(2017年12月版のレポートに追加調査を行い、更新したものです)
Webサイトの中でも、限定したユーザーにサービスや情報を提供する会員制サイトは、顧客情報の管理の効率化や、優良顧客の育成に役立ちます。しかし、一般的なWebサイトとは違う仕組みを持つ会員制サイトの制作を、普通の制作会社に依頼できるのか、構築費はどのくらいかかるのか、不安な点も多いのではないでしょうか。本記事では、会員サイト構築が可能な主要サービスとその相場を調査しました。
会員制サイトの構築方法
会員制サイトを構築する際、次の3つの方法があります。今回は、会員制サイトの構築が可能なCMSを中心にその費用相場感を調査しました。
1から開発する
大企業向きの方法。サイトの機能や管理画面など、完全に自社に合わせた構築ができる。一方、費用と時間の負担は大きく、運用管理・保守も自社で担う必要がある。
WordPressで制作する
オープンソースCMSであるWordPressのプラグインを利用して、通常のWebサイトに会員制サイトの機能を追加する方法。気軽に利用でき、比較的安価。ただし、プラグインを活用するための専門知識が必要。また、管理画面の利便性はやや劣る。
会員制WEBサイト専用のCMSで制作する
会員制サイト構築に必要な機能を標準機能として備えるCMSを利用する方法。会員サイトの作成および運用がしやすく、管理画面の使い勝手が良い。
インストール型とクラウド型があり、インストール型のほうが自由度は高いが、自社でサーバーを用意する必要があり、必要な人員や費用は増える。基本的な機能があれば十分で、費用を抑えて始めたいならクラウド型のほうが向いている。
会員制サイトの構築方法
会員制サイトはBtoB、BtoCを問いません。BtoBのサービスでは、会員制サイトを作成することで、顧客情報の管理を効率化し、より効果的な販促施策を行うことができます。
会員制サイトの例として、以下のようなサイトがよく見られます。
- アーティストのファンクラブ(BtoC)
- 卒業生向けの同窓会サイト(BtoC)
- 法人向けサービスのユーザー向けサイト(BtoB)
- 販売代理店への情報提供サイト(BtoB)
- 大規模なポータルサイト(BtoC/BtoB)
会員制サイトの最新相場調査
1.シクミネット(しゅくみねっと株式会社)
しゅくみねっと株式会社が提供する会員管理・入金管理のクラウドサービス。同社の事業は、ITソリューション事業・イベント各種事業の二本柱。ITソリューション事業の中心がシクミネット。イベント各種事業では、事務局業務や制作、物販、当日運営、事後報告までワンスで提供。
サービスの特長
- 会員管理、入金管理、イベント管理に関する豊富な機能があり、すべてのデータ・機能・履歴の連動制御が可能
- クレジットカード、コンビニ、ペイパル、ペイジー、口座引落など豊富な決済方法
- 会員データ×入金データの一元管理で入金消し込み作業不要
- 大手金融機関、保険会社も利用するセキュリティ体制(ISO27001取得)
- 低コスト、スピーディーな導入(7日前後)
<サービス形態>
- クラウド型
利用者の特徴
- アナログ的な処理に労力がかかっているという課題を持つところが多い
- 公益財団、一般社団法人のクライアント多数
<代表的な導入実績>
- 日本ソフトテニス連盟
- 公益社団法人 日本ビリヤード協会
中心価格帯
月額利用料2万円台(定額)
※カスタマイズ団体をのぞく
2.PowerCMS(アルファサード株式会社)
アルファサード株式会社が提供しているCMS。PowerCMSフレームワークを活用して、企業のWebサイト構築、運用をサポートしている。PowerCMSを始め、自社開発のソフトウェアやクラウドサービスの提供を行っている。Webアクセシビリティを重視し、標準化活動や新技術の採用にも積極的。
サービスの特長
- CMSの開発元が、構築・開発の実作業も対応している
- 専任チームによる充実したサポート体制
<サービス形態>
- インストール型
- クラウド型(PowerCMSクラウド)
利用者の特徴
- 業界・業種に偏りはなく、さまざま
- 中〜大規模の企業が多い
- アクセシビリティに課題を持つ企業が増加傾向
<代表的な導入実績>
- ソフトバンク・テクノロジー株式会社 / EC バイヤーズ
- 株式会社マイクロウェーブ / NTT都市開発株式会社様コーポレートサイト
- NTT アドバンステクノロジ株式会社
利用価格帯
300万円~
ライセンス:30万〜180万円(会員限定サイト機能は60万以上)
3.Drupal(デジタルサーカス株式会社)
デジタルサーカス株式会社が提供するオープンソースソフトウェア。同社はこの「Drupal」をベースにWEBサイト構築支援を行なっている。Drupalは「オープンソースCMSアワード」で2年連続優勝、殿堂入りするなど国内外で高い評価を得ているソフトウェアで、Drupalの公式サポーティングカンパニーに日本で初めて認定された企業でもある。
サービスの特長
<標準機能>
- コンテンツ管理機能(コメント、バージョン管理など)
- サイト管理機能(メニュー、カテゴリ管理など)
- ユーザー管理機能(会員、プロフィール、権限管理など)
- レポート機能(稼働状況、ログ管理、RSSなど)
- 環境設定(デザインテーマ、多言語対応、スマホ対応など)
など
<拡張機能でよく使われる機能>
- おすすめ記事
- ダイレクトメッセージング
- Eコマース
- 多言語対応
- ワークフロー
など
<サービス形態>
- インストール型
(デジタルサーカスのサーバーを利用、その他インストール先は応相談)
利用者の特徴
<代表的な導入実績>
- バニラエア(LCC、格安航空会社)
- 毎日.jp(毎日新聞社)
- H.I.S Flight Search(旅行会社、外国人向け航空券検索サイト)
など多くの業界で導入実績あり。
中心価格帯
初期費用:約490万円
月額運用費:約15万円
4.SmartCore(株式会社イーストゲート)
