CRMツールの最新相場調査:2021年4月版

2021年4月8日

顧客との関係性を築いていくために欠かせないCRM。Webマーケティングではもちろん、営業活動やカスタマーサポートにおいても重要です。顧客に関する膨大な情報を集約し、一人ひとりに適切なアプローチを行うために役立つのが、CRMツール。本記事では、主要なCRMツールの特長と相場感を調査しました。また、CRMツール選びに欠かせない、ツールのタイプや選び方のポイントもまとめています。

そもそもCRMとは?ツールでできること

CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、直訳すると顧客関係管理。顧客との関係性を良好に育んでいくことを指します。

CRMにおいては、顧客に関する情報を収集し、顧客一人ひとりの状況に合わせ、適切なタイミングで適切な情報を適切な方法で提供することが重要です。そこで活躍するのが、CRMツールです。

CRMツールの機能は、ツールごとにさまざまですが、大きく次のようにまとめられます。

  • 顧客情報の集約:営業・カスタマーサポートなどで取得した顧客情報を集約する。また、外部システムやツールと連携して情報を集約
  • 顧客情報の共有:チームのメンバー同士、組織の部署同士で顧客に関する同じ情報を共有
  • 顧客へのアプローチの提案:集約した情報の分析にもとづき、顧客ごとに最適なアプローチの提案をする

DXの流れのなかでCRMツールも進化しており、多くのツールで、既存の顧客情報を集約するだけでなく、外部サービス連携などで新たに幅広い情報を収集できるようになっています。また、AIの活用などで、顧客一人ひとりに合ったアプローチの提案や、メール配信など施策実行の自動化までできるツールも多いです。

CRMツール比較のポイント

求める機能

CRMツールは、大きく次の2つに大別できます。本記事もこの分類に基づいて相場調査をまとめました。

  • メール配信系:マーケティングチームが主に利用することの多いツール。集約した顧客情報に基づいてメルマガ・SNS・ポップアップ配信など、顧客にマーケティング施策を行う
  • データベース系:営業チームやカスタマーサポートが主に利用することの多いツール。営業支援システムであるSFAと合わせて利用することが多い。集約した顧客情報に基づいて営業活動やカスタマーサポート対応を行う

まず、自社が求めているCRMツールはどちらのタイプかを明確にしましょう。その上で必要な機能を洗い出しておくと、ツール比較がしやすくなります。

具体的な機能まで洗い出せない場合も、顧客対応における自社の課題を洗い出しておくと、それに対応するツールを選びやすくなります。

連携機能

自社で利用している基幹システムや外部のシステム・ツールがあり、そこに蓄積されているデータをCRMに活用したい場合は、CRMツールとのデータ連携が可能か確認しておきましょう。

直接のデータ連携ができない場合も、CSVフィルなどで間接的にデータを取り込める場合もあります。

サポート体制

海外製のツールは、国産ツールに比べるとサポート体制が弱い可能性があるので注意しましょう。

そのツールのサポートを手がける外注会社やディレクターがある場合は、一度相談してみるのもおすすめです。

現場スタッフの使いやすさ

そのツールを実際に使うスタッフにとっての使い勝手は、ツール利用を社内に定着させるためにとても重要です。検討の時点で、必ずスタッフの声も聞きましょう。

また、無料お試し期間やデモがある場合は、スタッフに使い勝手を試してもらいましょう。

CRMツール【配信系】の費用相場

1.Action Link(アクションリンク/株式会社アドブレイブ)

action link

Action Linkは、株式会社アドブレイブが提供するCRMプラットフォーム。アドブレイブ社は、2005年設立、東京に拠点を置く会社。ダイレクトマーケティング専門の広告業とCRM事業の2本を事業の柱としている。いずれもEC業界に強い。

※公式サイト・資料から調査

ツールの特長

  • EC特化:ECのリピーター売上を増やすことに特化、メール配信ベースのCRMツール
  • 鉄板シナリオ®:数千回のPDCAで成果証明済みのシナリオがインストールされている
  • 導入が早い:最短1週間でカートや基盤システムと連携、鉄板シナリオは最短即日稼働
  • 実装・運用が簡単:ECのCRM施策に必要なデータ加工・設定などの下準備を自動化
  • クロスチャネル:LINEやDMなど複数チャネルを活用した最適なコミュニケーションの自動化が可能

利用者の特徴

  • 中小規模〜大規模EC向け
  • 「CRMを導入しても活用できない」「CRMで何をすればよいか分からない」「忙しくてCRMに取り組む時間がない」 という課題に特化

<導入企業の一例>

  • オフィスコム株式会社
  • 株式会社北国からの贈り物

利用料金

初期費用: 150,000円~※別途見積り
月額費用: 50,000円~

  • 有効メールアドレス数により料金が変わる
  • 有効メールアドレス数5,000件未満で月額50,000円
  • 最短契約期間12カ月

→ 詳しくはこちら(Action Linkのサイトへ)

2.Synergy!(シナジー/シナジーマーケティング株式会社)

Synergy!

