Webマーケティングにおいて収集・分析した膨大なデータ、さらには他の部署が有する情報もまとめて管理できるのがBIツールです。BIツールを活用することで、全社的な情報の共有や、会社全体のあらゆるデータを考慮した施策立案が可能になります。本記事では、BIツール導入を検討中のWeb担当者におすすめの、主要なツールの特徴とその相場感を比較調査しました。
BIツール導入による効果
BIとはBusiness Intelligence(ビジネスインテリジェンス)の略。BIツールは、企業の経営に関わるさまざまなデータをダッシュボード機能などで一元的に管理でき、それらのデータを収集・分析したうえで視覚化・レポート作成を行い、施策に活用できるツールです。最近では、AI(人工知能)などの技術を使った、データマイニング機能も注目されています。
企業の経営においては、経理、製造、営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、部署ごとにさまざまなデータが収集・分析されています。これらのデータは部署内ではなんらかのツールを使って管理されることが多いですが、それをさらに横断的に管理できるのがBIツールです。しかも、プログラミングなどの知識がなくても簡単に利用できるのもポイントです。
これらのBIツールの機能や特徴から、導入により期待できる効果をまとめると、以下のようになります。
- データ収集・分析・レポート作成業務の効率化
- チームや部署間で必要なデータを効率的に共有
- 上記効果およびデータマイニングによる効果的な施策立案、売上向上
クラウドで利用できるシステムも多く、月額数万円程度から利用できるものもあります。社内で保有するデータが多くなり、活用しきれていないと感じたら、BIツールの導入を検討すると良いのではないでしょうか。
BIツールの最新相場調査
1.b→dash(フロムスクラッチ株式会社)
b→dash(ビーダッシュ)はフロムスクラッチ(株)が提供する業界シェアNo.1のデータマーケティングツール。フロムスクラッチ社は2010年設立、東京拠点の企業。b→dashを主軸にしながら、人工知能を用いたマーケティングソリューションの開発、マーケティングテクノロジー領域の基礎研究・開発を行っている。
サービスの特長
- Data Pallete(データパレット)機能
- データ統合(※)基盤を搭載
「データパレット機能を活用すると、本来ならエンジニアが何百行もコードを書かないと実現できないデータの処理、加工、活用が、プログラミングスキルがない人でもGUIで簡単に操作できるようになります。これにより、データマーケティングに欠かせない、データの処理、加工、活用にかかる工数、コストを大幅に削減できます。また、データ統合基盤により、利用企業様が持つWebデータ、顧客データ、購買データなどを一つに統合し、分析・施策で活用していただけます。データマーケティングを『いつでも・ひとつで・誰でも』できるようになるAll in One マーケティングツールがb→dashです」。(株式会社フロムスクラッチ 担当者)
※データ統合:ビジネスデータ、購買データ(店舗/EC)、アクセスログ、アプリのデータ、など顧客に関するさまざまなデータを1人の顧客につき1つのIDに統合すること
<ツール利用による効果>
- データを活用したOne to oneマーケティングで既存顧客の売上げアップ
- データ加工の工数・コストを削減
- UI/UXの使いやすさ・サポートの手厚さで、リテラシーがなくても簡単に運用可能
- データを活用してさまざまなマーケティング施策を実施できる
例)メール配信、BI、Web接客、SMS配信、アプリPush配信、フォーム作成など
「我々の強みとして『データの統合』があります。データ統合により、さまざまな成果を上げることができます」。(株式会社フロムスクラッチ 担当者)
利用者の特徴
- BtoC、BtoBいずれもさまざまな業界、業種で利用あり
- ベンチャーから大企業まで利用企業の規模も幅広い
- 一定量の顧客データを保有している企業がメイン
- 次のような課題を抱えている企業の利用が多い
―データを活用して売り上げをアップしたい
―データを扱う工数を削減したい
―現在マーケティングツールを使っているが、ツールの操作性が悪い、必要なデータ連携がされていないため使いにくい、コストが高い(ROIが合わない)
<導入企業の一部>
株式会社キリン:メール経由の売上比率2倍向上、2日かかっていたデータ処理時間がほぼ0時間に
株式会社阪急阪神様:CVR160%向上、EC売上130%向上
株式会社クレディセゾン:メール開封率200%向上
GMOクリック証券株式会社
パナソニック コンシューマーマーケティング株式会社
株式会社カクヤス
CROOZ SHOPLIST株式会社
株式会社楽天野球団
株式会社ABC Cooking Studio
株式会社ドーム
株式会社Loco Partners
株式会社セブンネットショッピング
中心価格帯
最低利用価格:月額5万円
「企業様が持たれているデータ量と使いたい機能数によって、料金は異なります。詳細なお見積もりを希望されるお客様には、営業担当までお問い合わせいただいております」。(フロムスクラッチ株式会社 担当者)
