Web担当者のためのマーケティング・ノウハウガイド

リスティング広告費用の最新相場調査:2021年2月版

2021年2月18日

(2018年7月版のレポートに追加調査を行い、更新したものです)

リスティング広告はWebマーケティングに不可欠な存在です。検索キーワードからの流入は集客の基本であり、比較的すぐに成果が出るというメリットがあります。また、クリック課金方式のため予算に合わせた運用がしやすいのもメリットです。一方で、リスティング広告で成果を出すにはキーワードや配信内容についてPDCAをいかに多く回すかが重要で、本格的に運用するには時間や手間がかかります。そんなリスティング広告の運用を効率化する手段として、運用支援ツールと運用代行会社があります。それぞれどういった場合に利用すると良いのかをまとめた上で、主要なツール・サービスと費用相場について調査しました。

リスティング広告費用の考え方

リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンに入力したキーワードに関連して表示される広告で、顕在顧客の集客に効果的とされます。リスティング広告出稿費用は、広告のクリック数に応じて料金が発生するクリック課金が一般的で、リスティング広告はPPC(Pay Per Click)広告とも呼ばれます。

クリック課金であることから、リスティング広告は低予算から始めやすいWeb広告といわれますが、キーワードによっては費用が高騰していることも多々あります。

1クリックあたりの平均単価をCPC(Cost Per Click)といいます。リスティング広告運用では、CPCを抑えながら成果の高いキーワードやクリエイティブを探るために、PDCAを多く回すことが重要です。

広告運用ツールを使うか運用代行会社を利用するか

リスティング広告運用においては、キーワード選定からクリエイティブ制作、出稿、成果の分析からレポート作成と複数のタスクが発生し、多くのデータを扱う必要があります。

その際に助けになるのがリスティング広告運用ツールです。データの収集から分析、管理などを助けてくれます。ツールによってはキーワードやクリエイティブの提案まで行ってくれます。

リスティング広告運用ツールの利用は、次のような場合におすすめです。

  • 広告運用にかけられる予算が月数万円程度
  • 社内に広告運用を担当できる人材がいる
  • まずはリスティング広告運用を試してみたい

ツールを使って社内で運用するほかに、広告運用を代行してくれる会社に外注するという選択肢もあります。

専門の知識や経験、ノウハウを持ったところに依頼できるので、広告運用に関する業務の負担がかなり減ります。広告運用代行の利用は次のような場合におすすめです。

  • 広告運用にかけられる予算が月30万円程度はある
  • 社内に広告運用を担当できる人材がいない
  • リスティング広告以外のWeb広告も合わせて出稿したい

本記事では、リスティング広告運用ツールを利用する場合と、リスティング広告運用代行会社を利用する場合のに分けて、それぞれ主要な会社と費用相場を調査しました。

リスティング広告運用ツールの費用相場

1.Lisket (リスケット/株式会社カルテットコミュニケーションズ)

株式会社カルテットコミュニケーションズが運営。リスティング広告専業の代理店なので、リスティング広告に関する実績豊富。自社でも多くのアカウントを運用しており、その際に使えるツールを自社で開発している。Lisketはリスティング運用に必要なさまざまなツールが集まったサービスで、事業の柱。

ツールの特長

  • リスティング広告運用特化ツール
  • リスティング広告専業代理店が運営
  • リスティング広告運用にかかる作業時間を削減するツール群
  • 初期構築/日々の予算管理/レポーティングに関わるツールを必要単位で申込できる

「少し運用経験がある方であれば入稿やレポーティングなどで必ず効率化できます」(株式会社カルテットコミュニケーションズ 担当者)

利用者の特徴

  • API経由の全自動でレポート作成する機能をメインで利用するケースが多い

「大手広告代理店からHP制作会社、個人のアフィリエイターまで幅広くご活用いただいています」(株式会社カルテットコミュニケーションズ 担当者)

中心価格帯

月額5,000円~15,000円

  • ツール利用は月額1,000円~

→ 詳しくはこちら(Lisketのサイトへ)

2.ATOM(アトム/株式会社テクロコ)

株式会社テクロコが運営する運用型広告の統合管理プラットフォーム。テクロコは、中堅・中小企業および成長企業向けのマーケティングテクノロジーの提供を事業としている。ATOMの他に、Webマーケティングの支援プラットフォーム・、最適化支援ツール群、GA設定支援、タグ管理サービスなども提供している。

ツールの特長

  • リスティング広告以外にもSNS広告など運用型広告全般の運用に対応
  • 運用型広告のレポート作成を自動化
  • 各媒体を統合して確認・管理できる

「広告運用初心者の方でも、特別な知識や技術は必要なくご利用いただけません」(株式会社テクロコ 担当者)

利用者の特徴

  • 広告代理店がメイン
  • 規模を問わず利用あり

利用料金

月額5万円〜

→ 詳しくはこちら(ATOMのサイトへ)

3.AdNote(アドノート/株式会社ブレインパッド)

