです。
- 制作費が抑えられる
- 自分たちのタイミングで制作でき、制作期間が圧倒的に短くなる
【編集部コメント】
インスタグラムなどSNSコンテンツとして映像を活用する場合は、短尺映像を何本も制作する必要があります。その場合は、自社で内製化してしまう方がコストも抑えながら量産することができるのでオススメ!また、不動産の物件紹介映像や、シーズンごとにリリースされる新商材を紹介する映像(アパレル業界や飲食業界など)も、自社で内製化した方が効率良い制作フローになるでしょう。
ツール導入を検討する際は、こちらの記事も参考に:
【2】個人クリエイターへ外注する
映像制作を個人のクリエイターに発注することも考えられますよね?
はい、YouTubeやTikTokなど映像プラットフォームが普及し、個人のクリエイターもたくさん活躍しています。依頼しやすい知人、自社商材に親和性の高いニッチなクリエイターと直接やりとりすることも、時によっては効果的ですね。
【3】制作会社へ外注する
では、制作会社へ依頼するメリットを教えてください。
プロの映像制作会社に依頼するメリットは、何と言ってもクリエイティブのクオリティです。せっかく時間と費用を投資して映像制作をするのであれば、自社ではできない演出や最新技術を使って質の高いものを目指すべきです。「こういうエフェクト(映像効果、音響効果)の方がトレンドに合っている」や「こういう演出のほうが想定ターゲットに効率的なインパクトを与えられる」など、+αの提案ができるのは、実績をもつ制作会社ならではの利点です。
また、映像の専門家と進める「制作の過程自体」にも学びや気づきが多いのもメリットです。弊社の場合は、制作に入る前段階として、何のための映像制作なのか、視聴者にどのような意識変容を起こしたいのか、という制作目的のヒアリング・深堀りから始めます。そして、お客様の目的や想いを理解したうえで、それを効果的にターゲットに伝えるためにはどうすればいいかを考え、企画や構成を作成していきます。制作目的や訴求ポイントがボンヤリしていると、「作ったはいいがピンとこない」「ターゲットにも響かない」という残念な結果になってしまいます。
【編集部コメント】
他人のことならわかるのに、自分のことを客観的に見るのは難しいのは世の常。映像制作についても同じことが言えるのではないでしょうか。自社紹介・自社製品紹介をする際も、その魅力を伝える映像制作(特に、その前段階の情報整理)は、第三者の力を借りるのが効果的なようです。
映像制作の見積もりの取り方
そもそも映像制作にかかる費用の内訳ってどうなっているのでしょうか?
映像制作の費用は、制作会社によって大きく異なりますが、含まれる主な項目は以下。
- 企画や撮影、編集の各工程にかかわる「人件費」
- スタジオや機材、キャストなどにかかる「諸経費」
制作したい映像のイメージ、尺や仕様が決まれば、この2つは自ずと決まります。さらに見積もりの金額に大きな差を生むのが以下の項目。
- 撮影の有無
- モデルさんの起用有無
- スタジオ利用の有無
すでにある動画・静止画を素材として利用できる場合は当然制作費を抑えることができます。弊社が依頼を受ける場合は、決められた予算内でできることを提案する場合も多いので、進め方は色々なパターンがあります。過去にこのような記事もまとめていますので、参考にしてみてください。
【参考】価格帯別の映像事例(エレファントストーン社)
https://elephantstone.net/price
見積もり依頼時に必ず伝えるべき項目
見積もり依頼をする際に、注意することはありますか?
最初の打合せで必ずヒアリングする項目をご紹介しますね。このような内容を社内でまとめておいていただけると見積もり作成時にとても助かります。
<映像のイメージや制作の方向性を決めるための項目>
- その映像が果たすべき役割
- もっとも伝えるべきメッセージ
- 伝えるべきメッセージのエビデンス
- ターゲットペルソナ
- ターゲットに求める変化:その映像を見て視聴者にどう行動を変化してほしいか
- 利用シーンと視聴者の前後の動き:視聴者がどんな状況で映像を視聴し、その前後にどのようなことをしているか(例:YouTube広告のダイジェスト版からLPに飛んで本編を見る、など)
- 映像のトンマナ:雰囲気、カラーなど
- クリエイティブへの要望:映像制作にあたってのイメージ
中でも、最も重要な項目は「映像が果たす役割」。これを明確にしておかないと、どの制作会社に依頼しても作品がぶれてしまう可能性が高いです。その映像を見たことで視聴者にどうなってほしいのか、そこを明確にしてから映像制作に入るのがとても重要です。
RFP(提案依頼書)テンプレートのダウンロードはこちら!
川畑さん、ありがとうございました。
今回の取材を元に、映像制作会社が受注時に必ずヒアリングするポイントをまとめた「RFP(提案依頼書)テンプレート」を作成しました。映像制作の発注・見積もり依頼時にどうぞご活用ください。
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