株式会社イーストゲートが提供するクラウド・ASP型会員管理システム。同社は会員制WEBサイト構築をメインのビジネスモデルとしており、団体の規模や運営方法にあわせて低予算で構築できる「SmartCore」と、大学の校友会や学校・部活動の同窓会など、卒業生を中心とした団体の効率的な運営をサポートする「almnet」が主要サービスとなっている。
サービスの特長
<基本機能>
- 会員データベース管理
- メッセージ配信
- ファイル共有
- バックアップ
- 会員間交流
- セキュリティ機能
など
<サービス形態>
- クラウド型
(最小構成料金・基本機能に各種オプションをつけて利用)
利用者の特徴
- 学会、学術団体、校友会、同窓会、ユーザー会、 ファンクラブなどの利用を想定
<代表的な導入事例>
- リコーリース(用途:OB会など)
- 日本けん玉協会(用途:会員管理サイト)
など
料金体系
初期費用:
SmartCore側のサブドメインを利用する場合:22.8万円〜
独自ドメインを取得する場合:32.8万円〜
- ドメインをSmartCore側にするか独自ドメインにするかで以下のように料金が変わる。利用者側でドメインを自由に設定する場合、SSL費用がかかる。
月額運用費: 13,250円(最小構成料金の場合)~
- 決済機能などについては別途見積もり
<最小構成料金>
会員数:
- 100名 ファイル容量:1GB
- データベース容量:200MB
- トラフィック容量:2GB
- メール送信件数:1000件/月
*各要素を増やす場合は従量制で追加料金が発生。
5.ログインプラス(株式会社リーフワークス)
株式会社リーフワークスが提供しているCMS会員サイト構築システム。同社は事業の3本柱として、パッケージ事業(パッケージ製品の販売)・WEBサービス事業(サーバ構築、保守、情報発信など)・ストア事業(ECサイト)を展開している。ログインプラスはパッケージ事業のなかの製品のひとつ。
サービスの特長
<サービス形態>
- インストール型
「一般的なCMS構築作業は少なからずプログラミングの知識を必要としますが、ログインプラスはそのような知識が一切不要で、簡単に会員登録や会員専用ページを作成することができます」。(株式会社リーフワークス 担当者)
利用者の特徴
以下のような利用を想定している。
- 会員制のWEBサイトを構築したい
- 既存のWEBサイトに会員専用ページやメルマガ機能を追加したい
- 顧客サービスとして顧客への情報発信やポイント管理をしたい
- 会員機能が必要なWEBサイトを受注したデザイン会社、学会、学術団体
「ダウンロード型のため、具体的な活用方法は把握していませんが、ポイントを付与・管理する機能やメール配信機能が特に高評価をいただくことが多いです」。(株式会社リーフワークス 担当者)
料金体系
1ライセンス:16.8万円
- 1ライセンス購入してからのサイト構築となる
- 基本的にはライセンス購入でサイト構築が可能。ただし、デザイン制作や組み込みをリーフワークスへ依頼する場合は別途費用が発生する
6.concrete5(コンクリートファイブ/コンクリートファイブジャパン株式会社)
コンクリートファイブジャパン株式会社が提供するオープンソースCMS。同社は、concrete5 を中心に、Webサイトをメインとした企業のデジタルマーケティング基盤構築の支援を行っている。デジタルマーケティングに関する専門知識と技術力、幅広いパートナーシップを持つ。
サービスの特長
- 世界70万サイト以上で利用されている
- 企業のニーズと時間的制約、予算などのバランスを最適化するノウハウを持つ
- concrete5を活用したサイト制作・システム開発から保守・運用、技術的なサポートまで対応可能
<サービス形態>
- インストール型
利用者の特徴
- 製造業、大学、公的機関、メディアサイトなど、利用業界は幅広い
- 規模感としては上場している企業が多い
<代表的な導入実績>
- デイリーポータルZ
- 文科省
- セイコーインスツル
- コニカミノルタ
など
中心価格帯
要問い合わせ
編集部のまとめ
今回の調査概要
- 調査母数(問い合わせした企業数):6社(更新)
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):4社(初回)/3社(更新)
- 会員制サイト制作の中心価格帯は次の通りとなりました。
- 1)初期費用:
インストール型 450万円前後
クラウド型 無料~30万円前後 - 2)月額費用:
インストール型 10万円前後
クラウド型 2万円前後
会員制サイトの構築を、費用を抑えて行いたい場合は、クラウド型のCMSを利用することをおすすめします。クラウド型のCMSでは、専門知識がなくても簡単に会員管理機能を利用することができます。
一方、多少費用は大きくなっても良いので、カスタマイズを行いたいという場合は、インストール型のCMSを利用すると良いでしょう。また、一般的なWebサイトをベースにして、会員管理機能をつけたいという場合も、インストール型のCMSが向いています。
インストール型のCMSでは専門知識や情報が必要となるので、社内の体制に不安がある場合は、サポートが手厚いサービスを選ぶと良いでしょう。各サービスの事例を見ると、実績の多い業界業種がわかることもあるので、参考にしてみてください。
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調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
調査実施概要
- 期間(初回):2017年11月8日〜2017年11月17日
- 期間(更新):2019年5月20日〜2019年6月4日
- 調査方法:インターネット調査及び電話・メール取材にて実施
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