株式会社ブレインパッドが運営する広告運用支援ツール。ブレインパッドは、データ活用に強みを持つ企業。ビックデータ活用とデジタルマーケティングサービスを事業の柱とし、後者の事業としてAdNote運営を行っている。その他にもデジタルマーケティングに関するさまざまなソリューションを提供している。

ツールの特長

  • レポート作成が簡単
  • 過去実績からシミュレーションを行い、最適な予算配分ができる
  • ダッシュボード機能・予算キャップ機能搭載、アカウントの予算管理も簡単

「AdNoteは広告運用担当の方の負担軽減、工数削減を目的に提供しています。管理画面は、広告運用やツール利用が初めてでも、分かりやすく操作しやすいよう設計されています。無料トライアル期間も設けており、期間内に操作に慣れることが可能ですのでご安心ください」。(株式会社ブレインパッド 担当者)

利用者の特徴

  • 代理店:WEB制作会社、SEO業者、WEBコンサルティング会社、WEBデザイン会社、アフィリエイト業者など
  • 事業主:従業員数数名~数百名規模と、業界・業種・規模問わず利用あり

利用料金

月額10,000円~

  • 5アカウント利用可能
  • 管理を行いたいアカウント数に合わせて料金を選べる
  • 最低契約期間1カ月、以降1カ月単位で契約更新

→ 詳しくはこちら(AdNoteのサイトへ)

4.Shirofune(シロフネ/株式会社Shirofune)

Shirofuneは、株式会社Shirofuneが提供する広告運用自動化ツール。Shirofune社は2014年設立、東京に拠点を置く会社。Shirofuneの開発・提供を中心とした広告運用に特化した事業を展開している。

※公式サイト・資料から調査

ツールの特長

  • 導入実績No.1、利用実績7,000件以上の広告運用アルゴリズムを搭載
  • 業界歴10年以上の広告運用のプロが成果の出るノウハウをシステム化
  • 未経験者の運用でCV数3倍、CPA200%改善などの実績多数
  • 日本唯一の主要広告媒体(Google/Yahoo!/Instagram)の運用自動化
  • 1日10分の操作、10秒で分析レポート作成など手間をかけずに効果を改善できる

利用者の特徴

  • 広告代理店の上位20社でも多数利用中
  • 大手~中小広告代理店、上場企業や成長企業など幅広い利用

【事例の一例】

  • ヤマトロジスティクス株式会社:初月で問い合わせ件数1.5倍、未経験でも内製化を実現
  • 株式会社BEAD:獲得単価30%改善・CV数1.3倍、未経験でも広告効果改善を実現
  • 株式会社メディックス:1人で運用できるアカウント数が25倍に

利用料金

【セルフプラン】
ツール利用料:⽉額広告費×5%(税抜)

  • 最低利⽤料は2.5万円(税抜)~
  • 最低契約期間なし

【サポートプラン】
ツール利⽤料:⽉額広告費×5%(税抜)
サポート料:⽉額10万円(税抜)

  • 専任担当が⽉1回オンラインサポート(実績レビュー+改善⽅針)
  • 最低利⽤料は2.5万円(税抜)~
  • 最低契約期間:6カ月~

→ 詳しくはこちら(Shirofuneのサイトへ)

5.WebAntenna(ウェブアンテナ/株式会社ビービット)

WebAntenna(ウェブアンテナ)は、株式会社ビービットが提供する広告効果測定ツール。ビービット社は2000年設立、東京にオフィスがあるほか、上海・台北にもオフィスを構えている。UXインテリジェンス事業を柱として、UXチームクラウド「USERGRAM」やコンサルティングサービスを提供している。

ツールの特長

  • リスティング広告を含めたWeb広告全般の一元管理が可能
  • アトリビューション分析で認知広告の成果貢献度が見える
  • カスタマージャーニー分析で個別ユーザー行動の計測・傾向分析が可能
  • Facebook、Twitter広告効果も合わせて計測可能

利用者の特徴

  • 導入実績600社以上、大手からベンチャーまで幅広い業種・業界で利用あり

【事例の一例】

  • 大塚製薬株式会社:定期購入率2倍、施策実施後3時間で次の改善着手
  • 株式会社中央住宅(ポラスグループ):複数の事業所・代理店が関わる広告運用の手間を大幅削減
  • 株式会社キャリアデザインセンター:転職サイト特有のユーザーニーズを検索キーワードから分析、CV獲得最適化

ツール利用料金

初期費用:無料
クリック数従量制:月額2万円~(最大50万円)

  • 月額5万円~、ソーシャル・SEO計測やCV属性取得などの追加サービス利用可能

【価格例】

  • クリック数が少ない特設キャンペーンサイト・BtoBサイトなど
    →月間約1万クリックで月額費用4万円
  • クリック数が中規模の人材系・不動産系・教育系サイトなど
    →月間約10万クリックで月額費用13万円
  • クリック数が多い複数ブランド横断サイト、通常サイトキャンペーン時など
    →月間100万くりっくで月額費用28万円

※クリック数ごとの価格テーブル・追加サービス一覧要問い合わせ

→ 詳しくはこちら(WebAntennaのサイトへ)

