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ECパッケージの最新相場調査:2019年11月版

2019年11月6日

ECサイトを構築するサービスはいくつかに分類できますが、カスタマイズ性がありながら、スクラッチ構築よりは費用を抑えられる方法が、ECパッケージです。とはいえECパッケージも、ASPサービスなどと比較するとまとまった費用がかかります。本記事では、ECサイトの構築方法について比較した上で、主要なECパッケージについて機能や特徴、相場感を解説します。

ECサイトの構築方法とその特徴

ECサイトの構築方法は次のように分類できます。一般的に費用が高い順に並べています。

  • スクラッチ構築:企業ごとにゼロから構築する。費用が非常に高額
  • パッケージ:基本システムの上で一定のカスタマイズが可能。利用企業がサーバを用意する必要がある。スクラッチ構築ほどではないが初期費用は高額になる
  • クラウド型プラットフォーム:クラウドのプラットフォームでECサイトを構築。カスタマイズが可能で、パッケージに分類されることもある。初期費用を抑え、一般的なパッケージに比べて割安で利用可能
  • オープンソース:無償公開のシステムを利用。費用は抑えられるが専門知識が必要
  • ASP:クラウドで利用できるサービス。クラウド型プラットフォームと違い、利用できる機能が決まっており、カスタマイズができない。その一方、格安で利用でき、無料のサービスもある

以上の方法の他に、CMSのひとつである、WordPress(ワードプレス)でECサイトを構築する方法があります。WordPressはECサイト構築用のサービスではありませんが、ECカートのプラグインによりECサイトとして利用することもできます。

ただ、もともとECのためのサービスではないため、ECの運用上、不便な部分があります。WordPressをECに活用する場合、EC専用のシステムでECサイトを構築した上で、WordPressを連携させてコンテンツを補う形にしたほうが良いかもしれません。

ECパッケージの最新相場調査

1. Shopify(ショッピファイ)/Shopify Inc.

Shopifyはカナダに本社を置くShopify Inc.が提供する、世界最大規模のECプラットフォーム。ECパッケージと区別してクラウド型ECサービスなどと呼ばれることもある。Shopify Inc.は2004年に設立され、日本はもちろんのこと、世界中に拠点を持ち、グローバルにサービスを展開している。事業の中心がShopifyで、プラットフォームの機能更新・追加や多言語対応のほか、Shopifyで利用できるアプリの開発を進めている。

サービスの特長

  • 個人から大企業までビジネスを成長できるプラットフォーム
  • バージョンチェンジなし、代わりに細かなアップデートが多い
  • 国内だけでなく国外でも簡単にECでの販売ができる
  • デザインプレートのカスタマイズが簡単
  • アプリで簡単に機能追加できる

利用者の特徴

以下のようなEC事業者におすすめ

  • 海外に商品を販売したい
  • オンライン・オフライン双方でビジネスを展開したい
  • AR機能をECで活用したい

料金体系

月額79ドル(およそ8,000円)

  • 月額29ドル(およそ3,000円)/月額299ドル(およそ30,000円)のプランもある
  • プレンにより利用できる機能範囲・スタッフアカウント数が違う

→ 詳しくはこちら(Shopifyのサイトへ)

2. Media EC FANTAS(メディアECファンタス)/ボクブロック株式会社

Media EC FANTASは、ボクブロック株式会社が提供するクラウドECサービス。ボブロック社は、2007年設立の東京に拠点を置く会社。2012年からECソリューション中心の事業展開を行っており、EC-CUBEソリューションやEC運営サポート、その他EC関連のプロダクトを提供している。

サービスの特長

  • FANTASエディタ:HTMLやWEBの知識不要でページ作成・更新が誰でも簡単に可能
  • クラウドEC(SaaS EC):時流に合わせた機能やセキュリティが随時自動アップデート
  • 分析:Google Analytics連携によるアクセス分析と、商品(MD)・顧客(LTV)分析
  • 店舗ごとのカスタマイズ:自動アップデートにも関わらず、独自のカスタマイズが可能

「当社のECシステムは、事業者様の商品に対する想いを届けることにフォーカスし、ECサイトをメディア化することでサイト自体の価値を高め、FANになる可能性がある人、すでにFANになっている人に有益な情報を発信し続けていくことを目指しております」。(Media EC FANTAS担当者)

利用者の特徴

  • アパレル・雑貨・コスメ系の商材を扱う事業者が多い
  • 本店ECへの集客・リピートを課題に抱えている事業者が多い

「Media EC FANTASはECサイトをメディア化することを目指したサービスですので、実店舗もお持ちで日々店舗スタッフからの情報更新をお考えのEC事業者のご利用が多いです。ECサイトのメディア化はコンテンツ力を強化することになるので、コンテンツ力強化=集客力強化を目指している方々が多いです」。(Media EC FANTAS担当者)

