(2018年1月版のレポートを更新したものです)
Webサイトの新規制作やリニューアルなどの際には、実際にWEBサイトや、コンテンツ制作を行うメンバーだけでなく、案件、プロジェクトを取りまとめるWebディレクターの存在が必要不可欠です。社内にWebディレクターがいない場合、Web制作会社などにリソースを依頼するよりも気軽な方法として、フリーランスWebディレクターにプロジェクト単位で業務委託するという方法があります。本記事では、フリーランスWebディレクターにプロジェクト単位で発注するメリットやその業務内容をまとめるとともに、案件による相場を調査しました。
フリーランスWebディレクターとは
フリーランスWebディレクターは、Webサイトの制作やリニューアルプロジェクトなどの案件を、業務委託で企業にジョインし、制作進行管理やWEBサイト運用、分析などの業務を行います。
- 企画・提案:ヒアリングや調査・分析などに基づき、Web案件の企画・提案を行う
- プロジェクトチーム編成:Web案件に必要なメンバーを選定、チームを編成する
- スケジュール管理:納期に向けて、各業務の進捗を管理・調整する
- コンテンツ品質管理:制作物の品質のチェックおよび修正指示
- 連絡・調整:発注側と制作側のコミュニケーションを取りもつ
Webディレクターには、大きく次の4つのパターンがあります。
- 社内Webディレクター:自社のWebサイトの制作管理を行う。その企業に所属しており、自社の製品やサービスに詳しい
- Web制作会社所属のWebディレクター:会社が受注したクライアントのWebサイトの制作管理を行う。デザイン・クリエイティブ方面に強いWebディレクターが多い
- システム会社所属のWebディレクター:会社が受注したクライアントのWebサイトの制作管理を行う。システムまわりのノウハウ・スキルが高いWebディレクターが多い
- フリーランスWebディレクター:会社に属さず個人事業主として案件を受ける。人によって得意分野やスキルの違いが大きいので、相性の良いWebディレクターの見極めが重要
フリーランスWebディレクターに発注するメリット
- 部分的・案件単位の発注をしやすい:デザイナーやエンジニアは社内にいるが、案件のディレクションをできる人材がいないといった場合、フリーランスWebディレクターに発注することで、必要な業務だけを外注できます
- コストを抑えられる:前述のように必要な業務だけを外注することで、コストを抑えることが可能です。また、多くの人間が関わるWeb制作会社やシステム会社よりも、一人で必要な業務をこなすフリーランスWebディレクターのほうが、料金が安い傾向にあります
- Webディレクター本人の人柄やスキルなどが分かりやすい:Web制作会社やシステム会社など会社が受注する場合、直接案件を担当するWebディレクターの指名や、人柄やスキルをよく知ることは難しいことが多いでしょう。フリーランスWebディレクターは、営業も本人が行うため、その人の人柄やスキルをある程度わかった上で発注できます。
スキルチェックと選び方
フリーランスWebディレクターに案件を発注する場合、次の点をチェックすることで、ミスマッチを防ぐことができます。
- 経歴:フリーランスWebディレクターは、フリーランス以前にどこかの企業に所属していた場合が大半です。また、デザイナーやエンジニア、ライターなどほかの職種を経てWebディレクターになる人も少なくありません。経歴から、そのWebディレクターのスキルや経験値が高そうな分野を推測できます。
- 得意分野:「Webサイト」と一口に言っても、コーポレートサイト、サービスサイト、オウンドメディア、ECサイト、LPなどさまざまな形があります。また、新規制作とリニューアルでも必要な業務が異なります。Webディレクターによって得意分野があるので、発注する案件を得意分野とするWebディレクターを探しましょう。
- コミュニケーション能力: Webディレクターは、発注側と制作側、双方の状況ニーズと現状を踏まえた上で、案件が円滑に進むようコミュニケーションを取っていく必要があります。問い合わせやヒアリング、見積もり依頼の段階で、Webディレクターのコミュニケーション能力をチェックしておきましょう。
- マーケティング能力:Webディレクターが直接マーケティング施策を行うわけではありませんが、デザイナーなどに指示を出し、あがってきた制作物を正しくチェックするためには、SEOやリスティング、SNSマーケティングなど、Webマーケティングに関する基本的な知識が必要です。発注までのやり取りのなかで確かめておくと良いでしょう。
- プログラミング能力:Webディレクターが直接プログラミングを行うわけではありませんが、エンジニアやプログラマー、コーダーなどに適切な指示を出すために、プログラミングに関する基本的な知識も必要です。これも、発注までのやり取りのなかで確かめておくと良いでしょう。
また、発注前に確認するのは難しいのですが、継続した発注を考えているならば、案件を薄めるなかで次のスキルも確かめておきたいところです。
- マネジメント能力:必要な業務と各業務にかかる時間を把握して、最適な人材を配置
- スケジュール管理能力:納期に間に合うよう各業務をスケジュール通りに進められるか。進行が遅れた場合、最終的な納期に問題がないよう調整できるか
