WEB広告の一つとして、WebCMが注目されています。テレビCMと比較すると低予算で制作可能とされ、テレビCMがメインだった大手企業からすると予算を回しやすく、また、中小企業でもチャレンジやすい施策として、検討する企業が増えているようです。また、昔に比べ動画再生のためのネット環境が格段に良くなり、スマホの普及に伴い消費者がネット動画の再生になじんでいることも、WebCM普及の要素です。
では、実際にどの程度の予算があればWebCMは制作可能なのでしょうか。WebCMの活用法と効果、制作の相場について主要なサービスを調査しました。
▼目次
- サムシングファン(株式会社サムシングファン)
- ヒーローガレージピクチャーズ(株式会社ヒーローガレージ)
- ワールド(株式会社ワールド)
- Crevo(Crevo株式会社)
- 90seconds(90 Seconds Japan株式会社)
- FILM BANK(InSync株式会社)
▼目次
今回聞いてみたこと
- 顧客の特徴:どのような業界・商材でWebCMが活用されているのか
- WebCMの活用法:どのような媒体でWebCMが活用されているのか
- WebCMのメリット・効果
- WebCM制作の中心価格帯:制作費用の相場とどのぐらいの長さが多いのか
WebCM制作の最新相場調査
1.サムシングファン(株式会社サムシングファン)
映像制作だけでなく、専門のディレクターが付き、広告配信など映像をどう活用するかまで含めた提案を行うのが特徴の会社。東京・大阪に拠点を持ち、日本全国、海外の依頼にも対応、年間400本以上の映像を制作し、豊富な実績を持つ。また、国内最大級のIT業界懇親会「IT飲み会」を開催。
顧客の特徴
- 大手企業が多いが、中小企業でも導入の余地あり
- B to B企業はIT系企業が多く、その他に印刷会社や通販会社なども
- B to C企業はメーカーが多いが、ジャンルは多岐に渡る
Web CMの活用法
- B to B企業の場合、Facebookでの活用が多い
- B to C企業の場合はターゲットにより活用方法が大きく異なる
- ターゲットを絞りにくい場合、Twitter、YouTubeを活用することもある
Web CMのメリット・効果
- 広告と広報を同時に行うことができる
「Web CMで効果が出やすいのは、その商品やサービスで少なからず売上が上がっていて、そこからさらに新規顧客獲得や認知向上を行いたいという場合です。映像は制作して終わりでなく、運用ありきなので、配信に予算投下できるということも重要です」。(株式会社サムシングファン 代表取締役 薮本氏)
中心価格帯
200万円
- キャスティングやロケーションなど撮影込の場合
- 映像・動画の長さは30秒が目安
- コスト優先で素材提供があれば50万円程度での制作も可能
2.ヒーローガレージピクチャーズ(株式会社ヒーローガレージ)
WEBと映像の二本柱で、コンテンツ制作からWEBサイト構築、制作・マーケティング支援まで対応する制作会社。東京・大阪に拠点を持ち、全国からの依頼に対応。本サービスは、コンテンツ制作サービスのひとつで、セミナーやインタビュープロモーションなどさまざまな動画・写真の撮影に格安で対応している。
顧客の特徴
- 有名店、有名メーカー、上場企業が多い
- 実店舗を持ち、店舗とWebとでWeb CMを併用する場合が多い
Web CMの活用法
- 実店舗を持つ場合、店舗内で流しつつ SNSやWEBでも流す
- Facebookでの活用がメインで、 ごく稀にTwitter、Instagramでの活用もある
Web CMのメリット・効果
- 実店舗では売り場への誘導、SNSやWEBではサイトへ誘導
- 販促の場合、商品の使い方や活用法の動画を別途作成するとより顧客満足が高まる
「弊社はナレーター事務所と録音スタジオ、立会いできる映像編集スタジオを運営している強みを生かし、低価格で効果ある動画作りができます」。 (株式会社ヒーローガレージ 代表 佐藤氏)
中心価格帯
30万円
- 60~90秒の動画が多い
- 企画構成5~10万円、撮影5~20万円、ナレーション選曲5万円、編集5~10万円で、合計20万円~45万円と幅があるが、平均として30万円
3.ワールド(株式会社ワールド)
プロモーションからCM、YouTube、社内研修など、さまざまな用途に対応した映像・動画制作を行っている会社。脳反応行動心理やマーケティング行動理論、SEO知識などを踏まえ、集客のための映像・動画制作を得意とする。CGやアニメなどの特殊映像制作、空撮などの特殊撮影などにも対応。
顧客の特徴
- 規模は中小企業~大企業、官公庁まで幅広い
- いずれも集客・宣伝をしたい企業
- B to C企業はメーカーが多いが、ジャンルは多岐に渡る
Web CMの活用法
- 集客・宣伝、社内教育、展示会など
- CG/3DGをフルに使った海外展示会向け・法人相手の広告などが多い
- SNSではYouTubeへの展開が多い
Web CMのメリット・効果
- 短時間で多くの情報を伝えることができる
「弊社動画制作は5万円から動画広告(ワンクリック10円)まで受けさせていただいております。スピードとクオリティ・集客動画専門です」。(株式会社ワールド 担当者)
中心価格帯
5万円~1000万円程度とケースバイケース
- 1分~3分の動画が多い
4.Crevo(Crevo株式会社)
「世に埋もれている製品と企業を動画のチカラで成功に導く」をミッションに、動画制作サービス「Crevo」および動画制作プラットフォーム「Collet」を展開。プロモーション動画、動画広告、Web CMやTV CM、アニメ動画や360度動画など、幅広い映像制作を行っている。
顧客の特徴
- 企業規模、業態問わず様々な企業が利用
「課題としては、①商品認知の向上、②商品理解の向上、③話題づくり(BUZZ)、④カスタマーサポートの代替(ハウツー動画など)、⑤採用促進と多岐に渡り、いよいよ「動画」で「解決」できる「課題」も全方位的になってきたという感覚があります」。(Crevo株式会社 安田氏)