2. Yellowfin(Yellowfin Japan株式会社)
Yellowfin(イエローフィン)は、Yellowfin社が提供するBIツール。Yellowfin社は、オーストラリアに本拠地があり、その他にも日本、アメリカ、ヨーロッパ、南アフリカにも拠点がある。Yellowfinは自動化で強化された分析機能を提供し、全世界75カ国に渡り27,000社300万人以上のエンドユーザーに利用されている。
ツールの特長
- Yellowfinシグナル:データの異常な変化を検出して自動で分析・通知
- Yellowfinストーリー:検出したシグナルやユーザーが作成した分析レポートなどを説明するテキストを加えてブログライクに共有する機能
- Yellowfinモバイルアプリ: SNSのように気軽にデータにアクセスし、他のユーザーとのコミュニケーションや、検出したシグナルいち早く受信し、即アクションへ移行することを支援
「Yellowfinの特徴的な機能としては、YellowfinシグナルやYellowfinストーリ、Yellowfinモバイルアプリなどがあります。こういった機能を活かし、Yellowfinは、社内にデータ文化を根付かせ企業のデータ活用を強力にサポートします」。(Yellowfin Japan株式会社 担当者)
<ツール利用による効果>
「BIツール(データ活用ツール)なので、見えていなかったデータの可視化や、データの属人的なExcel管理からの脱却などが代表的な導入効果ですが、最近では、攻めるデータ活用として自社サービスや自社で持つ特別なデータを外部のエンドユーザーに提供する際に、Yellowfinを使ってサービス提供するような利用方法も増えています。Yellowfinは外部提供サービスにも適したセキュリティ設定や、細かなロール管理(権限管理)などガバナンス機能が充実しています」。(Yellowfin Japan株式会社 担当者)
利用者の特徴
- 業界・業種は偏らず、製造業、小売り商社やITサービスなど幅広く導入あり
- 中規模(社員数100名)以上の企業への導入が多い。一方で、利用ユーザー数名からの導入実績もある
- エンドユーザーへのサービス提供のためのプラットフォームとしての検討が増えている(OEM提供)
「抱えている課題は企業様ごとにまったく異なるのでひとくくりにはできませんが、一例を挙げますと、製造業の工場で働く全従業員の総労働時間を見える化し、労務管理に掛かる工数を年間で600時間ほど削減したという事例があります」。(Yellowfin Japan株式会社 担当者)
<導入企業の一例>
アイシン精機株式会社:労務管理にかけていた時間を年間約600時間削減
AeroEdge株式会社:生産情報の見える化を実現。利益を生み出す生産活動へ
三井住友DSアセットマネジメント株式会社:分散するデータを一元管理、再利用推進
株式会社協和:全社員が共通の指標で数字を管理する仕組みを実現
バリューコマース株式会社:全社員が実績の確認、キャンペーン成果の計測に活用
中心価格帯
要問い合わせ
- 年額サブスクリプションプラン
- ユーザーライセンス・サーバーライセンスあり
- 30日の無償トライアル
3. Qlik Sense(クリックテック・ジャパン株式会社)
Qlik Sinseは、Qlik Technologies Inc.が提供するデータ分析プラットフォーム。Qlik Technologies Inc.は米国ペンシルバニア州に本社を置き、北米、アジア、ヨーロッパ各国に拠点をもつ、グローバル企業。世界中で50,000社以上の顧客がいる。日本にも拠点があり、日本でのサービス展開は、クリックテック・ジャパンが行っている。
ツールの特長
- 社内・社外のオンプレやクラウドにある、あらゆるデータを統合できる
- プログラム言語やSQLを知らなくてもビジネスユーザーが直感的・容易にデータ分析が可能
<ツール利用による効果>
「データ分析によって、これまで気づかなかった問題点やとるべきアクションが明確になり、業務の効率化や売り上げの増加につながります」。(クリックテック・ジャパン株式会社 担当者)
利用者の特徴
業界・業種に関わらず、以下のようなデータに関する課題をもつ企業が利用している。
- Excelによる分析はデータ管理に不安がある。また、データが大量になると時間がかかる
- 社内データをタイムリーに分析できない。また、異なる種類のデータを統合して分析するのが難しい
- 既存の分析ツールの操作が難しく、一部の社員しか分析できない
中心価格帯
非公開・要問い合わせ
4.MOTION BOARD(ウイングアーク1st株式会社)
MOTION BOARD(モーションボード)は、ウイングアーク1st(株)が提供するBIダッシュボード。ウイングアーク1st社は、2004年創業の東京に拠点を置く企業。帳票事業とBI事業に二本柱で事業を展開している。BI事業ではMOTION BOARDのほかに、集計・分析プラットフォーム「Dr.Sum」を提供している。
※以下、公式サイトより
ツールの特長
- 大量データをインメモリで高速化。運用に合わせたデータを選択可能
- IoTデータを可視化するリアルタイム用APIを提供。データを瞬時に提供・蓄積
- ドリルダウンやドリルスルーなどのOLAP分析機能を網羅
