(2018年12月版のレポートに追加調査を行い、更新したものです)
Webマーケティングにおいて、Webアンケート(クイックサーベイ)は、オウンドメディア運営やコンテンツマーケティング、Webサイト集客のための施策として有効です。
Webアンケートによって得られる独自の情報は、オウンドメディアのコンテンツのネタとして活用できます。また、調査結果をプレスリリースで配信することで、Webサイトへの流入も見込めます。
Webアンケートを実施する場合、無料のツールもしくは有料のツールを使って行うケースと、登録モニターを抱えているネットリサーチに依頼するケースとがあります。
本記事では、それぞれのケースについて主要なツールやネットリサーチと、その費用感を調査してまとめました。
Webアンケートの種類と実施フロー
Webアンケートを実施する方法としては、大きく次の3種類があります。
- 無料ツールを使って自社で行う
- 有料ツールを使って自社で行う
- ネットリサーチに依頼する
1、2の場合はツールによって利用できる機能などに差はありますが、フローは共通しています。3の場合は、若干フローが異なります。
無料・有料ツールを使って自社で行う
Webアンケートをツールを使って自社で行う場合は、無料・有料いずれも以下のようなフローになります。
- 質問項目・期間・対象などアンケートの形を決める
- アンケート回答者のリストを作成する
- 1に基づき、ツールでアンケートフォームを作成する
- 2に基づき、アンケートの依頼を行う
- 回答を集計する
回答によって質問を分岐させるなど、複雑なアンケートになると無料ツールでは対応が難しく、有料ツールを利用する必要が出てきます。また、有料ツールのほうがアンケートフォームのデザインの自由度や、集計したデータの分析機能が優れています。
なお、ツールによっては無料で利用できるプランや期間が設定されています。さらに、ツールを提供している会社によってはアンケートのリスト作成を別料金で依頼できる場合もあります。
ネットリサーチに依頼する
ネットリサーチにWebアンケートを依頼する場合、次のようなフローになります。
- 調査票(質問項目)作成:発注者が質問を作成するのが一般的ですが、ネットリサーチが作成代行・作成支援を行う場合もあります。
- アンケート画面作成・確認:ネットリサーチが作成する場合と、発注者がネットリサーチのシステムを利用して作成できる場合があります。
- スクリーニング:ネットリサーチが保有する登録モニターから、調査の目的に沿う回答者を選別します。
- 調査開始:調査期間は2~3日程度が多いです。早いところでは24時間以内ということもあります。
- 納品:Excel形式の生データ(ローデータ)での納品が一般的です。ネットリサーチによっては、詳細な分析が可能な独自ツールを、別料金で提供している場合もあります。
Webアンケートのモニターには、大きく2つのタイプがあります。ひとつは、「純粋モニター」と呼ばれる、アンケートのためだけに集められたモニター。もうひとつは、別のサービスで集めたユーザーをモニターとして利用するタイプです。
なお、自社の顧客にアンケートを行いたいなど、自社にモニターのリストがある企業向けに、Webアンケートのシステムのみを提供するサービスや、展示会やイベントなどで利用できるアンケートシステムを提供するサービスもあります。
調査の前提条件とサマリー
本記事では、無料ツール、有料ツール、ネットリサーチに依頼するケースについて順番に紹介していきます。なお、Webアンケートはアンケートごとの設問数や回答者数によって料金が変動することが多いので、ここでは10問100回答のアンケートの作成を基本として考えます。
【調査結果サマリー】
Webアンケートの中心的価格帯は次の通りとなりました。
有料ツールでアンケート単体:5,000円前後
有料ツールで月額制:5,000~30,000円と幅がある
ネットリサーチに依頼:10問100回答で5万円前後
それでは、それぞれのツールおよびサービスについて特徴を見ていきましょう。
Webアンケート【無料】の最新相場調査
1.Googleフォーム
Googleフォームは、Googleが提供しているフォーム作成ツール。Googleではドキュメントやスプレッドシート、スライドなど無料で使えるさまざまなツールを提供しており、Googleフォームもそのうちのひとつです。
特長
- Googleアカウントを持っていれば誰でも無料で使える