案件の規模・内容によっては、Webディレクターがデザイナーやライター、エンジニアなどを兼務する場合もあります。フリーランスWebディレクターに発注するときには、対応可能な業務をあらかじめ確認しておきましょう。
フリーランスWebディレクターを手配する方法として、課題解決、施策経験をもつディレクターを派遣会社に依頼する方法も1つです。また、業務ボリュームに応じて稼働してもらう方法もあります。
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今回は、Web業界に実績のある人材会社アイムファクトリー社に、良くあるプロジェクト事例3件(ECサイト運営、自社サイト運営、自社サイトリニューアル)に応じたWebディレクターの費用相場を伺いました。
フリーランスWEBディレクターの月単価相場調査
1.ECサイト運営ディレクター
商品やサービスと顧客をつなげるための様々な役割を担うECサイト運営ディレクター。実際の依頼で多いのは、ページの新規作成やサイト更新業務の他に、メールマガジンの配信やマーケティング業務など。既存の進行管理だけではなく、アクセス解析や、CVの効果測定を求められることもあります。
求められるスキル
ECサイト運営ディレクターには、一般的な資質の他に以下のようなスキルが求められます。
- HTML,CSSを使ったコーディングの知識と経験
- Photoshop・Excelの使用経験
- ECサイト運営に携わった経験
- メールマガジンの制作と運用スキル
- Webマーケティングの知識
価格、導入イメージ
ディレクター月単価相場(紹介手数料を含む):約60万円
相場についてのコメント
「ECサイトの規模や求められる業務内容によっては、高いスキルが求められるため価格が変動します。Webディレクターを初めて配置される企業様の場合、マーケティング業務を求められることもあり、その場合は価格帯が上がります」(アイムファクトリー株式会社K氏)
2.自社サービスサイト運営ディレクター
既存のサイト運営管理業務に加えて、改善の施策を求められることの多い自社サービスサイト運営ディレクター。ユーザビリティの強化など、デザイン面や、CVの強化が求められることが多いです。中小企業からの依頼では、人員コストを抑えるためにコーディングまで自己完結できることが採用条件としてあげられることもあります。
求められるスキル
自社サービスサイト運営ディレクターには、各企業から以下のようなスキルが求められます。
- Webデザイン(HTML+CSS)の実務経験
- IllustratorもしくはPhotoshopを使用したデザインの実務経験
- Webマーケティングの知識
価格、導入イメージ
ディレクター月単価相場(紹介手数料を含む) 約80万円
相場についてのコメント
「最近流行しているキュレーションメディアをはじめとして、デザイン面にこだわる企業様が増えてきているので、それらの業務割合によって価格が変動します。また、サイトの使いやすさなどUX(ユーザーエクスペリエンス)の部分でコンサル的な業務を求められることもあり、その場合は価格が上がります」(アイムファクトリー株式会社K氏)
3.サイトリニューアル制作ディレクター
クライアントの希望を汲み取って、新たなWebサイトを構築していく制作ディレクター。進行管理が主な業務内容で、デザイナーを兼務するケースは少ないようです。情報整理や全体の方針決定に携わることが多く、ターゲットを設定して「使いやすさ」を追求するプランナー的な役割を担うこともあります。
求められるスキル
サイトリニューアル制作ディレクターには、各企業から以下のようなスキルが求められます。
- Webサイトの構築ディレクション経験
- サイト設計・画面設計の実務経験
- サイト全体のプロデュース能力
価格、導入イメージ
ディレクター月単価相場(紹介手数料を含む) 約70万円
相場についてのコメント
「サイトのリニューアルには多くのスタッフが必要になるため、どこまでの業務を兼務するかで価格が変動します。進行管理だけの場合や、デザイン周りだけの場合は中心価格帯よりも低くなり、コンサル業務が発生する場合は高くなります」(アイムファクトリー株式会社K氏)
編集部のまとめ
今回の取材で人材紹介会社を通じて依頼した場合、
Webディレクターの月単価相場は60万円〜80万円
という傾向が見えてきました。
同じプロジェクト内容でも、案件によって業務内容にかなりのバラつきがあるようです。価格が変動するのは、以下のようなケースです。
- 制作や運営だけではなく、マーケティング業務を依頼する
- 効果測定を求める
- デザイン面や使い方を含めたコンサル的な役割を依頼する
また、一般的な進行管理とディレクション業務の他に、Webデザインをはじめとしたさまざまな業務を依頼されることも多いようです。各ディレクターにはそれぞれ得意分野があるので、個々の資質を見極めながらサイトで特に注力したい部分について考えておくことが大切ではないでしょうか。
調査実施概要
- 期間:2017年12月15日〜2017年12月27日
※2020年2月更新 - 調査方法:インターネット調査及び電話取材にて実施
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