<活用事例>

  • アパレルのショップスタッフが自分のコーディネート写真をECサイトに掲載→着用商品の情報を一緒に掲載したり、逆に商品ページにコーディネート写真を掲載したりする

「アパレルECでは3~4割がショップスタッフのコーディネート投稿を経由した売上と言われています。Media EC FANTASはスマホから簡単にコーディネート写真やショップブログ記事などが作成できます。そのような自社ECのコンテンツ拡充を考えられている事業者に効果的なツール(カート)だと自負しています」。(Media EC FANTAS担当者)

料金体系

1,500,000円~5,000,000円のゾーンが多い

  • 上記ゾーンより上の利用もある

「当社のECシステムは、システムの標準費用に加えてお客様独自のデザインとカスタマイズのご要望を受けて構築しております。デザインやカスタマイズはご要望内容によって大きく変動します」。(Media EC FANTAS担当者)

→ 詳しくはこちら(Media EC FANTASのサイトへ)

3. ecbeing/株式会社ecbeing

ecbringは、株式会社ecbeingが提供するECサイト構築パッケージ。ecbeing社は、1983年に開店したパソコンショップ 「ソフトクリエイト」から始まっている。現在はecbeingの開発・提供の他、ECのマーケティング支援、コンサルティングなども行っている。東京に本社があり、大阪に関西支社がある。

※以下、会社サイより調査

サービスの特長

  • BtoC/BtoBいずれのパッケージもあり、多様なECビジネスに対応
  • ECサイト構築・リニューアル実績11年連続シェアナンバー1
    *2018年ECソリューション市場占有率(出典:富士キメラ総研社)調べ
  • 1,200超のサイト運営・構築実績あり
  • 開発部隊400名以上、マーケティング部隊200名以上でカスタマイズ・連携にも対応
  • 運用支援サービスや専用の支援ツールあり
  • 高水準のセキュリティ

利用者の特徴

  • BtoC/BtoBともにジャンルを問わない
  • 中堅・大手企業向け

料金体系

要問い合わせ

  • 参考までに、ecbeingから派生した低価格クラウドECプラットフォーム「メルカート」は初期費用300万円・月額費用8,9000円。ecbeingはこれより上の価格帯と考えられる

→ 詳しくはこちら(ecbeingのサイトへ)

4.EC-ORANGE/株式会社エスキュービズム

EC-ORANGEは、株式会社エスキュービズムが提供するECサイト構築パッケージ。エスキュービズム社は2006年設立、東京に拠点を置く会社。EC-ORANGEのようなプロダクト開発の他に、システム構築や保守、デジタルマーケティングに関する支援などを行っている。

※以下、会社サイより調査

サービスの特長

  • 大規模アクセスに安定して対応できるプラットフォーム
  • クラウドサーバでのインフラ構築を提案、事業拡張に対応できる
  • 外部パートナーとの連携による24時間のシステム・セキュリティ監視体制
  • 拡張性に優れ、簡単に機能追加ができる

利用者の特徴

  • 基幹システム・外部サービス連携の実績が多い

<導入事例の一部>
株式会社丸の内よろず
株式会社コナミエンタテイメント
ロイヤルカナンジャポン合同会社

料金体系

ECサイト構築費用:1,000万円~(パッケージ本体定価)

  • 売り切り型の料金プランで、ECサイトの店舗数がいくら増えても料金が変わらないため、ランニングコストを抑えることができる

→ 詳しくはこちら(EC-ORANGEのサイトへ)

編集部のまとめ

今回の調査概要

  1. 調査母数(問い合わせした企業数):9社
  2. 有効回答数(調査にご協力いただいた企業数):3社
  3. ECパッケージの中心的価格帯は次の通りとなりました。
  • 初期費用:数十万~数百万円
  • 月額費用:1万円前後

ECパッケージを利用してECサイトを構築する場合、初期費用が高額になります。大企業では数千万円以上の費用をかける場合もあります。そのため、中小企業にはハードルが高いことが多いのですが、それでもスクラッチ構築よりははるかに費用を抑えることができます。

事業の成長が見込まれる場合は、最初に多少投資をしても、ECパッケージでサイトを構築することをおすすめします。最初は費用のかからないASPサービスを利用するという方法もあるのですが、事業が成長した段階でサービスを移行する必要が出てくることがあり、そうすると結局また手間と費用がかかります。

また、ECパッケージと分類されるサービスのなかでも、Shopifyのようなクラウド型のサービスは、他のECパッケージのような高額の初期費用をかけず、月額数千円から利用可能です。多少専門知識が必要になりますが、個人から大企業まで幅広い事業に対応できるのも魅力です。

ECパッケージは、BtoB向けのビジネス化BtoC向けのビジネスかによってプランや料金が多少異なることがあります。ECパッケージのメリットである柔軟性を活かすために、どういったECサイトを作りたいのか、どういった機能が外せないのかを整理した上で検討することで、最適なサービスを選びやすくなります。

調査実施概要

  • 期間:2019年10月23日〜2019年11月05日
  • 調査方法:インターネット調査及び電話・メールにて実施

編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。
調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。
https://www.webtanguide.jp/contact

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