Synergy!は、シナジーマーケティング株式会社が提供するクラウドベースのCRMシステム。シナジーマーケティング社は、2000年創業、大阪・東京にそれぞれ本社を置く会社。CRM領域におけるクラウドサービス事業およびエージェント事業を展開しており、Synargy!以外にもいくつかのプロダクトを開発・提供している。

※公式サイト・資料から調査

ツールの特長

  • データベース/フォーム機能を基本として、必要な機能を組み合わせられる
  • 店頭、Web、メール、アプリ、SNSなどさまざまな接点の顧客情報を集約、一元管理
  • Excelや外部データベースとのデータ連携も簡単
  • 顧客特性に合わせたリスト作り
  • 堅牢なセキュリティ
  • 顧客情報取得のためのフォームはレスポンシブ対応で多機能
  • 改善点が見えるフォーム解析レポートあり

利用者の特徴

<導入企業の一例>

  • アルペンローゼ株式会社
  • 株式会社千總
  • ヒラキ株式会社
  • 株式会社モリタ
  • 阪急阪神不動産株式会社

利用料金

<基本機能>
初期費用 118,000円
月額費用 15,000円〜

  • 顧客データ件数により料金が変わる
  • 顧客データ件数0~5,000件で月額費用15,000円

<その他機能>
メール配信:初期費用30,000円・月額費用10,000円~
アンケート:初期費用30,000円・月額費用15,000円~
LINEへの配信:初期費用30,000円・月額費用0円~
Webパーツ:初期費用30,000円・月額費用10,000円~

  • それぞれ配信数により料金が変わる

→ 詳しくはこちら(Synergy!のサイトへ)

CRMツール【データベース系】の費用相場

3.Zendesk for service(株式会社Zendesk)

zendesk

Zendesk for serviceは、株式会社Zendeskが提供する製品「Zendesk」の問い合わせ管理ツール・システム。Zendesk社は、アメリカに本社、東京に日本法人の本社を置く。日本法人の設立は2013年。Zendeskを中心とする、カスタマーサポートソフトウェアの開発・提供を行っている。

※公式サイト・資料から調査

ツールの特長

  • 複数のチャネルに対応:メッセージング、チャット、SNS、メール、電話など
  • セルフサービス型サポート:ヘルプセンター(FAQ)・コミュニティフォーラム構築・統合
  • AI搭載ボット:顧客一人ひとりに合わせたパーソナライゼーション
  • エージェントワークスペース:統合された単一のワークスペースと、1,000以上の標準搭載機能で、パーソナライズされた質の高いカスタマーサービスを実現
  • コラボレーションツール:社内外のパートナーとの連携を効率化、テンプレートあり
  • ルーティングと自動化機能:顧客情報の収集を効率化、問い合わせを自動で割り当て
  • ナレッジマネジメント:簡単にナレッジの共有ができ、コンテンツ管理が簡単
  • 既存システムとの統合が簡単
  • 顧客に関するさまざまな情報を一画面で表示
  • カスタマーサポートに関するデータの分析

利用者の特徴

<導入企業の一例>

  • コディバジャパン株式会社
  • 株式会社TableChek
  • 株式会社ベアーズ
  • ストックマーク株式会社
  • 株式会社ココナラ

中心価格帯

Suite Professional:月額費用99ドル/ユーザー

→ 詳しくはこちら(Zendesk for serviceのサイトへ)

4.Knowledge Suite(ナレッジスイート/ナレッジスイート株式会社)

knowledge suite

Knowledge Suiteは、ナレッジスイート株式会社が提供する総合ビジネスアプリケーション。ナレッジスイート社は、2006年設立、東京に本社とDXセンターを持つ。中部、関西、九州に営業所も展開。DX事業、BPO事業を柱としており、Knowledge Suiteのほかにもビジネスに役立つツールやプラットフォームなどを開発・提供している。