- 無料ながらさまざまな形式の質問作成、画像・動画追加なども可能
- 回答が自動的にフォームで整理される
- Googleユーザー同士で簡単に共有、共同作業が可能
- セキュリティ機能・管理機能などビジネス向けの機能を追加した有料サービスもある(Google Workspace)
中心価格帯
無料
- Google Workspace:月額690円~
Webアンケート【有料ツール】の最新相場調査
2.Questant(クエスタント)/株式会社マクロミル
Questantは、株式会社マクロミルが提供するセルフアンケートツール。マクロミル社は2000年設立、東京に本社を置く会社。ネットリサーチに関して国内・国外トップクラスの実績を持ち、マーケティングに関する幅広いリサーチを手がけています。
特長
- 年間20,000件超の調査実績のノウハウを基に作られたシステム
- 初心者でも直感的にWebアンケート作成が可能
- メール、SNS、QRコードでアンケート回答募集ができる
- オプションで回答者を集めてもらうことも可能
- アンケート結果がリアルタイムでグラフに反映
中心価格帯
アンケート1本:5,000円(税別)
- 1アンケートにつき回答数1,000件まで
通常プラン:50,000円/年(税別)
- アンケート作成数・質問数:無制限
- 回答結果閲覧数:3,000件まで
- 無料プランで有料機能を1週間利用可能
- 回答者を集めてもらうことも可能(GMOリサーチ):10問100人まで10,000円(税別)
3.Survey Monkey(サーベイモンキー)
Survey Monkeyは、Survey Monkey社が提供するアンケートソフトウェア。同社はアメリカを中心としてグローバルに展開する会社。Survey Monkeyを軸としながら、アンケートに関するさまざまな製品・ソリューションを提供しています。
特長
- アンケート対象ごとのテンプレートあり
- 専門家が作成した質問サンプルあり
- グラフやサマリーの自動生成
- テキスト回答のワーククラウドと感情分析
- アンケート共有が簡単
中心価格帯
標準月間プラン:5,500円/月(税込)
- アンケート数・質問数:無制限
- 回答数:毎月1,000件
- 複数人でのアンケート業務を効率化できる法人向けプランと、個人向けのプランを選べる
個人プラン-ベーシック:無料
- アンケート数:無制限
- 質問数:1アンケート10件まで
- 回答数:1アンケート40件まで
4.WEBCAS formulator(ウェブキャス フォーミュレーター)/株式会社エイジア
WEBCAS formulatorは、株式会社エイジアが提供しているWebアンケートシステム。エイジア社は1995年設立、東京に本社を置く会社。「WEBCAS」を軸に、企業と顧客のコミュニケーションを支援する製品やサービスを提供しています。
特長
- シンプルな満足度調査から分岐のあるアンケートまで作成可能な機能性
- 1カ月のスポット利用が可能、作成データはダウンロード可能
- デザインの自由度が高い
- アンケート回答数、質問項目数にかかわらず定額制
- 専任のサポート担当に問い合わせ可能、個別勉強会も開催
中心価格帯
ASP型:初期費用5万円~/月額費用3万円~
- 5フォームまで定額で作成可
- 1グループ、1オペレーターまで定額で利用可
- 最短1カ月~
Webアンケート【ネットリサーチ】の最新相場調査
5.株式会社アスマーク
2018年11月に株式会社マーシュから社名変更。市場調査・マーケティングリサーチを専門とする会社で、Webアンケートを始めさまざまな調査手法に対応している。質の高い調査専用のモニターの登録が全国に約80万人。サポートも充実しており、調査目的に応じた手法を案内してもらえる。
特長
- シニア層のモニター登録が5万人おり、高齢者向けのアンケートに強い
- アンケート調査専門の「純粋モニター」の登録が80万人
「シニア層のモニターは、若い世代に比べて回答意欲が高く、自由記述欄にもたくさんコメントをいただくことが多いです」(株式会社アスマーク 担当者)
価格、導入イメージ
10問100回答で平均50,000円
- 調査開始~納品まで約4〜10日
「必要事項が揃っていれば、見積もりは最短即日提供可能です」(株式会社アスマーク 担当者)
6.株式会社モニタス
