スタートアップ企業や中小企業の中には「今年こそTwitterやInstagramなどSNSを活用して自社の認知を広げよう」と目標を持つ会社が多いと思います。
しかしSNSで広報活動を始める場合、無料で簡単にアカウントを作成できるからとすぐに開設するよりも、事前に戦略を練ってから始めた方がいいでしょう。
今回はこれから企業広報のためにSNSを活用したい担当者に向けて、SNSで広報活動を行なうメリットやSNS別の活用ポイントを紹介します。
Web担当者のための集客ノウハウガイドでは、これまで「SNS広報に積極的なアカウント10選」や「SNS広報に参考になる記事10選」などの記事を公開していますので、あわせてご覧ください。
SNSで広報活動をするメリット
SNSで広報活動を行うメリットとしては下記の4点が挙げられます。
無料でアカウントを作成できる
企業が運営するアカウントであっても、各SNSのアカウントは無料で作成することができます。
TwitterやInstagramは個人用アカウントから企業用アカウントに無料で変更することができ、個人用アカウントでは利用できない分析機能や問い合わせ先リンクの追加などが可能です。
また、認証のための手続きを行うことで公式であることを証明するマーク「認証バッジ」が付与されます。
なお、Twitterで認証バッジを得るには有料サブスクリプションサービス「Twitter Blue」に登録する必要があります。
基礎的なマーケティングデータとしてユーザーを分析することができる
各SNSに備わっている投稿へのいいね数やフォロワー分析機能によって、自社への関心度やユーザーの好み、関心があるユーザーの属性情報を定量化して取得することができます。
これらのユーザーからの反応を元に商品やサービスのペルソナを見直したり、新たな商品やサービスの企画を行なうことも可能です。
ユーザーとSNS上でコミュニケーションをとることができる
SNSを運用していると、SNS上の返信・コメント機能で様々な問い合わせを受けることがあります。
対応する負荷はかかりますが、SNS上でコミュニケーションを取るメリットとして、多くの人がやりとりを見ることで重複する問い合わせが減ったり、対応の印象が良ければ企業のイメージアップにつながることもあります。
特にInstagramのダイレクトメッセージ(DM)機能は、相互フォローではなくても送信することができ、DMへの応答率がアルゴリズムにおけるアカウントの活用度に影響があると言われているため、DMを返信する工数を確保できない場合はDM機能を予め閉鎖しておくことも一つの選択肢です。
担当者の工数を効率化できる
SNSを運用すると24時間365日アカウントを管理する工数が発生すると思われることもありますが、予約投稿機能を使用して数日分の投稿を事前に作成したり、ユーザーとのコミュニケーションを取る時間を予め決めておくことで、担当者の工数を効率化しながら多くのユーザーに向けて情報を発信することが可能です。
広報活動を開始するまでの5ステップ
1.SNSで発信する目的を定義する
企業の公式アカウントとしてSNSを運用する場合、「どのような目的のアカウント」かを事前に決めて起きましょう。
認知を広げるという点を掘り下げ、口コミで会社の存在を知ってもらう、魅力ある商品やサービスの紹介をする、採用活動に利用するために社内や社員を紹介するなど、自社にどの方向からスポットを当てたいかを検討することで、運用開始後の投稿内容の方針に迷いが生じることが少なくなります。
2.ターゲットユーザーやペルソナを設定する
SNS運用を始めることは、企業の商品、サービスのターゲット層だけでなく、ペルソナを見つめ直す機会になります。
ペルソナを設定することで、投稿内容を考えるヒントになることもあります。
ペルソナ設計の考え方については「ペルソナ設計とは?具体的な設計手法やポイントをご紹介」をご覧ください。
3.運用するSNSを決める
複数のSNSを同時に始めても、1つのSNSで運用ノウハウを貯める場合も、どちらも不正解ということはありませんが、専任の担当者を置けないなど工数に不安がある場合は一番親和性が高いSNSだけを開設することをおすすめします。
- Twitter
テキストベースのため1つ1つの投稿にかかる工数が比較的少なく、幅広い世代にアプローチできる反面、投稿内容や表現内容についてトラブルになったり、ユーザーからの攻撃が起きやすいSNSです。 - Instagram
女性や20代前後のユーザーが多いSNSで、画像や動画の機能が豊富です。現在Webマーケティング分野で一番注目されているSNSと言うこともでき、ここ数年でアカウントを開設する企業が多いSNSです - Facebook
近年他のSNSとの競争でユーザーが減少していますが、40代以上で活発に利用するユーザーが多く、実名制を維持しているためトラブルが起きにくいSNSです。 - YouTube
国内で最も利用者が多い動画配信サービスで、企業紹介動画やライブ配信のチャット機能やコミュニティ機能を利用してユーザーとコミュニケーションをとることもできるため、今回企業広報で活用するべきSNSとして紹介しています。
4.運用体制や運用ルールを決める
運用するSNSが決まったら、運用体制や投稿のルールを決めていきます。
- 担当者を何人置くのか
- 一日の中でSNS広報活動にどの程度時間を割くのか
- 投稿やリアクションのルール化(投稿頻度、投稿時間、ユーザーからの投稿や返信への対応など)
- 投稿の方向性を決める
- KPIとなる指標を設定する(フォロワー数や認知度調査の結果など)
などを予め決めておくことで、運用開始後に実際にかかる工数やユーザーからの反応を定期的に振り返り、見直すことが出来るようになります。
5.アカウントを作成する
1.から4.までのステップが終わったら、具体的なアカウント作成を開始します。
アカウント作成時は企業アカウントの場合アカウント名に「公式」と明記したり、プロフィール欄で運用方針を記載することも有効です。