※公式サイト・資料から調査

ツールの特長

  • SFA、グループウェア、CRMが機能連動してオールインワンで使える
  • ユーザー数無制限:SaaS型で低コストの運用が可能
  • マルチデバイス対応:PC・スマホ・タブレットに対応
  • 動的可視化:組織・権限に応じて確認できる情報を設定できる
  • 追加料金なしで利用機能を段階的に追加可能
  • 支社・グループ会社との連携・共有が可能
  • セキュリティ対策:組織のセキュリティーポリシーに沿った設定・一元管理が可能

利用者の特徴

  • 上場企業から中小企業まで多種他業種

<導入企業の一例>

  • フットマーク株式会社
  • 誠伸商事株式会社
  • 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター
  • 株式会社みつばコミュニティ
  • フィーサ株式会社

利用料金

グループウェア:月額費用6,600円(税込)
SFAスタンダード:月額費用55,000円(税込)
SFAプロフェッショナル:月額費用88,000円(税込)

  • プランによって容量、利用できる機能が異なる
  • CRM機能が使えるのはSFAスタンダード以上

→ 詳しくはこちら(Knowledge Suiteのサイトへ)

5.eセールスマネージャー(ソフトブレーン株式会社)

eセールスマネージャー

eセールスマネージャーは、ソフトブレーン株式会社が提供するCRM/SFA。ソフトブレーン社は、1992年設立、東京に本社を置く会社。関西支社、中部支社、九州支社に支社を置くほか、グループ会社も何社かある。営業イノベーション事業を主としており、営業課題解決のためのさまざまな製品・サービスを開発・提供している。

※公式サイト・資料から調査

ツールの特長

  • 営業DXを実現させる国産のCRM/SFA
  • 導入~定着・活用まで専属チームがフォローアップ
  • シングルインプットで現場の営業工数を簡単入力、マルチアプトプットで自動反映
  • リモートでも直感的に理解できるダッシュボード、即時営業とコミュニケーションできる機能
  • 定着率95%、5,000社以上の導入実績

利用者の特徴

  • 大手企業から中小企業、製造業やサービス業、情報・通信業、金融業、建築・不動産業など多彩な企業で利用あり

<導入企業の一例>

  • ひまわりネットワーク株式会社:事務工数月60.5時間削減・年間売上予算達成
  • GMOメイクショップ株式会社:顧客情報一元化で売上192%・会議時間が90分→15分
  • 東通インテグレート株式会社
  • 株式会社メモリアルアートの大野屋
  • NTTラーニングシステムズ株式会社

利用料金

スタンダード:月額費用11,000円/ユーザー
ナレッジシェア(閲覧のみ):月額費用6,000円/ユーザー
スケジュールシェア(グループウェアのみ):月額費用3,000円/ユーザー

→ 詳しくはこちら(eセールスマネージャーのサイトへ)

6.Zoho CRM(ゾーホージャパン株式会社)

zohoCRM

Zoho CRMは、ゾーホージャパン株式会社が提供する顧客管理・営業支援(SFA)システム。ゾーホージャパン株式会社は、世界に拠点を持つZoho Corporationの日本法人。2001年設立、神奈川県に本社を置く会社。静岡県にもオフィスがある。ビジネスを支援するソフトウェアの開発・販売、それに付帯するコンサルティングや保守サービスを提供している。

※公式サイト・資料から調査

ツールの特長

  • 初期費用不要・低コスト、データ移行も簡単で導入しやすい
  • 顧客の基本情報から商談履歴・提案内容など関連情報まで一元管理
  • 直感的に使いやすいインターフェイス
  • 企業のビジネスに合わせてタブやレイアウトをカスタマイズ可能
  • レポート作成、メール送信などを自動化、営業活動をアシスト
  • 商談の進捗状況や活動状況を可視化
  • 無料のモバイルアプリによりモバイルでもデータアクセスが可能

利用者の特徴

<利用企業の一例>

  • アタラ合同会社:リプレイスによりコストを1/4に削減
  • 株式会社坂井建設:残業時間を約6割削減
  • イー・フォース株式会社
  • 株式会社Too
  • 株式会社オフィスバンク
  • 株式会社星野リゾート
  • 株式会社スカイコム

中心価格帯

エンタープライズ 月額費用4,200円/ユーザー

  • データストレージ:約500万件(10GB)

