(2017年7月版のレポートに追加調査を行い、更新したものです)
商品開発やプロモーションにTwitterやFacebook、インスタグラムなどのSNSを活用する企業が増えています。しかし、SNS上の膨大な投稿データからなにを分析したら良いかわからない、自社でアカウントを運用しているものの管理しきれない、あるいは効果が見えないといったWeb担当者の声も耳にします。
そこで役立つのが、ソーシャルリスニングツールです。ソーシャルリスニングでは、SNSの投稿データを分析し、市場調査や競合調査を行います。また、自社アカウントの運用管理や効果測定ができるSNS分析ツールもあります。本記事では、ソーシャルリスニングツールについて、それぞれの特徴や相場感を調査しました。
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ソーシャルリスニングとは?
ソーシャルリスニングとは、SNSの投稿データから次のような分析をするツールです。
- 業界のトレンド、ユーザーニーズなどの市場調査
- 自社、競合を含めたブランド調査
SNSの投稿からは、より率直なユーザーの考えや行動を読み取ることができます。そのため、商品開発やWebマーケティング施策の企画などに活用されるほか、炎上対策にもなります。
日本国内で主流のSNSは、Twitter、Facebook、インスタグラムです。いずれにも対応できるツールもあれば、いずれかに特化したツールもあります。Twitterは拡散力が強いですが、インスタグラムは若い世代や美容・ファッションに強いなど、SNSごとの特徴があるので、商材やターゲット層に強いSNSを分析できるツールを選ぶ必要があります。
また、上記の分析に加えて、次のような機能があるSNS分析ツールもあります。自社でアカウントを運営している場合は、こういった機能のあるツールを選ぶと良いでしょう。
- 自社アカウントの運用管理、投稿の効果測定
- キャンペーンなどプロモーション施策の効果測定
ソーシャルリスニングサービスの最新相場調査
1.コミュニケーションエクスプローラ(株式会社サイバー・コミュニケーションズ)
株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)が提供するソーシャルリスニングツール。CCIは、インターネット広告に関する事業を幅広く展開、メディアと広告主・広告会社双方に向けたソリューションを提供しています。その中で誕生したのがソーシャルリスニングツールです。
ツールの特徴
- 最大420日間のTwitter投稿数(全数)を短時間でカウント
- Twitterデータは2007年から全量データで提供
- 文脈から判断した感性(ポジネガ)の判定方法(3段階、48種類の感性を抽出)
- 1アカウントで複数名利用できるなど、低コストで利用可能
- 活用するデータの深堀調査ポイントの発見の速さ
利用者の特徴
- B to C向け業種のクライアントが多い(飲料、ゲーム、食品、映画など)
- プロモーションを企業に対し提案している企業の利用も多い (Web制作会社、ネット広告代理店、コンサルティング会社など)
- 製品・サービスの改善、PRの効果検証に有効
「低コストで早く、マーケティング活動・商品企画・営業企画・リスク管理に活用できるデータが欲しいといった課題が多いです。利用目的が明確になっているか確認の上、ソーシャルリスニングをご検討いただけると、有効的にご活用いただけます」。(CCI 担当者)
中心価格帯
初期費用:10万円(税別)
月額費用:14万円(税別)~
「検討の際に、気をつけていただきたい事が2つあります。 1つ目は、ソーシャルリスニングは主に過去と現在、自社と競合他社などの、"データを比較する"ことになります。従って、ポジティブ、ネガティブ判定のデータ精度が高いこと、比較できる媒体データが多いものをご検討ください。2つ目は導入後にコストUPの懸念が少ないサービスを選択することになります。調査対象期間等、利用したいデータの変更によりコストが大きく変わるサービスがございますのでこの点もご注意ください」。(CCI 担当者)
2.Boom Research(ブーム リサーチ)
株式会社トライバルメディアハウスが開発、提供。トライバルメディアハウスは、定番から最新の手法まで、マーケティングに精通している会社。コンサルティングを始め、マーケティングツールの開発やメディア運営も手掛けている。ソーシャルメディアマーケティングにも強い。
ツールの特長
- 国内主要ブログの90%以上、250以上のWEBニュース媒体やTwitter全量データの分析が可能
- コンサルティングおよびソーシャルリスニングレポートの作成も対応
- 3年2ヶ月の期間を遡ることができる
「操作は3ステップで完了し、分かりやすいインターフェイスで利用しやすいツールとなっています。3年2ヶ月の期間遡ることができるのはソーシャルリスニング業界でも最長です」。(株式会社トライバルメディアハウス 担当者)
利用者の特徴
- ソーシャルメディア上のユーザー評価を把握、分析したい企業
中心価格帯
初期費用:10万円
月額費用:19万円(プロフェッショナルプラン)
※利用期間:6ヶ月~
※以下の4プランがある
- ライトプラン:月額12万円
- ベーシックプラン:月額16万円
- プロフェッショナルプラン:月額19万円
- エンタープライズプラン:月額34万円
※分析データ量が月30万件以上の場合、10万件追加で月額1万円