リスティング広告運用代行の費用相場

6.株式会社オプティマイザー

株式会社オプティマイザーは、2005年設立、東京に拠点を置く会社。Webマーケティング以外にも幅広い事業を展開しているが、事業の柱のひとつとして広告代理店事業を展開している。広告運用に関するさまざまなニーズに応えるサービスを提供しており、Web集客最適化を支援している。

サービスの特長

  • 自社ASPを持ったネット専業の広告代理店

「ネット専業代理店では提供できないアフィリエイトを基軸としつつ、アフィリエイトASP代理店の領域を飛び出した運用型広告や制作・企画を強みにサービス展開をしております」(株式会社オプティマイザー 担当者)

利用者の特徴

  • 他代理店からの切り替え、新規の出稿依頼に対応
  • 利用目的としては獲得を伸ばしたいという相談が多い

中心価格帯

広告費:月額30万円以上が多い
手数料:広告予算の20%

  • 最低出稿金額は設定していない
  • 月予算30万円未満の場合は最低手数料5万円

→ 詳しくはこちら(株式会社オプティマイザーのサイトへ)

7.アナグラム株式会社

アナグラム株式会社は、2010年設立、東京に拠点を置く会社。運用型広告のコンサルティングを専門にしており、サービスを提供するだけでなくSNSやオウンドメディアなどを通じて情報発信も積極的に行っている。関連書籍も多数出版。

※公式サイトより調査

サービスの特長

  • 運用型広告専門の会社
  • アナグラム社のアカウントで広告運用を行うプランあり
  • 多言語対応(日本語、英語、ドイツ語など)

利用者の特徴

  • 業界・業種はさまざま
  • 大手広告代理店からの乗り換えが多い

【利用企業の一例】

  • ドコモ・ヘルスケア株式会社
  • 株式会社識学

利用料金

手数料:月額広告費の20%

  • 例)月額利用広告費100万円→手数料20万円
  • 高額予算(数百万円規模以上)、少額予算の場合は固定費・テーブル方式などの対応も可能
  • 業種、タスクのボリュームによる変動もあるので要問い合わせ

→ 詳しくはこちら(アナグラム株式会社のサイトへ)

8.株式会社グラッドキューブ

株式会社グラッドキューブは、2007年設立、大阪に本社を置く会社。東京・名古屋・福岡に支社もある。デジタルマーケティング支援事業、ウェブサイト解析・改善SaaS事業、メディア事業を展開している。ヒートマップ解析・ABテスト・EFO対策ツール「SiTest(サイテスト)」など、Webマーケティングにおいてよく利用されるツールも提供している。

※公式サイトより調査

サービスの特長

  • リスティング広告運用担当者と直接やりとりができる
  • レポートの共有・相談など透明感のあるリスティング運用
  • アトリビューションを考慮した広告設計
  • ウェブサイト・クリエイティブの制作・改善にも対応

利用者の特徴

  • 契約中の代理店からの乗り換えに強く、成果向上の実績多数

【よくある課題】

  • 成果が上がらない
  • 今の代理店に不満がある
  • 社内にリソースがない

利用料金

広告費:月額25万円以上
代行費用:広告費の20%

  • 契約期間1カ月から

→ 詳しくはこちら(株式会社グラッドキューブのサイトへ)

編集部のまとめ

今回の調査概要
  1. 調査母数(問い合わせした企業数):9社+6社(更新)
  2. 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):4社+(2社※資料提供含む)
  3. リスティング広告運用に関する費用の中心的価格帯は次の通りとなりました。
    運用ツール:月額利用料1~5万円
    運用代行:月額広告予算の20%・広告予算は30万円前後~

リスティング広告運用の費用を考える場合、まず、運用支援ツールを利用するのか、運用代行会社を利用するのかを決める必要があります。どちらを選ぶかで、費用相場が大きく異なります。

リスティング広告運用支援ツールを検討する場合、料金の他に、リスティング広告に特化した機能だけがあれば良いのか、リスティング広告以外の広告運用もまとめて管理できる機能があったほうが良いのかが、選択基準のひとつになります。Web広告の運用自体が初心者の場合、リスティング広告に特化したツールのほうが、注力すべきポイントが分かりやすく、早く成果につながります。一方、リスティング広告運用の経験があり、それ以外の広告運用も視野に入れいる、あるいはすでに運用している場合は、Web広告をまとめて管理できるツールのほうがおすすめです。

運用代行会社を利用する場合は、料金の他に実績を確認しましょう。また、運用代行では代行会社とのコミュニケーションのスムーズさも重要です。まずは問い合わせをしてみて、自社の状況をヒアリングしてもらったうえで、問題なく進められそうかという相性的なところを確認することをおすすめします。

編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。

調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。

https://www.webtanguide.jp/contact

 

調査実施概要

  • 期間(初回):2018年7月10日〜2018年7月18日
  • 期間(更新):2021年2月8日〜2021年2月15日
  • 調査方法:インターネット調査及び電話取材にて実施

 

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