(2019年3月更新のレポートに追加調査を行い、再度更新したものです)
SEO対策やWeb広告などの集客施策、Googleアナリティクスによるアクセス解析などによりPV(ページビュー)は伸びてきたけれど、滞在時間が短かったり離脱が多かったりしてCV(コンバージョン)が伸びない。ページ改善にあたりユーザーの興味関心の高いコンテンツを知りたい。そんなWeb担当者の役に立つのがヒートマップツールです。ヒートマップツールは、Webページにおけるマウスの動きやスクロール、クリック、離脱などのユーザーの行動、閲覧時間が長くユーザーの興味関心が高い箇所を可視化できます。そんなヒートマップツールについて、主要なサービスと相場観を調査しました。
ヒートマップツールとは
Webサイト運営において利用されるヒートマップツールは、Webページ上のユーザーの行動データを分析し、サーモグラフィのように色と濃淡により可視化するツールです。基本的な機能として、以下のようにWebページ上でのユーザーの行動を分析、可視化できます。
- スクロール:ユーザーがWebページをどこまでスクロールして、どこでやめるか
- マウスの動き:ユーザーがWebページのどこに興味を持ちやすいか
- 滞在時間:ユーザーがWebページのどのエリアをよく読んでいるか
- クリック:ユーザーがWebページのどの箇所をクリックしているか
- 離脱:ユーザーがWebページのどの箇所から離脱しやすいか
ヒートマップツールのメリット・デメリット
ヒートマップツールのメリットとしては、次の点があげられます。
- 数値よりも色による可視化のほうが直感的にわかりやすい
- PV数やアクセス解析ではわからない、Webページでのユーザー行動の全体が見える
- 集客はできているのにCV率が伸びないときの解決のヒントを導くのに効果的
逆に、ヒートマップツールのデメリットとしては、次の点があげられます。
- 正確なデータ収集・分析には、Webページへ一定のアクセス数が必要
- Webページへの流入元などアクセス解析はできない
- Webページでのユーザーの行動はわかるがその理由はわからない
Webサイト運営においては、SEO対策や広告などでまず流入を増やす必要があります。しかし、集客はできても離脱が多い、CVに結びつかないという場合、Webページの内容や構成に問題があることが考えられます。その解決に、ヒートマップツールが有効です。
ツールによる機能の違いや、無料・有料によっても機能に違いがあるので、自社に適したヒートマップツールを見つけてください。
ヒートマップツールの最新相場調査
1.SiTest(サイテスト)
(株)グラッドキューブが提供するヒートマップツール。広告などから流入したユーザーのCVを促進させるために、自社で解析ツールを開発し、AI(人工知能)を搭載している。同社はインターネット広告運用、ユーザー行動解析アプリの開発・運用、自社スポーツメディア運用なども行っている。
サービスの特長
- 数字の可視化だけでなく、ページ改善のヒントを得られるA/Bテストをツール内に搭載
- テストすべき箇所をAI(人工知能)が自動判別、最適なページ改善策が得られる
- エントリーフォームなどの入力支援機能を搭載、プラグラミング知識がなくても利用可能
- すべての設定を管理画面上から行うことができる
「AIが搭載されているので、社内にデータ解析の選任の担当者がいない場合でも、今後の改善策が立てやすくなっています」。(株式会社グラッドキューブ担当者H氏)
利用者の特徴
- 利用企業の業界は多岐に渡る
- BtoB企業よりもBtoC企業の方がやや多い
中心価格帯、導入フロー
初期費用:無料
月額費用:約50,000円
- 1ヶ月間の無料トライアル(すべての機能を使用可能)の後で利用開始するユーザーがもっとも多い
- 即日導入可能
2.TwinHeat(ツインハート)
(株)HARMONYが提供するヒートマップツール。同社は総合Webコンサルティング企業。Webサイト分析や調査事業のノウハウを活かしたWeb制作事業やメディア事業、Webツール提供事業を行っている。1回の申込ですべてのWebツール利用権を得ることができ、ツール間を行き来して、さまざまな機能を自由に利用できる
サービスの特長
- 計測結果のレポートに2つのヒートマップを並べて掲載可能。ページ改善の前後で比較することで、ユーザー行動の変化を簡単に効果検証できる
- Twin Heat申込で、HARMONY社提供の各種ツール(HARMONY TOOLS)を利用できるようになる
- 計測結果を自在にセグメントしてレポート作成可能。ブラウザで内容を確認後、PDFファイルに保存できる
「現在と過去のヒートマップを並べて表示できるので、ページ内容を変えたときの効果が理解しやすくなります」。(株式会社HARMONY担当者O氏)
利用者の特徴
- 利用企業の業界は多岐に渡る
中心価格帯、導入フロー
初期費用:無料
月額費用:約5,000円
- 即日〜2日程度で使い始める利用者がもっとも多い
3.MIERUCA HEATMAP(ミエルカヒートマップ)
株式会社Faber Company(ファベルカンパニー)が提供するヒートマップツール。同社はMIERUCA(ミエルカ)シリーズとして、ヒートマップの他にコンテンツマーケティングツールなどを提供している。ツールの他にもSEO施策やコンテンツマーケティングのサポートやコンサルティングに対応。