マーケティング事業の一環として、Webアンケートを運営。他企業との連携によりモニターを収集し、リサーチを受託しているため、モニター数が多い。マーケティング事業では、その他のアンケート調査や、コンテンツマーケティングにも対応。また、モニターアライアンス事業、グローバル事業も展開している。
特長
- 約2,400名の性的マイノリティーに特化したパネルあり
- 約517万人のモニターを収集、サンプル数を確保しにくいアンケートにも強い
「通常のアンケートでは、性別は「男性」「女性」の二択が一般的ですが、モニタスでは性的マイノリティーに特化したパネルがあり、性的マイノリティー向けの商品・サービスの検討に参考となるデータを収集することができます」。(株式会社モニタス 担当者)
価格、導入イメージ
10問100回答で平均70,000円
- 調査開始~納品までは約3〜4日
7.Fastask(ファストアスク)/株式会社ジャストシステム
「一太郎」「ATOK」などのソフトウェアで有名な株式会社ジャストシステムが提供しているセルフ型ネットリサーチサービス。同社の日本語のプロフェッショナルが調査票チェックを行うため、安心して任せられる。一方で、効率化した仕組みで、スピード・コスト面でも優れている。
特長
- 無料トライアル可能
- 日本語処理認識技術の高いプロフェッショナルによる調査票チェック
- 即配審が可能なアクティブモニターが約160万人
- 出現率(スクリーニング)を無料で調査可能
価格、導入イメージ
10問100回答で平均70,000円
- 調査開始~納品まで約2〜7日
8.リサーチプラス/アイブリッジ株式会社
アイブリッジ株式会社が提供しているリサーチサービス。リサーチ事業の一環として、リサーチプラスを運営。他に、24時間セルフ型アンケートツールの「Freeasy(フリージー)」も提供している。さらに、リサーチ事業以外にも、メディア事業、コンテンツ事業、EC事業と、幅広い事業と幅広い事業を展開している。
特長
- 属性を絞らない「簡単アンケート」では、見積もり不要、調査項目の設定から経過確認、納品までWeb上で完了でき、短納期で回答を集めることができる
- ポータルサイトなどから集めた、「アンケート慣れしていない」ユーザーが約160万人
「『簡単アンケート』では、条件によりますが、配信開始から最短1~2時間で納品まで完了することもあります」(アイブリッジ株式会社 担当者)
価格、導入イメージ
10問100回答で平均20,000円(簡単アンケート)
- 調査開始~納品まで約1営業日
9.Qooker(クッカー)/株式会社ソフトエイジェンシー
株式会社ソフトエイジェンシーが提供するWebアンケートシステム。同社は、データベース事業、オープンソース事業、インターネット事業、そしてパートナーシップにより、データを安全、高速かつ簡単に取り扱うことのできる、ソフトウェアの研究・開発・製作に従事している。
サービスの特長
- 10年以上の実績よる安定したサービスの提供
- 万全のセキュリティ対策による安心の提供
「アンケート用紙を使った従来の方法からオンラインフォームに移行することで、 制作から集計までの手間や時間、コストの削減が期待できます」(株式会社ソフトエイジェンシー 担当者)
利用者の特徴
- セキュリティが充実しているアンケートフォーム、オンラインフォームを希望するクライアントが多い
価格、導入イメージ
以下の価格帯の利用が多い。
- 通常プラン スタンダード:5,00件(3,000円)~2,000件(9,100円)
- 通常プラン プロフェッショナル:5,00件(6,000円)~2,000件(16,300円)
10.MOMONGAアンケート/エクスウェア株式会社
エクスウェア株式会社が提供する、iPad・Android・Web対応のアンケートアプリ。イベントや展示会、店頭での利用がメイン。同社は、システムの受託開発から、iPadやiPhoneなどのスマートデバイス向けアプリ開発、Pepperなどのロボットアプリ開発などを行っている。
サービスの特長
- 展示会、イベントでの導入実績が多い
- iPad端末、Webブラウザに対応、iPad端末の台数による費用の変動なし
- 通信環境がない場所でもオフラインでアンケートの収集が可能
- 電子カタログ機能により、PDF・動画コンテンツを複数登録でき、コンテンツを見ながらの回答が可能
- データをサーバで一元管理、チームでの情報共有がスムーズ
- スピーディーな名刺デジタル化(当日17時にデータをサーバに送信すれば、翌営業日の18時までにテキスト化された名刺情報を納品)