- プログラミングスキル不要、マウス操作のみで扱える高度な分析ロジック
- CData Software社のドライバーを採用、幅広いデータソースと接続可能
利用者の特徴
- 営業、IT部門、経営、物流、ものづくり、IoT、マーケティングなどさまざな分野で活用
<導入企業の一例>
株式会社東急スポーツオアシス
富士ゼロックス株式会社
株式会社東急パワーサプライ
日本トランスオーシャン航空株式会社
富士通アイ・ネットワークシステムズ株式会社
ユニオンツール株式会社
料金体系
MotionBoard Cloud Standard Edition:月額3万円(税別)
MotionBoard Cloud Professional Edition:月額6万円(税別)
MotionBoard Cloud IoT Edition:月額9万円(税別)
- 年間契約
- 別途初期費用あり
- 10ユーザーまで
- 無料トライアル30日間利用可能
- 各プラン+1万5千円のfor Salesforceプランあり
- パッケージあり。別途見積もり
5. Tableau(TABLEAU SOFTWARE)
Tableau(タブロー)は、TABLEAU SOFTWAREが提供するBIおよび分析ソフトウェア。TABLEAU SOFTWAREは、アメリカのシアトルに本拠地を置く企業で、日本では東京に拠点がある。そのほか、世界各国に拠点をもつ。世界中の膨大なデータを誰もがわかりやすく活用できるよう、その技術を活かしたソフトウェアの開発・提供に取り組んでいる。
※以下、公式サイより
ツールの特長
- 導入から活用まで、必要に応じてサポートを提供する多くのパートナー企業がいる
- 特許取得済みの VizQL テクノロジーを搭載した強力な分析
- さまざまなデータ連携に対応。オンプレミス、クラウド双方のデータに接続できる
- コンプライアンスやセキュリティから管理、モニタリングまで強力なビルトイン機能
- 無料トレーニング、専用アカウント管理機能、コミュニティなどのサポートあり
利用者の特徴
<導入企業・事例の一部>
資生堂ジャパン株式会社:Webサービスとさまざまなデータソースをクラウド上で統合、Tableauで分析し、顧客行動に合わせた施策を実施
株式会社 NTT データ:システム管理のデータと個別管理のデータをTableauで一元管理、視覚化
株式会社パルコ:Web・スマホアプリ・実店舗の顧客データをTableauで分析・視覚化、O2O販促施策に活用
料金体系帯
TABLEAU SERVEでの展開:オンプレミスorパブリッククラウド
Tableau Creator:102,000円(税抜)/ユーザー
Tableau Explorer:51,000円(税抜)/ユーザー※最低購入数5
Tableau Viewer:18,000 円(税抜)/ユーザー※最低購入数100
- 請求は 1 年ごと
TABLEAU ONLINEでの展開:Tableauによるホスティング
Tableau Creator:102,000円(税抜)/ユーザー
Tableau Explorer:60,000円(税抜)/ユーザー※最低購入数5
Tableau Viewer:22,000 円(税抜)/ユーザー※最低購入数100
- 請求は 1 年ごと
編集部のまとめ
今回の調査概要
- 調査母数(問い合わせした企業数):9社
- 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):2社
- BIツールの中心的価格帯は次の通りとなりました。
- 初期費用:なしor別途見積もり
- 月額費用:3~10万円
BIツールに関しては、月額数万円程度で利用できるツールが多くあります。ただ、別途初期費用がかかる場合や、ユーザーごとに料金がかかるツールもあります。初期費用は都度見積もりとなるケースが多く、料金を比較検討する際はその点に注意してください。
BIツールを検討する際は、BIツールで一元管理したいデータについて、検討しているツールですべて連携できるのかという点が第一のポイントになるかと思います。
また、BIツール導入の効果として大きいのが、データ収集、分析、レポート作成、共有業務の効率化なので、関わる部署やメンバーにとって直感的に使えるツールなのかという点も重要です。
デモや無料トライアルができるようなら、まず使い勝手を試すことをおすすめします。ツール利用に不安があるならば、導入後のサポートが厚いツールを選ぶと良いかもしれません。
調査実施概要
- 期間:2019年9月24日〜2019年10月07日
- 調査方法:インターネット調査及び電話・メールにて実施
編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。
調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
https://www.webtanguide.jp/contact
御社のWeb担当者として日々のWebサイト運用業務を代行
ディレクターバンク(株)のWebサイト運用代行は、Webサイトの更新業務をはじめ、メールマガジン配信業務、SNSへの情報投稿業務など、御社のWeb担当者として、日々のWebサイト運用業務を代行するサービスです。