「1ヶ月目で目的やKPIの認識、2〜3ヶ月目で分析の切り口や軸を定めるとともに、社内共有資料の作成や展開をするなどツールの活用範囲を適時拡大し、4ヶ月目以降でPDCAサイクルを実施します」。 (株式会社トライバルメディアハウス 担当者)
3.クチコミ@係長
株式会社ホットリンクが提供するソーシャルリスニングツール。ホットリンクは、ソーシャル・ビッグデータの収集と、それらのを支援するクチコミ@係長を始めとしたクラウドサービスを提供しています。また、分析エンジン・UIの開発、それらを基軸としたコンサルティング事業も展開。
ツールの特長
- 検索できるデータソース数は590億
- Twitterは全ツイートをカバー
- 累計利用者数約19000社
「検索条件は1度に最大10条件まで利用できます。これを最大限活用することや、男女、地域、年代、職業など多様な切り口で深く調査することで、うまくツールを活用することができます」。(株式会社ホットリンク 担当者)
利用者の特徴
以下のような課題が多い。
- プロモーションの効果測定がしたい
- 市場調査による現状把握のため
中心価格帯
初期費用:10万円~
月額費用:15万円前後
利用期間:6ヶ月~
- モニタリングのデータソース数により料金変動
- Twitterや2ちゃんねるなどのデータソース追加で月額2万円
4.Insight Intelligence Q(インサイト・インテリジェンスQ)
データセクション株式会社が運営するソーシャルリスニングツール。ソーシャルメディア分析ではツール提供だけでなくリサーチも手掛ける。その他、風評リスク対策やAI画像分析、オンラインデータ収集・分析をベースとしたソリューション開発など、データ収集・分析に関して独自のシステム開発を得意とする。
ツールの特長・ツール活用による効果
- マーケター視点でわかりやすいデータをアウトプット
- SNS上の膨大なデータを収集、分析するシステムを独自開発
- 拡散プロセス機能:話題のワード・テーマの拡散過程を分析できる
- アカウント分析機能:特定のアカウントの投稿を分析できる
- Twitterに特化して分析。必要に応じて他のSNSも扱う可能性あり
「『Insight Intelligence Q』は、弊社が2011年から提供してきたソーシャルメディアリスニングツール『Insight Intelligence』をリニューアルしたもので、現在は両方を並行して提供しています。機能で競うというよりも、マーケターがほしい切り口でアウトプットをするという点が、このツールの他とは違う位置づけです」。(データセクション株式会社 担当者)
利用者の特徴
- 広告代理店、PRエージェンシーの利用が多い
- 自社ブランドを複数もつ食品・日用品メーカーの利用も多い
- 商品PR、商品開発に活用される
「たとえば、『歯磨き』に関するSNS上の投稿を分析することで、歯磨きに関する商品の意外な利用シーンが見つかるかもしれません。それがPRのヒントになったり、商品開発のヒントになったりします」。(データセクション株式会社 担当者)
中心価格帯
初期費用:無料
月額費用:10万円(税別)
- 2週間の無料トライアルあり
- データ量に関わらず定額
編集部のまとめ
- .調査母数(問い合わせした企業数):9社
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):4社
- ソーシャルリスニングサービスの中心価格帯は次の通りとなりました。
1)初期費用:10万円
2)月額費用:15万円前後
ソーシャルリスニングツールでは、TwitterやFacebook、インスタグラムなどのSNSを始めとして、ツールによってはブログやニュースサイト、口コミサイトなど、膨大なユーザーの投稿データを分析できます。
ただ、商材やターゲット層によって必要なSNSのデータは異なるので、まずはそれに対応したツールを選ぶと良いでしょう。たとえばTwitterの分析だけで良いなど、分析データが狭まればその分料金を抑えることもできます。初期費用がかからないツールもあります。
ソーシャルリスニングツールをうまく活用するには、分析データの活用目的を明確にすることが重要です。たとえば、商品開発のヒントを探すのか、自社のブランド評価を調査するのか、販促施策のための市場調査なのかなど、目的によってデータ分析の対象や方法が変わります。
ソーシャルリスニングツールのなかには、自社アカウントの運用管理や投稿の効果検証ができるものもあり、SNS分析ツールとも呼ばれます。自社でアカウントを運用している場合は、そういった機能も含むツールが便利です。あるいは、ツール活用も含めたソーシャルメディア(SNS)運用を代行する方法もあります。
編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。 調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
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調査実施概要
- 更新1回目:2018年4月24日〜2018年5月8日
- 更新2回目:2019年10月28日〜2019年11月10日
- 調査方法:インターネット調査及び電話取材にて実施
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