- 営業時間内のメール・電話でのお問い合わせなどのサポート費用が無料
- 展示会やイベントでの導入実績が多いので、スムーズな対応が可能
利用者の特徴
業種・業界問わず、アンケートを取りたいが、以下のような課題があるケースが多い。
- 展示会などで規模が大きいイベントで、情報の収集量が多い
- 集計に時間がかかり収集データを素早く活用できない
- 展示会等でイベントをプロデュースする際に自社の提案に販促ツール追加提案したい
これらの課題に対し、次のよう改善・効果が期待できる。
- 集計する時間、人件費等のコストを削減
- アンケートの保管場所が不要で、アンケート情報、回答者情報を一括管理できる
- リアルタイムで回答データを集計、展示会後に回答者様に迅速な連絡や営業ができる
実際に利用した企業様からは、以下のようなコメントあり。
「iPadで収集したアンケート結果はリアルタイムで確認、生データも出力できるので、アンケートの分析及び成果報告も容易になりました。また、回答データはクラウド上で一元管理されるので、回答結果を参照したうえで優先的にアフターフォローすべき顧客を設定し、各担当に振り分ける、という理想的な体制を構築できました」(株式会社ニッセイ 担当者様)
価格、導入イメージ
以下の利用が多い。
クローズドプラン:月額3万円~/6ヶ月~
- 個人情報収集あり
- 回答件数10,000件
イベントパッ:15万円/会期1カ月まで
- 展示会の規模による変動あり
- レンタル端末台数、名刺デジタル化枚数により料金変動
- 20設問までの代行登録が含まれる
編集部のまとめ
今回の調査概要
- 調査母数(調査・問い合わせをした企業数):16社+4社(2021年1月更新分)
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):7社+2社(2021年1月更新分)
※資料請求など含む - Webアンケートの中心的価格帯は次の通りとなりました。
有料ツールでアンケート単体:5,000円前後
有料ツールで月額制:5,000~30,000円と幅がある
ネットリサーチに依頼:10問100回答で5万円前後
Webアンケートにおいて有料ツールを使う場合、月額制を採用しているツールも多くなっています。
そのため、単発的にアンケートを行いたい場合はそれに対応した料金プランを採用しているツールを探す必要があります。そのほか、アンケートの回答者数と機能の幅で料金が変動します。
また、有料ツールでは、アンケート回答者のリスト作成はツール利用企業が行うのが基本です。
調査サービスを行っている企業や関連会社にそういったサービスがある企業であれば、別途料金でリスト作成も依頼できる場合があります。
一方、ネットリサーチにWebアンケートを依頼する場合、料金を決める要素として、モニターのタイプがあります。
他のサービスのユーザーからモニターを選定するより、アンケートのために集められる純粋モニターのほうが料金は高くなる傾向にあるようです。一方で、純粋モニターは高い回答精度が見込めるという利点もあります。
ネットリサーチによって、登録の多いモニターの属性に違いもあるので、ネットリサーチ選びのポイントとなります。
また、自社の顧客にアンケートを行うなど、自社でモニターが用意できる場合は、Webアンケートのシステムのみを提供するサービスを利用することで、料金を抑えることができます。他にも、イベントや展示会、来店者などにWebアンケートを行うことのできるサービスもあります。
Webアンケートの活用方法は広がっているので、自社のWebサイトやユーザーに合った方法を選ぶようにしましょう。
調査実施概要
- 期間(初回):2017年9月6日〜2017年9月14日
- 期間(更新1):2018年11月27日〜2018年12月2日
- 期間(更新2):2021年1月12日〜2021年1月20日
- 調査方法:インターネット調査及び電話・メール取材にて実施
編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。
調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
https://www.webtanguide.jp/contact
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