→ 詳しくはこちら(Zoho CRMのサイトへ)

7.Salesforce Sales Cloud(株式会社セールスフォース・ドットコム)

salesforce sales cloud

世界的なソフトウェア企業であるセールスフォース・ドットコムが提供する製品群「Salesforce」のうち、営業支援のための機能を持つプラットフォーム。セールスフォース・ドットコムは米国に本社のある会社で、日本法人は2000年に設立。東京をはじめ全国主要都市にオフィスがある。

※公式サイト・資料より調査

ツールの特長

  • 世界的に使われているCRMプラットフォーム
  • AIを実用化、成約率の高い案件を予測して、タスクを自動化
  • リード割り当て、タッチポイント把握、アドバイス提示を自動で行い、タスクを簡素化
  • モバイルアプリで場所を問わず仕事に取り組める
  • ビジネスに合ったカスタマイズが可能

利用者の特徴

<導入企業の一例>

  • アメリカン・エキスプレス
  • NTTコミュニケーションズ
  • 株式会社パソナ
  • Mipox株式会社
  • マーキュリープロジェクトオフィス

中心価格帯

Enterprise:月額費用19,800円(税込)

  • 年間契約

→ 詳しくはこちら(Salesforce Sales Cloudのサイトへ)

8.Hubspot Sales Hub(HubSpot, Inc.)

hubspot

hubspot

※公式サイト・資料より調査

ツールの特長

  • 顧客とのコンタクト情報やコンテンツの共有などチーム内のコミュニケーションに関する機能
  • ミーティング設定や営業プロセス自動化、ウェブチャットなど顧客とのコミュニケーションを強化する機能
  • 営業コンテンツの共有、見積もり作成、分析など案件の進捗管理を自動化
  • モバイルアプリ、パイプライン管理、ABM機能などでいつでもタスク管理が可能

利用者の特徴

<利用企業の一例>

  • 株式会社ブイキューブ:獲得リード数2倍、新規顧客単価1.65倍
  • 株式会社電算システム:CV数が数カ月で約400件
  • ビジネスエンジニアリング株式会社:オンライン経由リード獲得数80%増
  • 株式会社構造計画研究所:月間CVが1年で10倍以上
  • 株式会社コンベックス:1年半で見込み客数が150%増加

利用料金

Starter:月額費用6,000円・有料ユーザー2人
Professional:月額費用60,000円・有料ユーザー5人
Enterprise:月額費用144,000円・有料ユーザー10人

  • 無料で使える機能あり

→ 詳しくはこちら(Hubspot Sales Hubのサイトへ)

編集部のまとめ

今回の調査概要
  1. 調査企業数:8社※公式サイト・資料より調査
  2. CRMツールの中心価格帯は次の通りとなりました。

<メール配信系>
初期費用:10~20万円
月額費用:5万円程度~
<データベース系>
月額費用:1~5万円程度/ユーザー

本記事冒頭でもお伝えした通り、CRMツールには、大きく以下の2つのタイプがあり、相場感が異なります。

  • メール配信系:集約した顧客情報に基づいてメルマガ・SNS・ポップアップ配信など、顧客にマーケティング施策を行う
  • データベース系:集約した顧客情報に基づいて営業活動やカスタマーサポート対応を行う

メール配信系は、ECサイトのようにWeb上で商品・サービスの購入が行われる場合に活用されることの多いCRMツールです。

データベース系は、営業やカスタマーサポートの業務基盤となるCRMツールです。その分、オプション機能や外部ツールとの連携の選択肢が多く、どういったデータをどのような形で集約するかというところが複雑になりがちです。

使ってみたいツールがあるけれど、社内で使いこなせる人材がいないという場合は、外部のディレクターに依頼してみることも選択肢のひとつです。

編集部では、調査にご協力いただける企業を随時募集しています。

調査協力に関する問い合わせは以下のフォームよりご連絡ください。

https://www.webtanguide.jp/contact

 

調査実施概要

  • 期間:2021年3月26日〜2021年4月7日
  • 調査方法:インターネット調査にて実施

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i.kawamura

山口県出身。王朝文学が好きで研究者を夢見て大学で国文学を専攻するも、方針転換で就職。新卒で入社した会社でネットショップ運営に携わり、カスタマーサポートから商品開発、プロモーションなどを経験。その後、EC業界向けメディアに転職。編集部でメディア運営や業界紙の制作ディレクションを経験した後、フリーのライター・編集者として独立。