Web CMの活用法
- SNSのインフィードで流す広告
- Youtube番組の間に流す広告
- アウトストリーム広告
「媒体や特性に応じて活用方法がそれぞれ異なります。特に媒体によって、ユーザーに支持される動画の傾向は変わってきますので、それぞれの媒体の特性に応じた『傾向と対策』が非常に重要です。『目的』に応じて、媒体は選ばれる事が多いです。また各媒体によってコミュニケーションの特性が異なりますので、その特性に併せて映像づくりをすることが大事です」。(Crevo株式会社 安田氏)
Web CMのメリット・効果
- WEBサイトへの送客
- コンバージョン獲得(商品購買/来店)
- ブランドリフト
など
「動画は『手段』であって『目的』ではありません。逆に言えば、目的さえ明確になれば、それをどんな動画で達成すべきかは、我々のような会社にご相談いただければ二人三脚で映像をつくっていけますので、動画に詳しくなるというより、ミッションとビジョンをしっかり持つことをおすすめします」。(Crevo株式会社 安田氏)
中心価格帯
- 簡単な非撮影系のアニメーション動画:30万円~80万円
- 撮影系のCM(キャスティング・ロケーション手配、CG合成などを含む): 100万円~300万円
与件、特に表現とボリューム(主に尺)によって大きく変動する
「Web CMの長さは『目的』によって異なります。単純にサービス名を印象的に伝えたいという事であれば短尺、あるいは、バンパーのような広告が好まれることもあります。ブランドに対して、正しく理解してほしい、という与件の場合は、長尺の動画をつくることもあります」。(Crevo株式会社 安田氏)
5.90seconds(90 Seconds Japan株式会社)
17,000本以上の映像・動画制作実績を持ち、全世界16,000人以上の映像クリエイターと提携している世界最大級の動画・映像制作クラウドソーシングサービスを提供。幅広いジャンルに対応し、予算内での最適な映像制作から動画マーケティング設計支援まで行う。世界7ヵ国に活動拠点を持つグローバルな会社。
顧客の特徴
- 業種業態はさまざま
- 比較的大企業が多い
- 採用系動画は企業規模を問わず利用がある
Web CMの活用法
- 地方でのテストマーケティング
- 大型広告予算を持たないブランド/商品の販促
- 掲載媒体はFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeが最も多い
Web CMのメリット・効果
- ターゲティングと計測ができる
- 地上波と比べてコスパが良いため、低予算からは着手できる
「弊社はプランニングやキャスティングなどワンストップで制作可能です。クラウドソーシングを活用した素晴らしいコストパフォーマンスにも魅力を感じていただけるかと存じます。また、グローバル展開している企業様でしたら海外撮影を絡めて差別化を図れます」。(90 Seconds Japan株式会社 代表取締役社長 山畑氏)
中心価格帯
250万円〜750万円(中央値は300万円前後)
※6~30秒の動画が多い
6.FILM BANK(InSync株式会社)
アニメーション動画を活用した高品質なコマーシャル動画作成を得意とする会社。映像制作だけでなく、動画広告や動画マーケティングに関わる業務をワンストップで提供し、コマーシャル動画を通してマーケティング活動を支援している。
顧客の特徴
- ITサービス系の企業様の利用が多い
- 自社サービスを分かりやすく紹介したいという課題を持つ
Web CMの活用法
- 動画広告
- YouTube広告などが多い
- ウェブサイトへの掲載
- 展示会での提示
Web CMのメリット・効果
- サービス・商品の概要を分かりやすく説明することによる、購買率アップ・返品率低下
「FILM BANKはアニメーション動画制作サービスとして大企業様からベンチャー企業さままで、多くのクライアント様のアニメーション動画を制作してまいりました。通常の動画では伝わらない内容も、アニメーションだからこそわかりやすく伝えることができ、クライアント様のサービスをより広く理解していただくためにご協力してまいりたいと思っておりますので、お気軽にご相談くださいませ」。(InSync株式会社 代表 慎氏)
中心価格帯
40万円~60万円程度
※1分30秒前後の動画が多い
編集部のまとめ
■今回の調査概要
- 調査母数(問い合わせした企業数):9社
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):6社
- WebCM制作の中心的価格帯は次の通りとなりました。 100万円~200万円
※30秒~1分程度の動画・映像が多い
WebCM制作においては、コストありきで作成者、制作会社を選ばないのが重要だと感じました。中心価格帯は上記ですが、サービスによっても、同じサービスの中でも事例によりかなりばらつきがあります。
まず明確にすべきことは目的です。WebCMは顧客獲得と認知向上を合わせた目的多いようようです。そして、ターゲットによって、適切な媒体や必要な素材が変わり、料金に反映されます。 目的からどういったWebCMが必要か要素を洗い出し、それに必要な予算を考えるのが理想です。そういった点を今回紹介したような会社に相談すると良いでしょう。
編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。 調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
https://www.webtanguide.jp/contact
調査実施概要
- 期間:2018年5月31日〜2018年6月8日
- 調査方法:インターネット調査及び電話取材にて実施