※公式サイトから調査
サービスの特長
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- ユーザーの離脱・クリック・注目箇所が分かる
- ヒートマップ以外の関連機能も充実
- 無料で利用できるプランあり
- 活用サポート、動画マニュアルあり
- ドメイン登録数無制限でサイト規模に合わせたプランあり
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利用者の特徴
<導入企業の一例>
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- 株式会社Wevnal:デジタルマーケティング事業、LP制作・チャットボットAI開発などを提供する企業。ミエルカヒートマップ活用でCPA改善、375%改善事例も
- 株式会社ドットコム・マーケティング:Webサイトコンサルティングを強みとするマーケティング企業。ミエルカヒートマップ活用で旅館サイトの宿泊予約を200%改善
- 後藤ブランド株式会社:広告運用・LP制作から経営コンサルティングまで行うWebマーケティング企業。ミエルカヒートマップ活用でCVR1.5倍を実現
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中心価格帯、導入フロー
一番人気はビジネスプラン
月額料金:19,800円
※年間契約
計測可能PV数(上限):100,000PV/月
4.CATSヒートマップ
株式会社マルジュが提供するヒートマップツール。同社はWeb、モバイル系アプリケーションの開発会社として、特にアフィリエイト、Web広告に関連するツールやシステムを多数開発・提供している。
※公式サイトから調査
サービスの特長
- クリック/スクロール/アテンションヒートマップ/セッションリプレイ動画に対応
- システム開発会社の21年のノウハウを基に開発
- PV制限・ドメイン制限なしの月額固定料金
利用者の特徴
次のような課題を持つ企業におすすめ
- CVユーザーの動きを把握したい
- クロスドメインによる広告運用でCV計測がうまくとれない
- 従来のヒートマップ分析がPV従量課金やドメイン単価の契約だった
料金体系、導入フロー
初期費用:0円
月額費用:49,800円(税抜)
- オプションでクロスドメイン計測可能な広告計測ツールとの連携あり
- 納期:1~2営業日
5.Mouseflow(マウスフロー)
日本公式販売代理店として(株)APOLLO11が提供しているヒートマップツール。Mouseflowの提供は主要事業のひとつ。他に、SEO事業としてコンサルティングとWebサイト制作、メディア事業として引越し情報サイトの運営も行っている。
※公式サイトから調査
サービスの特長
- Webサイトにおけるユーザーの行動を録画するセッションリプレイ機能。フィルター機能で特定のユーザーの行動を絞ることができる
- Webサイトのページ間の遷移率を記録するファンネルズ機能により、CVR向上につながりやすい
- ユーザーのフォーム利用を計測するフォーム分析機能により、離脱を防ぐ
利用者の特徴
- 150,000社以上の企業に導入実績あり
- フォトスタジオでCVRが 1.2%から2.6%へ向上
- 環境系商社でCVRが0%から0.15%に向上、毎月コンスタントに15件〜20件の見積もり依頼がWebフォームより発生するようになる
- 呉服・振袖販売店でCVRが0.001%から0.5%に向上、毎月コンスタントな集客を実現する
料金体系、導入フロー
スタータープラン:月額3,186円
グロースプラン:月額10,875円
プロプラン:月額43,830円
- 無料プランあり
- 年間契約による割引あり
6. USERDIVE(ユーザーダイブ)
(株)UNCOVER TRUTHが開発・提供しているヒートマップツール。同社のサービスはUSERDIVEと改善PDCAアウトソーシングの二本柱。USERDIVEには、アプリ内分析のための解析ツールもある。また、改善PDCAアウトソーシングにおいても、改善施策を立案するためにUSERDIVEが活用されている。
※公式サイトから調査
サービスの特長
- Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを組み合わせることが可能。Webサイト内の課題発見と原因を究明、データを基にしたWebサイト改善を実現する
- PC・スマートフォンいずれにも対応
利用者の特徴
- 2013年のサービス開始以降、大手企業を中心に350社以上の導入事例あり
- UTグループにて採用ページの応募完了CVRが200%に改善
- フジドリームエアラインズ社でCVR向上、ページ改善への新たな取り組みが始まる
- 富士フイルム社でより品質の高い製品ページへ遷移するCVRが25%アップ
料金体系、導入フロー
要問い合わせ
7. User Heat(ユーザーヒート)
(株)ユーザーローカルが提供するヒートマップツール。同社ではビックデータ分析システムの開発研究に強みを持ち、ヒートマップツールの他、ソーシャルメディアやメディア解析のツールなども提供している。また、人工知能・機械学習の開発研究も進めており、関連するサービスを提供している。
※公式サイトから調査
サービスの特長