また、アカウント開始後にフォロワーを増やすための方策として、アカウント開設に併せてWebサイトやメールマガジンなどでアカウント開設を告知したり、記念キャンペーンを企画することで初期のフォロワーを獲得しやすくなります。
プラットフォーム別SNS運用ポイント
広報担当者がTwitterを運用するときのポイント
ハッシュタグを活用する
SNSを開始した当初はユーザーにアカウントの存在を認知してもらう必要があるため、投稿にハッシュタグを含めることで検索結果に表示されやすくなるメリットがあります。
何気ない挨拶の投稿にトレンドになりそうなハッシュタグを含めたり、自社の商品・サービスのハッシュタグをつけてツイートするなど、様々な手法があります。
Twitter Blueに登録する
SNSでの広報活動のために予算を割くことができる場合は、Twitterの有料サービスである「Twitter Blue」に登録することで企業のビジネスアカウントとして承認されると金色の認証マークが付与され、検索結果で上位に表示されやすくなる、高解像度の動画を投稿できるなどのメリットがあります。
さらに今後新しい機能が追加される可能性もあるため、詳しくは最新の情報をご確認ください。
広報担当者がInstagramを運用するときのポイント
プロアカウントに変更する
Instagramではアカウント作成後、プロアカウントに変更することで電話番号や問い合わせ先のメールアドレスのリンクを追加することが出来るようになります。
また、投稿毎のプロフィール遷移率などを調べることができるアナリティクス機能も利用可能になります。
広報ツールとして活用する場合は最低限これらの分析機能を利用するため、プロアカウントへの変更をおすすめします。
詳しい設定方法は「Instagramの企業用プロアカウントを開設するには?」で解説しています。
フィード投稿だけでなく、ストーリーズやリール(動画)を活用する
Instagramを運用する場合、成功事例として挙げられるアカウントはフィード投稿よりもストーリーズやリールを活用しているケースが増えています。
ストーリーズはURLリンクを貼り付けることができたり、アンケート機能などフィード投稿にはない機能が搭載されている他、ストーリーズの閲覧率が高い場合はフィード投稿がフォロワーのタイムラインに表示されやすくなる効果があると言われており、フィード投稿よりもストーリーズを優先する考え方もあります。
また、ストーリーズの投稿は24時間で表示されなくなりますが、ハイライト機能を使用して過去のストーリーズ投稿をユーザーが閲覧できるように設定することも可能です。
広報担当者がFacebookを運用するときのポイント
40代以上のユーザーへの認知を強化することができる
Facebookは世界全体のユーザー数は増加傾向にありますが、日本国内の利用者は10代から30代の若年層のユーザーが減っており、割合として40代以上の利用者が多い傾向があります。
そして広報活動の観点では、実名制を採用しており誹謗中傷コメントが書き込まれにくい点は他のSNSにはないメリットです。
そのため、高級なイメージを訴求したい場合や、高所得層へのアプローチをしたい時にFacebookページを開設することはおすすめです。
Facebookページを作成するとショッピング機能を利用することができ、オンラインショップへのリンクで誘導することでFacebook上で商品を販売することも可能です。
フォロワー数の獲得は地道に増やすか広告を活用する
Facebookページはフォローされないと原則投稿が表示されないため、フォロワーを増やす手段はWebサイトなどの別媒体で紹介して地道に増やす方法が前提になります。
早期にフォロワーを増やしたい場合は、広報担当者からいいね!のリクエストを送信したり、予算に余裕があればFacebook広告の活用を検討しましょう。
広報担当者がYouTubeを運用するときのポイント
YouTubeアナリティクスを活用する
YouTubeチャンネルを認知してもらうために一番わかりやすい指標が「チャンネル登録者数」になります。
チャンネル登録者を増やすためには、投稿した動画についてより深く分析することが重要で、動画に対する反応を調べるために「YouTubeアナリティクス」機能があります。
この機能では、動画投稿者しか見ることができない視聴者層の分布やOS毎の利用状況、サムネイルのクリック率、各動画からのチャンネル登録者数などを調べることができます。
これらのデータとターゲットの視聴者を照らし合わせながらチャンネル登録者を増やしていきましょう。
競合チャンネルの動画内容を分析する
YouTubeでは、ユーザーがさまざまな動画を回遊するときに検索や自動的に表示されるおすすめ動画からチャンネルの存在を知るユーザーが多いため、同業他社がYouTubeチャンネルを運営している場合、他社が投稿している動画のキーワードを参考にしながらコンテンツ制作を作ることは有効な手段です。
まとめ
SNSで企業広報を行なう場合、事前にターゲット層などを定めるなど戦略を練ってからアカウントを作成することをおすすめします。
またビジネス領域(BtoB、BtoC)や業種によって最適なSNSが異なり、複数のSNSを運用することは担当者への負荷が増大します。
特にInstagramやYouTubeの動画コンテンツは高品質なものを用意しようとすると、外部業者への発注も必要となります。
まずはSNSに慣れる手段としてテキストベースのTwitterや、Instagramの画像投稿を続けてユーザーとのコミュニケーションを図ってみてはいかがでしょうか。
ディレクターバンクではSNSに関するアカウントの企画、運用代行などに関してご相談を承っています。
具体的な運用事例などもWebサイトに掲載しておりますので、SNS活用にご関心がありましたら是非一度弊社までお問い合わせください。
InstagramやXなどのSNS運用を経験豊富なディレクターが代行
ディレクターバンク(株)のSNS運用代行は、Instagram、X、LINE、Facebookなど、企業のSNSアカウントの企画、運用業務を、経験豊富なディレクターが代行。御社のファン作り、潜在顧客へのリーチを拡大させます。