- 1サイトあたり月間30万PVまで、5種類のヒートマップを無料で利用可能
- PC・スマートフォンとデバイスごとにヒートマップ解析が可能
- 詳細な分析、EFOなどを希望する場合は有料ツールを利用すると良い
利用者の特徴
- User Heatは個人利用やPV数の少ないWebサイト、シンプルにヒートマップ機能のみを利用したい場合に向いている
- 月間30万PV以上のWebサイトや、より詳細な分析、EFOなどを利用したい場合は有料ツールのUser Insight利用となる
料金体系、導入フロー
1サイトあたり月間30万PVまで無料
- ユーザー登録後、解析タグを埋め込み、対象ページを選択すれば利用可能
- PV数の多いWebサイトやより高度な機能を利用したい場合、User Insightという有料のツール利用となる。この場合、初期費用50,000円、月額費用50,000円~
8. Ptengine(ピーティーエンジン)
(株)Ptmindが開発・提供するWebマーケティング支援ツール。主な機能のひとつとしてヒートマップを利用できる。同社は日中の若手を中心したグローバルITベンチャー企業。Webデータ分析システムの開発・提供から、Webマーケティング支援、EC事業などを行っている。
※公式サイトから調査
サービスの特長
- 30種類以上のダッシュボードにより、利用者の知りたい情報に対応
- 各ユーザーセグメントしたインサイトを簡単に確認できる
- CVと非CV、会員と非会員、A/Bテストなどの比較が可能
- ユーザーのセグメントの自由度が高い
- 多様なデータの収集・蓄積が可能、データ連携も可能
- One-Oneコミュニケーションのための機能を準備中
利用者の特徴
- 個人から大企業まで利用者の規模は幅広い
- 150,000以上の利用実績あり
- ライザップグループで問い合わせ件数が167%、入力フォームの完了率が2.6倍に改善
- アイレップ社でCVRが1.5倍、読了率が3倍に改善
- 電通ダイレクトフォース社でCVRが3%から5.4%、13.9%から21%などの改善
料金体系、導入フロー
月額14,800円~
- 年間一括払い、月額払いの場合は割高になる
- 無料プランあり
- 料金プランによりPV数、イベント数、サポート体制が変わる
9.Contentsquare(コンテントスクエア)
世界No1顧客体験分析プラットフォーム。日本では株式会社ギャプライズが販売・サポートを行っている。同社はWebマーケティングに関する世界のさまざまなツールやプラットフォームを日本に紹介し、サポートを提供。また、MAの導入サポートやWeb広告運用代行なども行っている。
※公式サイトから調査
サービスの特長
- カスタマイズ不要でサイト上のすべての要素を自動的に識別、各種ビジネス指標を簡単に分析
- コンテンツ単位でのROI可視化が可能
- カスタマージャーニー分析、AI主導のアラート機能あり
- Chrome拡張機能で効率的に利用できる
- 専門知識不要で簡単かつ直感的に利用できる
- デスクトップ、モバイル、アプリの全チャネル対応
料金体系、導入フロー
都度見積り、要問い合わせ
編集部のまとめ
今回の調査概要
- 調査母数(問い合わせした企業数):9社(更新時)
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):4社(初回)/1社(更新時)
- ソーシャルメディアマーケティング運用支援の相場は次の通りとなりました。
月間PVが数千程度の場合:月額費用無料~5,000円程度
月間PVが数万程度かそれ以上ある場合:月額費用10,000円~50,000円程度
※初期費用は無料の場合が多い
ヒートマップツールの料金は、料金プランがある場合は、PV数を基準にしているケースが多く見られました。他に、クリック数やセッションを基準にしているケースもありました。
ヒートマップツールの基本的な機能のみの利用の場合、月額数千円で利用でき、無料で利用できるツールもあります。しかし、複雑な分析、ユーザー行動の動画再生機能、AI(人工知能)による自動化機能などを利用できるツールやプランでは料金が高くなり、中には月額数十万円というツールもあります。
ヒートマップツールの利用を検討する際は、どこまでのデータ分析・解析を必要としているのか明確にしたいところです。
無料プランを提供しているツールも多いので、まずは無料プランや有料でも比較的コストを抑えられるプランを利用して、ヒートマップツールでどのような効果が得られるのか試したうえで本格的な利用を検討するのも良いのではないでしょうか。
調査実施概要
- 期間(初回):2017年10月11日〜2017年10月23日
- 期間(1回目更新):2019年2月18日~2019年2月25日
- 期間(2回目更新):2020年10月13日~2020年10月20日
- 調査方法:インターネット調査及び電話・メール取材にて実施
編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。
調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
https://www.webtanguide.jp/contact
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